吉川英治の名作を、文庫本ではなく単行本で、しかも大きな活字で味わいたいという要望に応えた、小説『親鸞』第2巻。
巻頭では、4ページにわたって吉川英治記念館(東京都青梅市)を紹介しています。英治が昭和19年から28年まで暮らしていた邸宅・書斎を掲載しました。愛用の万年筆やメガネが机の上に置かれた書斎が再現されています。
(2巻のあらすじ)
「あの夜以来、範宴(のちの親鸞)の眸にも、心にも、常に一人の佳人が棲んでいた。追おうとしても、消そうとしても、佳人はそこから去らなかった……」
どれだけ厳しい修行に打ち込んでも、七千余巻の経典を読破しても、範宴の、無明の闇は晴れなかった。しかも一人の女性との出会いによって、苦悶の渦は極限に達していく。
煩悩から離れ切れない人間に、救いはないのか。どうすれば心の闇が晴れるのか。
六角堂での九十九夜の祈願を終え、夢遊病者のように京の町を歩く範宴に、一大転機が訪れる。