国民文学作家として多くのファンを持つ吉川英治。作家としてのスタートを飾った記念すべき作品『親鸞』を、1万年堂出版の吉川英治シリーズ第1作としてお届けします。
大きな活字で味わいたい、という読者の要望に応え、文庫本ではなく単行本で、読みやすさにこだわりました。美しい装丁と、ソフトなカバーも好評です。
親鸞の生きた時代に引き込まれるような名文を、お楽しみください。
(3巻のあらすじ)
「生れかわった1日ごとの新しい呼吸であった。範宴(のちの親鸞)は死んで、範宴は生れたのである」
範宴は、20年も学んだ比叡山を下りて、京都・吉水の法然上人の門に入り、綽空(しゃっくう)と名を改めた。
まもなく不退の決意で玉日姫と結婚。全ての人が、ありのままで救われる教えがあることを示すためであった。
浄土仏教が説かれる吉水へは、日ごとに参詣者が増えていった。急速な発展を妬んだ伝統仏教の各宗派からは、「念仏停止」「吉水を弾劾せよ」の訴えが、朝廷へ出された。
緊迫した状況の中で、若い2人の女性がとった意外な行動が、大事件に発展していく。仏教史上、例を見ない過酷な弾圧の始まりであった。