越後へ流刑となった35歳から、関東布教が花開く60歳頃までを描いた吉川英治の『親鸞』完結編。
国民文学作家として多くのファンを持つ吉川英治の名文が、クライマックスに向けて、ハラハラドキドキのスピード感を増していく。
「文庫本では字が小さくて、読むのをあきらめていた」という読者の声に応え、大きな活字の単行本でお届けします。
(4巻のあらすじ)
「この善信(のちの親鸞)は遠国へ流さるるとても、決して、悲しんでたもるまい。念仏弘世のため、衆生との結縁のため、御仏の告命によって、わしは立つのだ。教化の旅立ちと思うてよい」
妻子と引き裂かれ、越後へ追放された善信。与えられた住まいは獄舎より粗末だった。雨が漏り、雪が吹き込み、風に揺れる一棟。しかし、全ての人が救われる、仏の大慈悲を伝える師弟は幸せだった。真の幸福は、地位、名誉、財産などの多少とは関係ないのだ。越後の悪代官、源氏の武将、親鸞を生涯の敵と怨む山伏、大酒飲みで凶暴な大工……、仏の教えに触れて、皆、生まれ変わっていく。