一昨年末より、体調を崩して約二ヶ月間の入院をした。或る日曜日の早朝、偶然ラジオから、朗読『なぜ生きる』が流れてきた。
ショックだった。知らない間に泣いていた。
何しろ五十年以上の人生、深く人生について考えてこなかった。退院して元気になった昨春、同書を購入し一気に読んだ。
目からウロコ、とはこういう事なのか?!
長年ひっかかっていた問題点を、見事に解説している!
社会に出て、多くの諸先輩より実に多くの事を学んだ。その一つ一つを具体的に交えて、上手く解説されている…。自分にも当てはまる事例もあり、ハッとさせられた…。
世の中、本当に複雑なのだ。何事も単純に考えていた身として、猛省するばかり。
そして、後半の親鸞聖人である。
我が家は、代々浄土真宗。しかし、彼については無知に近かった。せいぜい教科書レベル程度。有名な『善人なおもって…』にしても、文字通りにしか解釈していなかった…。
一読後、親鸞とて、悩み苦しみ多い人生を歩まれたと素直に思った。こういう偉人に、もっと早く接していれば、私の人生とて、少しは違っていたろう。
久しぶりに、座右の書となる一冊に出会えた幸運である。
昨今、人生論や幸福論の本が、花ざかり。ところが、なぜ生きるのか?という核心については皆無に近い。再読する度に価値が上がる本が何冊あるだろうか?
人生に悩み、苦しむ方々に、自信を持って『なぜ生きる』を贈りたい。私とて、まだ悩みや苦しみを抱えている。
何度も再読したが、自信を持っては答えられない。それ程に、生きるとは苦しく、反面楽しくもあるのだろう?
それでも、何らかのヒントは多く得た。
自分なりに少しは前進したようだ。
もう50歳代。ではなくて、まだ50歳代とも前向きに考えられるようにもなった。『なぜ生きる』との出会いなければ、大番狂わせが待っていたかも知れない。故に私にとって、様々な意味で大いなる救いの書である。
そして、今も自問自答する。
なぜ生きる?