1万年堂出版が開催した
読者感想文コンクールの
入賞作品の一部をご紹介します。

銅賞

『子育てハッピーアドバイス 大好き!が伝わる ほめ方・叱り方』を読んで

細江隆一さん(42歳・岐阜県) 一般の部

『子育てハッピーアドバイス 大好き!が伝わる ほめ方・叱り方』というタイトルに惹かれて読破したこの本。一読して思ったのは、「父母が私にしてくれたほめ方・叱り方と同じだ」でした。

父母に怒鳴られたり、きつく叱られた経験は、思い出しても1回だけです。その1回は、友達と他人の自宅のガラスを故意に割ってしまって逃げた時で、この 時はさすがに父母を前にしてきつく叱られました。当時、私は保育園の年長組でした。「割ってしまったことも悪いが、もっと悪いのは逃げたことだ。それは卑 怯者のすることだよ」。父のその言葉が今も私の耳にこびりついて離れません。

「卑怯者」の意味を後年になって知り、ますます父の言葉が重みをもって私にのしかかってきました。父が言いたかったのは、「卑怯者になるな」の一点だったからです。

この1回が私にとって印象的なのは、それが最初で最後の体験だったからでしょう。それ以外にも、私はたくさん問題があったのに、父母はきつく叱られな かったからです。幼い頃の私は、周囲から見ても明らかに問題児でした。保育園には毎回遅刻して登園。入れば友達とケンカをして叱られ、果ては保育園を脱走 する始末。父母は毎日のように保育園に呼ばれ、園長と保育士と今後どうするかを話し合ったようです。

その2人が自宅に戻ってくると、私に開口一番、「人に迷惑をかけるのはいかんぞ。けどな、父さんと母さんはいつもお前の味方だ」と言いました。本当なら 怒鳴られ、折檻されるところですが、優しく諭されたおかげで、私も身に染みて反省しました。もっとも、それで叱られた回数が減ったわけではありませんが、 「父母は私の味方」という安心感が私を支えていました。

本書で学んだのは、私の子育ての仕方は間違っていなかったのだ、という事実です。その意味で父母に感謝しました。本書を読む前から、子育ての極意を知っていた父母は、私にとって尊敬すべき人物です。

同時に、私は幸せ者だと実感しました。本書の中に点数に関する内容が出ていました。テストで60点取った子供にどう接するのかです。「どうして60点し か取れないの」と叱るのか「60点取って偉かったね」とほめるのか。私の父母は間違いなく後者でした。「60点も取れるなんてすごい! がんばったね」 「本当はやればできるんだよ、おまえは。それで十分さ」

当時、学校の授業でも落ち着いて教師の話を聞けなかった私でしたが、この父母の言葉のおかげで目が覚めました。それ以降「父母のためにがんばってみよう」と思い、着実に点数を上げていきました。

もし、あそこで父母が「どうして60点しか取れないの」と私を叱ったら、ひねくれ者の私は、もっと授業を大事にしなかったと思います。父母が適切に対処してくれたからこそ、私はやる気を起こしたのだと思っています。

これは、本書に登場する「『自分のいいところも悪いところも、みんな受け入れられ、愛されている』これ1つ伝われば、子どもは輝きます」という言葉その ものです。「点数が悪い自分も、悪さをする自分も、よいことをする自分も、父母がすべて受け入れ、自分の味方になってくれている」と思ったからこそ、私は 安心して登園、登校でき

たのだし、落ち込んだりすることなく、ここまでやってこられたのだと思っています。
私には、現在、4歳になる息子と9カ月を迎えた娘がいます。特に4歳の息子は、妻がいう「やんちゃ坊主」に育ちました。「ごはんを食べなさい」「お風呂だよ」と言っても、なかなか動かないし、欲しい物があると、その場で泣きわめきます。

そのたびに思うのが、「自分もこうだったな」です。私も息子と同じく自分の好きなことには夢中になり、おもちゃの前では泣きわめきました。そこで思い出 すのは、父母の言葉です。「食べないとパパみたいに大きくなれないよ」「お風呂に入ってきれいになると、人からモテモテだよ」「おもちゃはまた今度にしよ うね。今日は我慢しようか」
これと同じ言葉を息子にかけてその場に対処しています。息子は不思議なことに、よく聞いて、行動に移します。

育児の極意を私に伝えてくれた私の父母と本書に感謝します。

子育てハッピーアドバイス 大好き!が伝わるほめ方・叱り方

子育てハッピーアドバイス 大好き!が伝わるほめ方・叱り方

明橋大二(著) 太田知子(イラスト)