「なんで手で食べちゃいけないの?」
4歳の息子の質問です。
「手が汚れるから……」と思ったけれど、インド人は手でカレーライスを食べるんだった。日本人だっておにぎりやハンバーガーは手で持って食べる。なんで手で食べちゃいけないんだろう。自分の心の中を探索しました。
「4歳にもなって手で食べるなんて」「お箸が使える子だっているのに」。
手で食べちゃいけない理由は、意外にも自分都合のことばかりでした。
こんなあやふやでは、怒れないし叱れない。でも、その場ではよい解決策が見つからず、「フォークやスプーン、お箸を使って食べれば、手が汚れなくて、食べ終わったあと、すぐに遊べるよ」。そんな苦しまぎれの説明でその場を収めてしまいました。
息子が寝たあと、「共感」の2文字が頭の中に浮かんできました。納得がいかない様子で、何度も何度も繰り返し「なんで手で食べちゃいけないの」を聞き続けた息子。その疑問のもっと奥にある子どもの気持ちを聞いてあげなかったな。どういう理由で手で食べていたのかな。
「なんで手で食べちゃいけないの?」の質問に、一生懸命「ダメ」の証拠を探したけれど、ベストは子どもの考えを聞くことだった。
いきなり「ダメ」の理由を並べるのではなく、「○○は手で食べるの好きなの?」「どうして手で食べたいのかな?」と子どもの気持ちや考えを引き出す、上手な質問をすればよかった。今度、聞いてみたいな。
さっきまでイライラを抑え込んでいたのに、ちょっと見方を変えたら、不思議とわくわくしてきた。
なぜ手で食べたいのか、それに息子は何と答えるのだろう。すごく気になって、明日の朝が待ち遠しい。
大人にとっては当たり前のことでも、子どもには新鮮なこと。いろんな決まりやルール、習慣が、子どもにとっては当たり前でない。だから子どもと過ごす 24時間は、忘れていた「ナゼ」にスポットが当たり、刺激的で本当におもしろい。その子どものおもしろさも、親がキリキリとルールに縛られ、「こうあるべ き」という思い込みに制限されていたのでは、イライラしてしまうだけ。イラッと来たら、たぶんそれは自分の「こうあるべき」にそぐわないことを子どもがし たり言ったりしているとき。自分の中にある変な枠に気が付くチャンスでもある。
イラッと来て、怒鳴って、子どもは泣いて、親子でアンハッピーは悲しいけれど、イラッと来て、「あれ、私がこのことに引っかかるのはなぜ?」と省みて、 子どもと対話しながら、自分の心とも話し合う。親子で分かり合うことは愉しい。つっかえ、つっかえでもいいから、そうやって不器用に、子どもとのやりとり を積み重ねていきたい。
気が付くと、その繰り返しで、ずいぶん成長しているママになった私。
もう5年目。
明橋先生の大事にしているメッセージ。
「これを叱ることで、この子が自分と他人を大事にできるきっかけに本当になるか」
「ちゃんと丁寧に教えていたか」
この2つは心の中で必ず省みる私の育児ポイントです。明日も思いがけない子どもの気持ちに、あたふたしながらも、寄り添おう。そして翌朝、相変わらず手で食べる息子に、今度は私が質問。
「どうして手で食べるの?」
「だって手はスプーンの形にもなるし、フォークの形にもなるし、お箸のようにもなるよ!」
おもしろい答え聞いちゃった。