1万年堂出版が開催した
読者感想文コンクールの
入賞作品の一部をご紹介します。

金賞

『こころの道』を読んで

加藤愛さん(中学3年生・三重県) 中学生の部

この本を読んで、たくさんのことを考えることができました。特に印象に残ったところは、「鉢木といざ鎌倉」、「田舎のネズミと町のネズミ」、「1分の原稿に1時間かけるルーズベルト」の3つです。これらの話は、自分自身も忘れてしまっていた大切なことを思い出させてくれました。

「鉢木といざ鎌倉」では、どんな状況であっても、前だけを向いて、未来を信じて生きている人は、強いんだということを感じました。辛い時、大変な時、言いわけをすれば簡単に逃げることができます。だけどそれは、努力を忘れた人の逃げ道であって、しっかりとした目標を持った人には通用しないものだと思います。私も、何かあるとつい、色々な理由を並べてしまいます。目指している夢がある、生きていきたい道があるから、もっと強い意志を持ち、自分の信じたものを選んでいきたいと思いました。

「田舎のネズミと町のネズミ」には、2匹のネズミが登場します。それぞれ環境の違いがあり、どちらの方が幸せなのかを比べます。田舎のネズミは、便利でにぎやかな町よりも、静かで落ち着ける田舎の方がいいと感じるというイソップ物語です。幸せに決まりはないと聞いたことがあるけど、自分の思う幸せと、人の思う幸せはやっぱり違うのかなと思いました。自分にはない物は、どうしても羨ましく感じてしまいます。だけどもうひとつ見方を変えたら自分にしかできない何かに気付くこともできると思うのです。

このお話を読んで、私にとっての幸せって何だろうと考えました。私には家族がいます。友達もいます。とてもとても大切で大好きです。毎日笑顔で過ごせるのは、そんなみんなのおかげです。だから、周りの人たちと一緒に、笑顔で過ごすこと、それが私にとって一番の幸せです。そしてこれは、どの人にも共通する思いだと思いました。幸せは、お金や物なんかではなく、人の心だったり、愛する気持ちだったり、そんな目には見えないようなものから生まれるんだということを、このお話は伝えているのかもしれないなと思いました。

「1分の原稿に1時間かけるルーズベルト」では、すごく驚かされました。ルーズベルトのようなすごい人でも、それだけの努力をしていたと思うと、「努力」というのは、すごく大切だなと実感します。何か大きなことをしようと思うなら、それだけの準備をしなければならない……当たり前のようで、実はできていないときの方が多いです。上手くできなくて落ち込んだり、どうにもならなくて不安になったり、でも、あきらめちゃいけないんだと思いました。
1分間の原稿に、1時間もの努力を何度も重ねたルーズベルトに比べたら、私の少しの頑張りなんて、努力のうちに入らないかもしれません。これからは、どんなに時間をかけてでも、どんなに失敗しても自分自身を信じて、努力を積み重ねていこうと思えました。

この3つの他にも、考えさせられるお話がたくさんありました。第4章の、「さんざめく星たちへの道」も、温かい話ばかりでした。ちょっとした思いやり、ほんの少しの優しさが、こんなにも人の気持ちや人生までも変えることができるなんて、すごく素敵だなと思いました。毎日を生きていく中で、辛いことや苦しいことにぶつかることはたくさんあります。でも、そんな時でも不幸を幸福に変えるチャンスが、どこかにあるのかもしれません。いつも笑顔でなんて、今の私にはできそうにないけど、いつも笑顔でいるための工夫なら、少しずつでもできそうな気がします。

この本で学んだことを忘れずに生きていきたいです。『こころの道』は、これからを生きていくための、こころの教科書みたいな存在になりました。