1万年堂出版が開催した
読者感想文コンクールの
入賞作品の一部をご紹介します。

銀賞

同級生の死をきっかけに

松永梢さん(3年生・静岡県) 高校生の部

『なぜ生きる』を読んで

「日本の自殺者は、年間3万人を超えました」

私はまず、この日本の現状に驚かされた。よくテレビや新聞で自殺の話題を目にするが、これほど多いとは思ってもみなかった。

世の中には、元気のない人を励ます本が多く出回っている。しかし著者が言うように、「強く生きよ」というメッセージだけでは何の糧にもならない。奇麗事や甘言じみた言葉は、絶望の淵に立たされている人には無意味な言葉だ。

そんな人たちを救ってくれるのが、この『なぜ生きる』ではないだろうか。
文学者や思想家の人生論、聖人の言葉、高校生の私には少し難しい部分もあったが、思わず頷いてしまうほど、納得が行くものばかりだった。そして、「なぜ生きる」の問いに自分なりの答えが見つかった気がした。

私がこの本を手にしたのは、同級生の死がきっかけだった。今年の夏、同級生が熱中症でわずか18歳という若さで、この世を去ってしまった。

私が、「カウンセラーになりたい」と夢を抱くように、彼にも夢があった。彼はその夢に向かって、部活を頑張りながら熱心に勉強にも取り組んでいた。
しかしその努力も虚しく、彼の夢は叶うことなく、無残にも砕け散ってしまった。

こんな運命に出会う為に、彼は今まで生きて来たのだろうか。
自分の人生は、生まれた時から決まっているのだろうか。
そして、定めを背負いながら生きて行く人生に、何の意味があるのだろうか。

すっかり生きて行く意味が分からなくなってしまった私は、こうして、『なぜ生きる』を手にしたのだった。

私は、読んでいて改めて思うことがある。それは、「自分は必要とされていない」「自分は生きている意味なんてない」と思う人が余りにも多すぎるということだ。

私は中学生時代、不登校になり絶望の淵に立たされていた時、悲しいことに同じ様に思っていたことがある。

しかしある時、私がした行動に対して「ありがとう」と言って貰ったことがある。その時私は、「こんな私に、感謝してくれた。こんな私も、人の役に立ったのだ」と喜びで、胸がいっぱいになった。

自分の心が満たされていない時は、求めるのではなく自ら与える。そうすることにより、自分という人間が存在することを、どうか他の人にも気付いて欲しい。
そして、「自殺」という悲しい結末に辿り着いてしまわないうちに、どうか生きる喜びを見つけて欲しい。

私は、この本を読んで生きている喜び、生きる喜びを持って生きて行こうと思った。
同級生の突然の死に、悲しみで胸がいっぱいだったが、彼は悲しみだけを私の心に残した訳ではなかった。
それは、当たり前の様に家族が居てくれること、友達と一緒に授業が受けられること、夢に向かって頑張れること、辛い日や苦しい日もあるけど、そんな日常が幸せだということを彼は教えてくれた。

そして著者からは、「真の人生の目的を知ったとき、一切の悩みも苦しみも意味を持ち、それに向かって生きるとき、すべての努力は報われる」ということを教えてもらった。

今、心が病んでいる人は沢山いる。その人達にも、この言葉が届くことを祈っている。
そして、悩んでいる人を元気にするカウンセラーになることが夢でもあり、それが人生の目的でもある私は、この本を読んで、よりいっそう夢に向かって邁進出来る気がした。

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