1万年堂出版が開催した
読者感想文コンクールの
入賞作品の一部をご紹介します。

金賞

『光に向かって100の花束』を読んで

國枝美希さん(11歳・大阪府) 小学生の部

「あー。もー。解けん。いやや」

「ドサッ」

私は算数の問題集をほうり投げた。そして寝ころんだ。

「ほうら。また始まった」

とお母さんが言う。私は、算数で難しい問題にあたると、すぐかんしゃくをおこして、なげだす。

「そんなんしても、解けんよ」

とまたお母さんが、いじわるく言う。

そんなある日、例によってかんしゃくをおこしていると、

「ホラ」

とお母さんが1冊の本をさしだした。

『光に向かって100の花束』

思わず題名を読んでしまった。

「お母さんのお気に入りの本。好きなとこから読んでみたら」

「えっ! 好きなところ」

私は、パラパラとページをめくった。私がいつも読んでいる青い鳥文庫とはかってが違う。

「これ、大人の本ちがうの」

と私が言うと、

「まあまあ、いいから、いいから」

とお母さんがにやにやしてる。算数の問題も解けないし、気分転換しようと思い、読み始めた。秀吉がでてきたり、一休さんがでてきたり、ナポレオンがでてきたりと、歴史好きの私はすっかり夢中になってしまった。

その中で、「かんしゃくの、くの字を捨てて、ただ感謝」という章に目がとまった。今の私の状況にぴったり。お母さんが勧めた理由がなんとなくわかった。

「お母さん、『かんしゃく』の『く』をとれば『感謝』になるよ」

「それそれ、1字あるかないかで全然違うね」

とお母さんは返事した。

私はかんしゃくをおこすと、気分は悪いし、まわりの人にも不快感を与えているということを反省した。そして、難しい問題はじっくり考えろという先生の愛情に感謝した。

同じことでも心の持ち方ひとつでずいぶん違うことがわかった。

そのことがあってから、服やゲームを買ってもらったり、習い事をさせてもらったり、旅行へ連れてもらったりしたことは当たり前ではないということがわかった。お父さん、お母さんをはじめ、まわりの人たちのおかげである。感謝しなければならない。感謝することで、私自身もうれしい気持ちになることに気づいた。

この本と出会って、感謝するという気持ちがめばえた。自分の心がすごく成長したような気がする。これからは、感謝するという気持ちをもち続けていきたい。