1万年堂出版が開催した
読者感想文コンクールの
入賞作品の一部をご紹介します。

銀賞

『親のこころ』を読んで

岩元彩絵さん(15歳・兵庫県) 高校生の部

「お母さんに、私の気持ちなんてわからない!」

中学生になってから、この言葉を何回言ったことでしょう。小学生や小さい頃には、ほとんど親とけんかをしたことはありませんでした。しかし、大きくなるにつれて親と言い争うことが多くなりました。意味もなく、ただ反抗しているわけではありませんが、親の存在を疎ましく思うこともあります。もっと親とうまくやりたいという思いと実際の行動が一致せず、混乱していました。そんなとき、この『親のこころ』を読みました。たくさんの事例から親の果てしない愛情を感じました。文字でも言葉でも表すことのできないくらいの愛です。

特に印象に残ったエピソードがいくつかあります。ひとつは世界の発明王エジソンのエピソードです。好奇心が強く、いつも人にしつこく質問していたエジソン。エジソンの母親はそんなエジソンの質問に忍耐強く答えていたそうです。さらに、小学校の授業が合わなかったエジソンに勉強を教えました。科学に興味を持ったエジソンを母親が理解し、体の不自由さえもエジソンは乗り越えたのです。

「天才とは99パーセントの努力と1パーセントのひらめきである」

こう残したエジソン。エジソンの想像を超えるほどの努力を支えたのは、大きな母親の愛情だったのです。私が今、恵まれた環境で勉強できているのは、両親のおかげです。エジソンのように大発明はできないかもしれないけど、私や姉のために毎日働いてくれている両親に胸を張れるように頑張りたいと思います。

奈良時代のある防人のエピソード。妻と一緒に暮らしたいがために、母親を殺そうとしました。山へ登り、刀を抜いて母親を殺そうとしたとき、母親は息子のためなんとか説きふせようとします。それでも聴き入れない息子。母親の首を斬ろうとしたまさにその時、突然足元の大地が裂けてしまいます。母親はとっさに息子の髪の毛をつかみ、天に許しを請います。

親というものは、どうしてこれほど子供に甘くなれるのでしょうか。自分を殺そうとしたのに助けるなんて、私には考えられないことです。親の偉大さに驚いてしまいました。私の親も、今まで何度も苦しいときには支えてくれました。それをうっとうしく感じ、冷たくあしらっている自分が恥ずかしくなりました。

最近のニュースでは、子供が親を殺す、傷つける事件が多く報道されています。親の期待が子供へのプレッシャーになるといったものが多いように感じます。私もプレッシャーを感じることがありますが、親が私を思ってくれているんだと思うようにしていこうと思います。この本には、一般の人のエピソードも多く寄せられています。その中に、親になってみて初めて親のこころがわかったということが書いてありました。私も親になるまでは、なかなか理解できなくて衝突することもあるかもしれないけれど、真剣に向き合って、いい関係を築けるようにしたいと思いました。