息子は小学6年生。多感な時期です。大人のようにも扱ってほしいし、子供でもありたい。時には妹たちの頼れるお兄ちゃんでありたいけれど、妹たちよりも真っ先に自分を見てほしい。
大人ぶった会話をしたり、ドキッとするようなセリフを口にするときもあります。
「母さんはこう思っているだろうけど、俺はこうしたい」
とはっきり言うようになりました。
学校での出来事も自分から話す日もあれば、こちらが問いかけても返事をせず、うるさそうに別の場所へ移動する日もあります。
息子が悪いことをしたときは、もちろん叱りますが、過去のことまで持ちだして、気が済むまでクドクド言ってしまいます。当然、私の気持ちはおさまりますが、息子の心はモヤモヤ、そして部屋に閉じこもる。そんな日もあります。
この本には、「心配な行動や症状の根っこにあるのは、自己評価の低さ」とありました。
学校で心配な行動があると聞いたことはありませんが、家での行動はヒドイです。感情のまま、妹たちをたたいたり、けったり、突き倒したりしていじめるのです。
きっと私が自己評価を低くしていたせいなのですね……。
学校で頑張っているのに、下の子の世話ばかりで耳を傾けず、叱ってばかりだったのが原因だったのではないかと反省しました。
息子の頑張っていることを認めようと気をつけるようになってからのことです。
「最近さぁ、『そうだね』って受け入れてくれるから、なんていうか気持ちがラク」
と言うんです。そして、
「忘れ物多いけど、俺だって忘れたくて忘れているんじゃない。だから忘れ物するなって言わないで。勉強も自分なりに頑張っているんだから、どこまで進んだか聞かないで」。
この言葉にはショックを受けました。私がこの子の心の声を閉じこめていたのだなと思いました。
不思議なもので、うるさく言わないほうが、自分でちゃんとやっていくものなのですね。
今では「この子は自分でちゃんとできる子」と見守っています。
6年生にもなると勉強や委員会、クラブ活動、家に帰っても宿題と、毎日時間に追われながら生活しているようです。
ある日「もう嫌だ。学校休む!」と床に転がり暴れだしました。
「宿題が終わらない。毎日勉強しろって先生は言うけど、俺だってゲームもやりたいしピアノも弾きたい」
と言うのです。息子はピアノの先生になるという夢を持っています。それが練習する時間も自分の時間もない、とパニック状態になったようです。
とにかく気分転換しなければと思いました。
それで息子に何かしたいことはないのかと聞きました。
「明日、学校休んでもいいよ。心も休まなきゃ何もできなくなるから。宿題もしなくてもいいよ」
息子は床に座ってしばらく考えてから、
「もう時間遅いよ」(夕方6時でした)。
「どこか行きたいところあるの?」
「だって、楓(ふう)たち(妹2人)もいるよ」
「一緒に行けばいいでしょ」
そして私たちは古本屋へ向かうことになったのです。どこでもいい、多分、運転席と助手席で私とくっついていたかったのだと思います。普段、妹たちばかりにかまっている私を、車の中だけは独り占めしたかったのでしょう。好きな音楽を聞きながら夜のドライブをしました。
息子の気持ちは晴れたようで、8時頃に家に戻りましたが、あれほど「終わらない」と暴れていた宿題をパパッと片づけ、30分ゲームをして9時には寝ました。
もちろん翌朝は元気に学校へ行きました。
甘えと反抗を行ったりきたり、10代の子はこうやって大きくなっていくのだと、この本を読んで安心しました。
子どもを認め、手伝ってほしいとそばへ寄ってきたときには手を差しのべて、これからも見守っていきたいと思います。