1万年堂出版が開催した
読者感想文コンクールの
入賞作品の一部をご紹介します。

銅賞

『こころの朝』を読んで

嶋田えりさん(13歳・三重県) 中学生の部

『こころの朝』という本は、私にたくさんのことを学ばせてくれました。歴史上の人物のエピソードや、たくさんの人達の話が書かれており、とても説得力のようなものを感じました。特に説得力を感じた話は豊臣秀吉のエピソードです。それは、豊臣秀吉がまだ身分が低かった頃、秀吉の家に仲間が集まりました。男たちは自分達の夢を話していました。「天下を取る」など大きな夢ばかり。でも、秀吉は、
「俺は信長様にお仕えし、苦労を重ね、今、ようやく300石の俸禄を頂く身になった。あと300石、加算してもらえるよう、がんばりたい」
と小さな夢。仲間は笑い、「もっと大きな夢を持ったらどうだ」と言いました。しかし秀吉は、
「おまえらは、所詮、かなわぬことばかり言っている。地に足のついていない目的だから、あせって空回りするだけだ。(中略)一つの目的が成就したら、その喜びをもとに、また、次の仕事に集中していく。一歩一歩、着実に積み重ねていけば、予想以上の結果が得られるだろう」
といいました。私はびっくりしました。大きな夢を追うのではなく、まず小さな夢から追う行動にもおどろきましたが、もう1つの理由が、私の学校の先生に言われたことと似ていたからです。

夏休みのクラブで私はその先生と高校のことを話していました。私の行きたい高校は志望率の高い高校です。

私の先輩が推薦されて行ったので、私も推薦をねらっていると、
「推薦なんてねらわないほうがいい。推薦されなかった時にとてもショックを受けるから」
と言われました。秀吉と先生のいったことが私に突きささったような感じがしました。たしかに、よく考えるとそうだな、と私はすごく思いました。最初から大きなことをねらってはいけない。失敗するとそのショックもとても大きい。でも、小さいことをねらって、それを成功するとうれしいし、ショックも小さい。そして、その成功と失敗をかさねていけば大きなことも成功できるんだなと教えられました。そして、私も、もっと勉強時間を増やして地道にがんばっていこうと思いました。それに、その時に自分に合った高校に行けばいいなと考えるようになりました。

ほかに印象に残っている話は『イソップ物語』の「三頭のウシを食べたライオン」の話です。この話は、3頭のウシがいつも並んで草を食べており、このウシを狙っていたライオンが仲間割れをさせるためウシ1頭1頭に「君のことをバカにしていたぞ」とささやき、これが理由で仲間割れがおこってしまいます。そしてバラバラになったウシをライオンが3頭すべて食べてしまったという話です。これは、人の悪口を真に受けて、仲間や友を疑ってはならないという教訓の話だそうです。

私は昔、いじめられていたためでしょうか、人を疑ってしまうことがよくあります。いけないことだとわかっていても疑ってしまうのです。でも、この物語を読んで、人を疑うことがどんなにいけないことかと、失う代償も大きいことがわかりました。

これからは、友達や人を疑わないようにしなきゃいけないと思いました。友達を失うなんて私はとってもいやですし、周囲の信頼を失わないように、疑わないようにしたいです。この本を読んで心の不安がふっきれた気がします。ほかに教訓になった話もたくさんあります。読んでよかったなあと本当に思いました。もし、私が間違ったことをしそうになったりしたら、この本を思いだしてみようと思います。いろいろなことをおそわったので。感謝の気持ちでいっぱいです。また機会があったら読みたいです。