1万年堂出版が開催した
読者感想文コンクールの
入賞作品の一部をご紹介します。

金賞

『親のこころ おむすびの味』を読んで

悪七美紀さん(15歳・北海道) 中学生の部

「この本、読んでみるといいよ」

母からそう言われ、『親のこころ おむすびの味』を受けとった。「大切な忘れ物を届けに来ました」というキャッチフレーズから、何とも言えないが、心が、何か温かいもので包まれたような気がして仕方がなく、期待を胸にひめ、早速読み始めることにした。

1ページ目をめくり「はじめに」の部分を読んでいると涙が次から次へとあふれ出した。今まで、色々な本を読んできたが、本の最初にある「はじめに」を読み、感動して泣いたことなど一度もなかった私は、自分で、この驚きを隠せないほどであった。それと同時に、この本は涙なくしては読めない、本当に大切な忘れ物を届けに来てくれた本だと実感した。

次のページをめくる。すると、読者の方々の体験談が掲載されており、どれも、親の愛情がぎっしり詰め込まれてあるもので、本は私の涙でぬれてしまい、ふやけて読めなくなってしまうのではないかと心配するほどであった。そして、両親がいるということは、とても幸せであることだと、改めて思い知らされた。

いつも仕事が忙しく、帰りが遅い父。働きながらも家事を素早くこなし、いつも家を掃除し、庭をすてきに保ち続けている母。私は、この2人の家の子供に生まれてくることが出来、本当に幸せだと心から感じることが出来た。今、受験生である私を気遣い、父は、家族でどこかへ出かける時は、運転をしながら、いつも、私の苦手な社会科の問題を出してくれる。母は、私の部屋へ来ては、最近、悩んでいることなどを聞いてくれる。

「チョコレートを食べて勉強するといいよ」と友達に言われ、それを母に話したら、テスト前にはチョコレートを買ってきてくれ、冷蔵庫の中へ入れてくれるようになった。今では、必ずと言っていいほど、冷蔵庫を開けると、チョコレートが入っている。

本当は、私が40近くになる父や母を支えなければいけないのに、両親は、いつも私を温かく見守り、支えてくれている。仕事でいつも疲れているはずなのに、私の前では、笑顔を見せてくれる。私は、両親の愛情をたっぷりそそがれて育っているのだ。そのことに感謝し、今まで以上に「ありがとう」を沢山、言おうと思う。

「お父さん、お母さん、ありがとう」

私は、この本と出会わなければ、今頃、当たり前にある生活を、当たり前として受けとっていただろう。当たり前にいる両親を、当たり前のようにして接していただろう。そんな私に、大切なことを気付かせてくれたこの本は、私にとって宝物だ。この宝物を、いつまでも、私の心の本棚の中にしまっておきたい。

今度、今、反抗期である弟に、この本を読ませてあげようと思っている。そして、兄弟3人で、いつまでも両親を大切にして、私が大人になった時は、両親を守り、いつまでもそばにいてあげたい。

最後に、この本を編集された木村耕一さんをはじめ、体験談を寄せていただいた方々には心から感謝しています。