ありがとう。ありがとう。ありがとう。何回言っても、言い足りないくらいの感謝の気持ちを、私は、両親に伝えたい。
これは、平成2年6月17日、結婚式の日に私が両親にあてた手紙の書き出しです。
翌年5月9日、子供が生まれました。帝王切開で、ちょっと大変だったけれど、お腹から出るとすぐ「オギャー」という大きな泣き声が、部屋中に響き渡りました。その時、私は、小さな声でつぶやきました。「元気に生まれてきてくれて良かったよ」
『親のこころ』には、親が子供を思う心と、子供が親を思う心との2通りあると思います。私は、この本を書店で見て、すごく不思議な感じがしました。字数にすると、ただ5文字の言葉なのに、その奥にある計り知れない何かを感じていました。
そして、次に、その本を手にとって、まじまじと見ている私がいました。
一般に、この世においては、3つの恩があると言われています。「親の恩」「師の恩」「社会の恩」。どれも皆大事かもしれませんが、その筆頭にあげられるのが、「親の恩」ではないでしょうか?
“はじめに”からページをめくっていくたびに、感動でいっぱいになりました。
親と子の絆のかたさを知りました。
親は、子供が「ただいま」と帰ってくるまで心配なんだ。その通りだと思います。
今、娘は中2、吹奏楽部に入ってるので、夜7時頃でないと帰ってきません。もうあたりは真っ暗なので、すごく心配しながら、まだかまだかと待っています。”ただいま”の声がすると、ひと安心です。このように、色々なことに共感を覚えながら、時間のたつのも忘れて活字をおっていきました。そして、ある言葉に目が釘付けになりました。
「絶対に幸せにする。幸せになる」。このことは、誰もが願うこと、人生における最大の目標かもしれません。私は、時々、”幸せ”という言葉を基準にして、「お金」と「健康」どちらが上か、考える時があります。でも、結果はいつも一緒です。やはり、健康に勝るものはないと思います。小さい時から、体の弱かった私は、親にどれだけ心配をかけたことかわかりません。大人になって健康になって、それだけで幸せを感じていました。
でも50歳を目前にして、交通事故にあってしまいました。もう約2カ月間、仕事を休んでいます。この年になって、これほど親に心配かけるとは、夢にも思いませんでした。お母さん、ごめんなさい。でも、私にとって、思いっきり甘えられるのは、母の胸の中だけなのです。
そして、読んでいくにつれて感動で胸がいっぱいになりました。水戸黄門、西郷隆盛、芥川龍之介……。大勢の人の内容豊富なお話が、何ページにもわたって書かれてました。自分に置き換えて考える所も、何カ所かありました。
そして一番身近な話に感じられたのが、第2部です。すべての項目に親しみをもち、無我夢中で読みました。親が子を思い、子が親を思う、そんな「親」と「子」の関係に涙でいっぱいになりました。今日、いろいろな事件がおこっています。悲しいですね。
なぜ、このようなことがおこるのかと考えた時、やはり、お互いの感謝の気持ちが足りないのではないかと思います。
「『ありがとう』が涙で言えなくて……」、このことをみんなが、心の片隅でもいいから、持ち続けてくれたら、世の中は、もっと平和になるでしょう。
私は、この本と出会えて、本当に良かったと思います。今、子供が読んでいます。
読み終えた時、きっと何かを感じとってくれることと思います。