1万年堂出版が開催した
読者感想文コンクールの
入賞作品の一部をご紹介します。

金賞

『光に向かって100の花束』を読んで

西村美和子さん(35歳・熊本県) 一般の部

『光に向かって100の花束』を読み、私は涙が止まりませんでした。自分に欠けていたことをこの本から学び、反省の連続でした。それと同時に感謝の気持ちでいっぱいになりました。

この35年の歩みの中で私は、どれだけ多くの方と出会い、支えられ生きてきたか。最近ようやく周りの方の支えの大きさ、ありがたさを素直に感じるようになりました。

この本に出会うことがなかったら、私は、自分中心に生き、小さな思いやりにさえ気付くことはなかっただろう。目を閉じて、深呼吸して、ゆっくりくつろぎ、この本を読み終えた時、今までの自分を見つめ直しました。
あふれる涙、歯をくいしばっても流れる涙。けど流した涙は、決して無駄な涙ではない。むしろ、この本で得た意味のある反省の涙だ。

この本を私は、なぜ、手にしたのか。「自分の中の何かを変えるきっかけになるのでは」、そう思い、思わず手にしたにちがいない。「その何か」とは、思いやりや感謝の心である。

この本は本当に私に「大切な忘れ物」を届けてくれた。

5歳の息子が、ある日、私達夫婦の結婚式のビデオを見たい、と言ってきた。そこには、10年前の私達の姿があった。にこやかな表情で姑へ花束をあげて、両手で温かく握手する私。ふと、「あの時の私の素直でにこやかな笑顔はどこへ行ったのだろうか」と思った。息子が教えてくれたような気もする。「ママ、仲良くして」って。

9歳の娘が当時2歳の時、私は子どもを流産で亡くした。赤ちゃんが生まれることを楽しみにしていた家族にとって、心に何かぐさっと刺されるような悲しみに包まれた。私は毎日ぬけがらのように泣いていた。

その時、そっと私にハンカチを持ってきたのが、娘だった。「本当は、あなたもたくさん悲しいのに、ごめんね」。私は娘をしっかりだきしめた。

そして、再び新しい生命が宿り、息子が生まれた。母が、生みの苦しみに耐えている腰を、ずっとさすってくれた。

私の両親は、しつけにはとても厳しかった。ほっぺにおしり、母の手が私に飛ぶこともあった。

その母の手が、今まさに母親になろうとしている私の腰を優しくさする。出産後になにげなく目にした母の働く手、優しい手、そして私を育ててくれた手は、2月の寒い冬のせいか、赤ぎれがいくつもあった。この時ほど母親の愛情、偉大さを感じたことはなかった。

だが、ごく普通の幸せな生活が、いつの間にか、あたり前のように思えた。気付くと自分の思うがままの生活であった。

そんな時、この本が私の目に留まった。私を原点においてくれた。

私は今、幸せいっぱいな人生を過ごしている。この本が教えてくれたこと1つ1つを私の心の教訓として、決して忘れてはいけない教えを、今、宝物として生きている。子育てが出来る喜び、健康な体に恵まれ仕事が出来ることへの感謝、人は1人では生きていけないことも、痛いほど体で感じた。

「くじけそうな時、心がスランプぎみの時、この本をまた読みたい」と思う。人として一番大切なことは「思いやり」と気付かせてもらえたこの本に、ただ感謝です。

最近、私は健康だがやせてきた。鼻血もよく出て、ティッシュをつめていろいろやっている。かぜも家族の中で一番多くひく。周りの人の大きな体がうらやましくなり、くやし涙も流した。

でも今は思う。「ティッシュをつめた私も私なんだ」って。「それが私のトレードマークかな」ってね(笑)でもね、36回の献血をやってる体でもあるんだよ。体は小さいけど、「生きたい」という気持ちは人一倍強い。

生きている今、私はこの本で学んだことを大切にしたい。自分が死ぬ時に後悔しないように、そして、多くの方々へ、「ありがとう」の言葉が言える人間になって死ねたら、この本を手にした本当の意味での成功だ、と思う。

この文章を、なかなか思うように書けませんでした。目の前の作文用紙が、ぼやけて書けませんでした。涙で。

でも、その涙を私は笑ってふいて素直に受け入れた。本屋さんでは星の数のようにある本の中で、偶然にも私の心に留まり、手にした1冊の本が、こんなに私の心の支えになるなんて、正直思いませんでした。子ども達にもこの本のすべてをゆっくり教えていくつもりです。

『光に向かって100の花束』は私に100の教え、いやそれ以上の教えを届けてくれました。あんなにわがままだった私、主人の父と大ゲンカした私。反省でいっぱいです。この本がなかったら今、私はどうなっていただろう。私の小物置場に大切に置いてある1冊の本、いつも感謝の心でいるように置いています。そして、これからも多くの本を読み、私なりに、ひとつずつ、ゆっくりあせらず教訓として学びたい、と思います。

私が感じた子育て、子どもは、どんなにお母さんにしかられてもお母さんが大好き。ティッシュをつめたお母さんでも、子どもは喜んで私の胸にとびこんで来ます。がんばります。

この本と、そして、周りの方の笑顔が私の支えです。この支えの大きさに、「ありがとう」の思いでこの文章を書きました。「ありがとう」