1万年堂出版が開催した
読者感想文コンクールの
入賞作品の一部をご紹介します。

銀賞

『光に向かって123のこころのタネ』を読んで

黒澤優希さん(15歳・茨城県) 中学生の部

1万年堂出版の本の中で、初めて出会った本、『光に向かって123のこころのタネ』は、とても印象に残っています。そして、出会った当時のことを明確に覚えています。

平成14年の夏の、僕の誕生日のときでした。

僕は誕生日プレゼントを買ってきてくれる父を待っていました。そして8時を少しまわったとき、車の音が聞こえてきました。僕は全速力で玄関に向かい、父を出迎えました。

「お帰り」

「珍しいな、普段は出迎えなんてやらないくせに」

そんな事は僕にとってはどうでもよく、早くプレゼントが見たい一心でした。

「あれは?」

父は得意な表情で、靴を脱ぎながら、言いました。

「ああ、これか」

プレゼントが入っている紙袋を受け取り、早速中を見ました。その中には、前からねだっていたMDプレーヤーと、1冊の本が入っていました。

「この本、何?」
と父に尋ねてみると、父は答えました。

「たまには読書もいいだろ」
と、それだけ残して2階に上がっていきました。僕は答えになっていない父の発言に疑問を抱きながらも、プレゼントを持って部屋に戻りました。

その数日後、僕はMDプレーヤーは毎日のようにいじくりながらも、例の本は机の上にポツンと置いてあるだけでした。

そして、夏休みも終盤にさしかかった日のこと、僕は宿題に悩まされていました。そして、後回しにしていた読書感想文にぶちあたりました。普段本を読むといったら漫画くらいなもので、小説や、随筆といったジャンルは全然無関心でした。

そこで僕は例の本を思いだしました。誕生日以来ずっと机の上に置いてあった本を取ると、前半は短い文章ばかりで、本嫌いの僕でも読めそうな気になりました。

そして、少しずつ読み進めていくと、後半の長文も難なく読みきってしまいました。今まで本嫌いだった僕がこんなに速く読めるんだと自分でも驚きました。そして、それを機に本を読むようになりました。

父がこの本を買ってきたことが今になって、何か伝えたかったのだろうと思います。そして、この本を読んでからは、人生の教訓にもなったし、人生観が変わりました。

この本の中でも特に好きな作品は、「平成(平和に成る)」という作品です。戦争を経験したことのない僕にとって、誤解していたことでした。戦争とは、相手国を侵略することだけだと思っていました。しかし、本当の原点は、平和を強く願っている人たちが争いをしているのだと気づきました。

この短い作品から、何百年の歴史の誤解を解くことができました。そしてこれからも自分の視点を変えるため、人生をよりよくするため、本を読んでいきたいと思います。

光に向かって123のこころのタネ

光に向かって123のこころのタネ

高森顕徹(著)