『なぜ生きる』を読んで
「どうして私はここに生まれてきたんだろう」
そう思ったのは小学校の頃でした。
両親は私が1歳半の時に離婚し、幼い私は父親に引きとられました。
小学生になると、様々な行事などがあり、周りの級友達が母親と楽しそうにおしゃべりをしているのを横目に、私は初めて、むなしいという感情を覚えたのです。
行事には父が参加してくれたものの、仕事の都合で途中で帰ったりする事がほとんどでした。
決して裕福ではなかったため、お父さんは忙しいのは仕方がないんだと子供ながらに我慢し、心の半分では「何で私にはお母さんがいないんだろう」と憎む気持ちさえありました。
そして、一番疑問に思った事、「私だけがどうして不幸な思いをしなくちゃいけないの?」と。
あれから10年、時間を無駄に過ごしてきました。
そんな高校2年生の夏、私は不思議な縁で素敵な友に出会い、友から『なぜ生きる』の本を手渡されました。
元々本を読まない私なのですが、題名や目次を見ていると何かが心に引っかかり、それに、せっかく友からもらった本なので読まなきゃ悪い気がして、軽い気持ちで読んでみる事にしました。
読んでみて、驚かされる事ばかり書いてあって、ほとんどに共感させられました。
今まで何となく生きてきた私の心に深くトゲが突き刺さり、『なぜ生きる』を読まずにはおれない気持ちになったのです。
実は祖母も同じ本を持っており、私がこの本に出会う前に私に問いかけていた事を思い出しました。
「なぜ苦しくても生きないといけないのかわかるね?」と。
私はその質問にこう答えました。
「生きているから生きるんだよ、死にたい人は無理に生きる事はないと思う」。
その時の私は目的も知らず、適当に生きていたので、そう答えるしかなかったのかもしれません。
人間に生まれてきたからには生きる目的がある。目的も知らないままこの世を去っていくのはあまりにも無念だと思いました。
人間の欲は深いものだと実感したのも事実です。
人はお金のためならどんなに嫌な仕事でもします。
そして名誉のために外見ばかりで中身を捨て、人の上に立ちたがります。きっと善い事をする人はなかなかいないと思いました。
たとえ善い事をしても「ありがとう」の一言を期待しているだろうし、心の奥底では「善い事をした」とうぬぼれている人がほとんどだと思います。
うぬぼれぬ心で善い事が出来れば、どんなに素敵なことかと思いました。
今の時代は自殺者が多く、少年少女の事件も多いのが悲しい現実です。
「死」を避けているから命の尊さを知らない。
決して家庭が複雑なわけではなく、何でもお金さえあれば買える世の中で、いくら欲を満たそうとしても満たせない心の穴のため、何をしていいのかわからず混乱してしまい、思い通りにならないことに腹を立て、残酷な事件が起こるのではないかと思いました。
以前の私は、悩みが数えきれない程あり、自分は不幸だと思っていたのですが、世界にはご飯もろくに食べられない子や、勉強がしたくても家が貧しくて学校へ通えない子ども達の事を思うと、私が今までした事や思ってきた事に対して本当に申し訳がないという気持ちになりました。
私は中学生の頃、何もかもが嫌になって逃げ出した事がありました。
学校へ行くふりをしてサボった事も何度もあります。こんな自分がとても恥ずかしく感じました。
現在の私は、毎日が充実して考え方も、以前より前向きになっていくのがわかります。
小さな目標から大きな目標まで見つける事もできました。
この本に出会い、いろんな事実を知らされ、普段生活している中で考えないような事まで考えさせてくれて、360度私の人生は変わるに違いありません。
私の将来就きたい職業は警察官です。
警察官になって一番したい事は、非行少年少女に夢や希望を与えてあげる事です。
生きる目的がある事を1人でも多くの人に伝えたいという気持ちが強いです。
「なぜ生きる」。
その真実を知る事で、むなしさやちっぽけな悩みも消え、こんなに自分が変わる事ができて、生きるってこんなに素晴らしいとは思いませんでした。
もっと中身を磨いて、1歩1歩前進し、崩れない幸福をつかみたいです。
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