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人間には、大きく分けて3つのタイプがあると言われています。

(1)他人に優しくすることや感謝されることで、幸せを感じるタイプ

(2)自分の利益や欲求を満たすことで、幸せを感じるタイプ

(3)自分と他人の両方を大切にし、バランスを求めるタイプ

あなたは、3つのうち、どれに当てはまるでしょうか?
また、それぞれに長所や短所がありそうですが、最も成功しやすいのは、どのタイプの生き方でしょうか。

哲学者の伊藤健太郎先生から、「利他(りた)」をテーマにお話をお聞きしました。

人生の目的と、深い関係がある「利他」について、掘り下げたいと思います。

 

「与える人」こそ成功する

───今日のテーマは「利他(りた)」ですね。聞き慣れない言葉ですが、どのような意味でしょうか?

「利他」とは、他人の幸福のために行動することをいいます。

自分のことは後回しにして、他人の幸せを優先する「利他主義」に対して、自分の利益だけを追求するのが「利己主義」(エゴイズム)です。

皆さんの周りには、困っている人のために自分の時間や財産、能力を進んで「与える」タイプの人もいれば、それとは反対に、助けてもらったり、教えてもらったりするばかりで、「奪い取る」ことしか考えていない人もいるのではないでしょうか。

ほとんどの人は、その中間でバランスを保っています。

親切にしてもらった相手には、それ相応のお礼をしますが、恩を仇で返されたり、「利用された」と感じたりしたら、そんな人からは遠ざかるという、「ギブアンドテイク」の処世術です。

───「与える」「奪う」「ギブアンドテイク」の3通りの生き方があるのですね。いちばん成果を上げられるのは、どんな生き方でしょうか?

組織心理学者のアダム・グラント教授は、世界中でベストセラーになった著書『GIVE&TAKE 「与える人」こそ成功する時代』で、分野を問わず最も成功するのは、「与える人」だと論じました。

この本では、長い目で見れば、自分より他人の利益を優先する人が最大の恩恵を受けることを、豊富な実例とデータで示しています。

───与えてばかりだと損をしてしまう感じがしますが、成功の秘訣は「思いやり」なんですね!

その通りです。
「思いやり」が成功を生む理由として第一に挙げられるのは、「与える人」は評判がよく、豊かな人脈を築けることです。

多くの人とのつながりがあれば、情報、知識、技術が集まりますし、有力者と親交があれば、影響力も手に入れられるでしょう。

これらは成功に欠かせない要素です。

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「奪う人」は、自分の能力をアピールして上司に取り入るのがうまいので、巧みに人脈を広げますが、しょせん利益が見込める人としかつきあわないので、範囲が限られます。

同僚や部下には傲慢な態度をとるので、悪いうわさが広まり、結局は下心があって近づいていたことを見抜かれてしまうのです。

自分に利益をもたらさない相手に、どう接するか。人の本性は、そんなところに現れるものなのでしょう。

───たしかに、損得で態度を変える人は、周囲にも敵が多くなりそうです……。

そうなんです。「奪う人」は周囲と競争して成功をつかむので、負けた人たちは、チャンスがあれば引きずり下ろそうとします。

ところが「与える人」は、相手が得をするにはどうすればよいかを考えて仕事をするので、味方が増える一方です。

敵がいないのですから、これほど成功しやすい環境はないでしょう。

(『月刊なぜ生きる』令和5年7月号「私たちは、なぜ生きるのか」より)

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伊藤健太郎先生、ありがとうございました。

伊藤健太郎先生の「私たちは、なぜ生きるのか」は、1万年堂出版の月刊誌『月刊なぜ生きる』で好評連載中です。

 

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