トルストイ、稲盛和夫も驚嘆の寓話
「やがて死ぬのになぜ生きるのか」
根源的な問いを追求したロシアの文豪トルストイは、晩年に『懺悔』を著しています。
当時のロシアでは、トルストイの影響力を恐れた政府によって、この作品は発刊禁止となりました。
しかし、それでも、多くの人々に読まれ、衝撃を与えました。
その中に、トルストイが東洋のある寓話に出会い、深い感銘を受けたことが書かれています。
これは寓話どころの騒ぎではなく、まことの、議論の余地のない、誰もが承知している真理なのである。
(『懺悔』トルストイ(著)・中村融(訳))
実業家・稲盛和夫氏の『生き方』にも引用される、この有名な寓話には、私達の心を表した「青い毒龍」が出て来ます。
「青い毒龍」とは、一体、何をたとえられているのでしょうか。
青い毒龍=欲の心
この「青い毒龍」は、私達の「欲の心」を表しています。
「欲」とは、無ければ無いで欲しい、あればあったで欲しい、と際限がない心のことです。
欲が青い毒龍にたとえられるのは、「もっともっと」と際限なく増えていく特徴が、深いほど青さを増す海に似ているからとも言われます。
色々な欲がありますが、中でも代表的なのが、食欲、財欲、色欲、名誉欲、睡眠欲の五つです。
●食欲……食べたい、飲みたい心。少しでも良いものが食べたい、飲みたい欲望。
●財欲……金銭や財産を増やしたい欲望。
●色欲……愛欲とも性欲ともいわれ、異性との恋愛を求める欲望。
●名誉欲……褒められたい、認められたい、評価されたい心。
●睡眠欲……眠たい、楽がしたい、面倒なことはしたくない心。
限りなき欲に振り回されて、苦しんでいる
食欲や睡眠欲が無ければ、生きていけませんし、
財欲や名誉欲が無ければ、政治や経済、科学の発展もなくなってしまう、の声も聞かれます。
しかし、この欲の心で私たちは、煩わされたり、悩まされたり、人にはとても言えないおそろしいことを思ったり、この欲の心が元で恐ろしいこともしてしまいます。
ニュースで報道される犯罪もこの欲の心が元になっているものも多いのではないでしょうか。
このように恐ろしいことを思わせたり、やらせたりする元である欲の心を青い毒龍に例えられているのです。
「泣きながら良い方を取る形見分け」という、江戸時代に詠まれた有名な川柳があります。
親の死に目にあったとき、別れを悲しみながらも、形見分けとなるとどうでしょうか。
母親が履き古した草履と、タンスの奥のダイヤの指輪。
母親を偲ぶならば、履き古した草履でしょうが、スッ……と手が引き寄せられるのは、ダイヤの指輪でしょう。
親が亡くなり、厳粛な気持ちになる一方で、浅ましい欲の心が動くことはないでしょうか。
遺産相続で骨肉相食む争いもこの欲の心が引き起こす惨劇なのです。
今回は、「青い毒龍」にたとえられている私たちの「欲の心」について解説しました。
冒頭に紹介した「ブッダの寓話」には、この他にも、古今東西変わらぬ人間の姿が様々なものに例えて教えられています。
このブッダの例え話を元に、人生の本質が解き明かされているのが、今年7月に発刊された『人生の目的』です。
発売から3ヶ月で、6万部を突破。
今までの人生に、一つもムダはなかったのだ、と喜びの声が続々と届いています。
読者の皆様から届いた感想の一部を、ご紹介します。
心にささる昔話も多く、人生の師のような本です。
己の歩んできた人生にはムダはないという言葉は、最後にホッとし、少し救われたような気がします。(栃木県 44歳・男性)
いっきに読みました。
ひとつずつ納得しながら「ムダは一つもないのだよ」といわれて、人間に生まれた唯一の目的を果たす道程だったのか……と思いました。(兵庫県 74歳・女性)
『人生の目的』の詳しい情報は、こちらからどうぞ!