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プロローグ~産婦人科院長・たなべ良平
発刊に寄せて~心療内科医 明橋大二
待ちに待った、田邉良平先生のソフロロジーの本がついに世に出ることになりました。
この本の完成を心から願っていた者として、これほどうれしいことはありません。
田邉先生との出会いは、平成23年11月、福岡県で行われた日本ソフロロジー法研究会学術集会で、講演を依頼された時に遡ります。
私はもともと、青年期を中心とする精神科診療の場で、リストカットや家庭内暴力を繰り返す患者さんと多く出会ってきました。
その生い立ちを聞いてみると、子ども時代にいじめや虐待など、さまざまなトラウマを抱えていることに気づきました。
もし子ども時代に、彼らがその心のSOSに気づかれていたならば、大人になってからこんなにつらい思いをせずにすんだのではないかと思い、精神疾患の予防として、子どものメンタルヘルスに関わるようになりました。
ところが、子どもの診療をしているうちに、その親御さんがまた子育てに悩み、追い詰められていることに気づきました。
そして最後に行き着いたのが「子育て支援」でした。
親御さんを支えることが、子どもを健やかに育むことになる、そういう現場の思いを本にしたのが「子育てハッピーアドバイス」で、幸い多くの方に読んでいただくことができました。
ところが、そのうち私は大きな壁にぶち当たりました。
あるお母さんは、子どもを出産した時のことを振り返って、こう言われました。
この子を身ごもった時、私は姑のいじめに耐えかねて、真剣に離婚を考えていました。
しかしそんな時に、この子の妊娠が分かりました。
もうこれは産むしかないと思って、離婚はあきらめましたが、その後、自分が離婚できなかったのはこの子のせいだと思うと、どうしても可愛く思えませんでした。
この子が生まれてからもその思いは変わらず、だから生まれてから半年間、一度も自分からこの子を抱っこすることができなかったのです。
別のお母さんは、妊娠が分かっても、薬の大量服薬がやめられず、何度も救急車で運ばれました。
それはまるで、自分と赤ちゃんを、一緒にこの世から抹殺しようとするかのようでした。
子育て支援と言うけれど、子育てはすでにおなかの中から始まっている。
ならば、親のサポートは、妊娠した時から、始めなければならないのではないか。
しかし精神科医である私には、妊娠出産についての現場経験もなく、何をどう書いたらよいのか、途方に暮れていたのです。
田邉先生と出会ったのは、まさにそんな時でした。
田邉先生から、ソフロロジーの話を伺って、ここに私の求めていた答えがあると確信しました。
同時に、妊娠中からの親のサポートに、何が必要なのか、明確にイメージができたのです。
ソフロロジーの大きな特徴の一つは、産前教育がしっかりしていること、と言われます。
しかしその産前教育とは、親に「あれをしなさい、これを気をつけなさい」と説諭することではないでしょう。
ただ親に、赤ちゃんが何を感じているのか、何を想っているのかを伝えること、それだけで「お母さんスイッチ」が入るのです。
そして、親に、安心と自信を届けること。それはもう、「妊娠中からの子育て支援」そのものです。
そのようにサポートを受けた親子は出産の時からすでに心の絆ができています。
それは間違いなく、その後の大変な子育ての時間を乗り越える力となるでしょう。
ハッピーアドバイスの原稿を、田邉先生に見ていただいた時、先生から言われた言葉があります。
「ぜひ今度は、一緒にコラボで本を出しましょう!」
コラボではありませんが、田邉先生の言葉の一言一言は、私の願いとぴったり一つです。
このような形で出版が実現したことを、私は心から(たぶん著者よりも!)喜んでいるのです。
これから妊娠・出産を考えておられる方、はじめてのお産に不安を感じておられる方、すべての親御さんに、この本をぜひ手に取っていただきたいと思います。
そして、これからはじまる子育てのドラマが、ぜひ幸せなものであってほしいと心から願っています。
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