こんにちは!1万年堂出版編集部の北垣です。
いよいよ始まります、明橋先生の子育てハッピーレッスンの第1回は、「自己肯定感の基本」についてです。
自己肯定感は大切、ということは分かったつもりでも、「それって、一体何?」と聞かれると、なぜか答えられなくなってしまうのではないでしょうか。
私も知った喜びで「自己肯定感」という言葉を使いすぎてしまい、「難しすぎる!」と、伝えるどころか、心を閉ざされてしまったことがありました。
まずは、人にも簡単に説明ができるぐらいの、「自己肯定感」のツウになりましょう。
基本の図も入れましたので、ぜひ理解役立ててください。
それでは、明橋先生よろしくおねがいします!
「自己肯定感」は単なる自信とはちがう
子育てで一番大切なことは何でしょうか。
しつけも大事、勉強も大事。でも、最も大切なことは、自己肯定感を育むことです。
自己肯定感とは、自分で自分のことを肯定する気持ちのことです。
分かりやすくいうと、
「自分は大切な存在」
「生きている価値がある」
「私は私でいいんだ」
と思える気持ちをいいます。
誰もが当り前に持っている気持ちのように思いますが、実はみんながみんな、この自己肯定感が満足に育っているわけではないことが、ここ十年以上続く日本の調査で分かっています。
平成26 年に内閣府から発表された、子ども・若者白書では、「自分自身に満足している」と答えた子どもが5割弱、「自分には長所がある」と答えた子どもが7割弱で、いずれも諸外国の中で最も低くなっています。
よくこの自己肯定感を、単なる「自信」だと思って、「あまり自信が高すぎるのもどうかと思う」「人間、少しは謙虚じゃないと」といわれる場合があります。
これは、自信といっても、2段階あることが知られていないからです。
2段階の自信「“存在への自信”と“能力への自信”」
第1段階は、存在への自信です。
自分はここにいていいんだ、ありのままで存在価値があるんだ、自分はいらない人間なんかじゃないんだ、という気持ちです。
これを「自己肯定感」といい、親や周囲の人が、無条件で自分の存在を喜んでくれることから育まれる気持ちです。
第2段階は、能力への自信です。
これは、勉強ができる、スポーツができる、片づけができる、などという、自分の能力への自信です。
これは周囲の人から認められたり、ほめられたりすることによって育まれます。
どちらの自信も大切です。しかし、人間が生きていくときに、まず大切な自信は、存在への自信です。
能力への自信は、努力や、周りからの評価によって高められる反面、いろいろな状況で失うこともあります。勉強で失敗したり、スポーツで負けたりです。
ところが、そこで、「今度こそ」と思って、また立ち直ってがんばることができるか、「どうせ自分なんて」とあきらめてしまうかは、存在への自信、自己肯定感によるのです。
これに高すぎるということはありません。
自分のありのままの価値を認める、自分の命の価値を認める、このことに行き過ぎはないということです。
この土台になる自己肯定感は、年齢でいうと、だいたい3歳ごろまでに築かれます。
赤ちゃんなら、おなかがすいたらミルクをもらう、うんちをしたらおむつを換えてもらう、そして、泣いたら抱っこしてよしよししてもらう。
一緒に遊び、笑い、喜びや悲しみをともにするままが、子どもに安心感を与え、自分は大切な人間なんだ、生まれてきたよかった、という気持ちを育んでいくことになります。
自己肯定感が低いままでは、しつけも勉強も身につかない
この自己肯定感が土台となって、次に身につくのが、しつけや生活習慣です。
年齢でいうと、言い聞かせが通用しはじめる3歳ごろから、6歳ごろまでです。
朝起きて夜寝る、トイレや着替えができる、あるいは、自分と他人のものの区別がつく、順番が守れる、などがこの時期に身についていきます。
こういったことが身について、次に可能になるのが勉強です。
それまでに自己肯定感をしっかり育んでもらって、その上で、しつけ、生活習慣を身につけた子どもは、6歳くらいになると、いろいろなことに対する好奇心が出てきます。
そういうときに勉強を教えてもらうと、より自然に入っていくため、小学校が6歳くらいから始まるというのは、理にかなっているのです。
これを逆転させて、しつけや勉強を先に身につけさせようとすると、どうなるでしょう。
実際、子育てが始まって、まず親に入ってくる情報は、自己肯定感よりも、しつけや教育に関するものがほとんどではないかと思います。
知育玩具に早期教育、「トイレや歯みがきを早くに身につけさせるには?」といったマニュアルにあふれています。
しかし、自己肯定感が育っていない中で、ガンガンしつけや勉強を教えようとしても、なかなか身につきません。
身につかないどころか、逆に、そういうことを厳しく言えば言うほど、よけいに自己肯定感が低くなります。
そうすると、子どももやる気を失い、ますます怒られ、さらに自己肯定感が低くなる。そういう悪循環になっている子が少なくないのです。
あるいは、しつけや勉強が、めざましく身についているように見えても、自己肯定感の土台がないまま、先ほどの「能力への自信」だけを築いた場合、何かの状況でその能力を失ったときに崩れてしまいます。
まずは、「自分のいいところも悪いところも、みんな受け入れられ、大切にされている」という、自己肯定感育むこと。
しつけやルールの根本にあるのは、「相手のことを大切に思う心」です。
まずは自分自身が、大切にされる体験をじゅうぶんしなければ、決して他人を大切にすることはできません。
ですから、相手のことを大切にしたり、ルールを守ったり、勉強に意欲を持てたりするための土台になるのも、この自己肯定感なのです。
まとめ
- 子育てで最も大切なのは「自己肯定感」。自己肯定感は単なる自信ではない
- 自己肯定感には「存在への自信」と「能力への自信」の2段階がある。生きていく上で土台となるのが「存在への自信」。「存在への自信」が高すぎる、ということはない
- 自己肯定感が土台となり身につくのがしつけと勉強。自己肯定感が低いままでしつけや勉強をさせても身につかず、自己肯定感もさらに低くなる
土台である自己肯定感の大切さについて、詳しく学びました。
次は、それを育む方法についてのお話です。
次回「レッスン2」のご案内
・いつからでも始められる、自己肯定感を育む8つの方法
8つも方法があるなんて、安心できますね。
引き続き学んでいきましょう!