東洋医学の専門医・清水和彦先生による「心と体の健康法」シリーズです。
前回までは、「自己評価を高めて、心身を健康にする方法」を紹介していただきました。
今回からは、悩みの解決や目標達成に有効と注目を集めている「NLP」について、その基礎から具体例まで、4回にわたって教えていただきます。
(1万年堂ライフ編集部)
今日から改善したい!心にもある“生活習慣”とは
今の感情は、快でしょうか、不快でしょうか。
不快なマイナス状態の感情では、それが自分の表情や言動に表れ、人間関係もギクシャクし、すべてに悪影響を及ぼすことになります。
生活習慣に問題があれば、糖尿病や高血圧などの生活習慣病のリスクが高まります。同じように、心にも生活習慣があるのです。
今まで続けてきた習慣を、すぐに、がらっと変えることは難しいかもしれませんが、チェンジは可能です。
“君子は豹変す”と、中国の古典「易経」に書かれています。
昨日まで毎日行っていても、悪いと分かれば、今日からは中止する。逆に、よいと分かれば、すぐに今から行う。
それが立派な人であると教えています。
ところが、頭で分かっていても、そのとおりにできないことが多いのです。
なぜドラえもんはネズミを恐れるのか?変われない理由
私達の脳は、コンピューターと同じように、多くのプラグラムが正確に働いています。
ある刺激(インプット)に対して、どういう結果(アウトプット)が出るか。それは、プログラム通りに作動します。
ドラえもんは、ネズミに耳を噛じられてから、ネズミを恐れるようになりました。
多くの猫は、ネズミの視覚情報がインプットされると、餌かオモチャだと判断します。そして、瞬時に追いかけるという行動を取ります。これがアウトプットです。
ところが、ドラえもんは、ネズミに対して、自分に危害を加えるものと判断し、逃げるという行動をとるようになったのです。
脳の中でそのようにプログラムが作られてしまったのです。
ネズミの視覚刺激に対するプログラミングが、ドラえもんは、一般の猫と異なっているのです。ネズミは怖くないと考えようとしても、身体が逃げてしまう。
意識の働きは微弱であり、潜在意識に逆らうことは難しいのです。
“プログラム”を変えれば、嫌なこともポジティブに変換できる
潜在意識は、意識の2万倍の力があるともいわれます。
人間でも、「犬が嫌い」という人、高所恐怖症の人など、何か幼少期に怖い体験をしたと思われる例があります。
あるいは、人から注意されると“叱られている”と判断して、萎縮してしまう人もいれば、“頑張れと励まされている”と判断して、努力する人など、さまざまです。
ネズミや犬、高所、注意。
これら自体は、よくも悪くもない。言うならば、無色透明です。
それをどのように認識し、判断するかは、各々のプラグラミングによるのです。
プログラムが変われば、ネガティブ思考からポジティブ思考になったり、悲観から楽観に変わったりします。
ある刺激や情報に対しての結果を変えたいなら、プログラムを変えればよいのです。
過去の事実は変えられないけれど、その事実に対する印象や解釈は変更可能です。
他人を変えることは難しいが、自分を変えることは可能です。
そして、未来をも変えることができるのです。
「NLP」とは、脳内プログラミングを変更する手法
こういう考えのもと、元々、精神科の分野で使われてきた手法が
“NLP(neuro-linguistic programing)-神経言語プログラミング”
です。
「脳の取り扱い説明書」ともいわれています。
NLPを始めたアメリカ人、リチャード・バンドラーは、次のように定義しています。
人々にどのようにして人生の質を高めるのかを教える、在り方であり、方法論であり、テクノロジーである。
自分自身や他の人たちと、より効果的にコミュニケーションをとる方法を教える教育的なツールである。
彼らが考え、感じ、行動する方法において、個々の自由を持つことを助けるようにデザインされている。
(「NLPの教科書」(前田忠志著、実務教育出版、2012年4月5日)より引用)
自由に自分の能力を高め、よりよいコミュニケーションをとるための手段ということです。
NLP(neuro-linguistic programing)は、神経言語プログラミングと訳されます。
神経とは、視覚、聴覚、身体感覚、嗅覚、味覚の五感です。
これら五感を通して得られた情報を、言葉にして思考し、意味づけして、自己と対話したり、他人とコミュニケーションをとったりします。
そして、特定の情報に対する思考や行動パターンを、脳内にプログラミングすることになります。
したがって、特定の刺激情報に対して、望む結果が得られなければ、脳内プログラムを変更すればよいのです。
自分は変えられる!NLPの成り立ちと、基本的な考え方
この手法は、1970年代にアメリカで、リチャード・バンドラーとジョン・グリンダーによって体系化されました。
どのようにして考え出されたのか。
当時、際立って成果を上げていた三人の心理療法家(セラピスト)がいました。
ゲシュタルト療法のフリッツ・パールズ、
家族療法のバージニア・サティア、
催眠療法のミルトン・エリクソン。
これら3人が、なぜ際立った成果を上げることができたのでしょうか。
リチャード・バンドラーとジョン・グリンダーは、それらのセラピストの診療の仕方、言葉の使い方などを調べて、その要因を追求し、誰でも同じような効果が出るようにポイントをまとめたのです。
その後、コミュニケーションを改善したり、自分のパフォーマンスをアップしたりすることに広く応用され、今は日本でも、NLPの複数の協会ができています。
最近では、潜在意識に働きかけて、プログラムを修正する手法がいろいろと考え出されています。
基本的な考え方として、「過去の事実は変えることはできないが、その事実に対する印象や解釈は変更可能」です。他人を変えることは難しいですが、自分を変えることはできるのです。
自由に、そして臨機応変に、未来を変えることができます。
脳内プログラムを修正し、パフォーマンスをアップし、コミュニケーションを改善するのが、NLPという手法です。
感情をプラスにするのに、大変役に立ちます。
具体的にどうするのか、次回から順次、説明していきます。
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