日本では3組に1組以上が離婚しているといわれます。離婚は決して他人事ではない問題といえるでしょう。
トラブルを未然に防ぐために最も気をつけるべきこととは何でしょうか?
数々の相談を受けられている弁護士の小倉悠治氏にアドバイスをいただきました。
離婚トラブルは、お互い話ができるうちに相談を
長らく「弁護士の仕事はトラブルの解決だ」といわれてきました。
「トラブルが起きてから頼むのが弁護士」であったのです。
そのため、どれだけ迅速に、どれだけ適切にトラブルを解決するか。これが弁護士の腕の見せどころであったわけです。これはこれで、とても重要なことです。
しかしこの仕事を続けていると、思うことがあります。
「もっと早く相談に来てくださっていれば、いろいろな解決があったかもしれない」ということです。
例えば、離婚の相談に来られたとき、「もう同じ空気を吸うのも嫌だ!」と言われてしまえば、修復は難しいと言わざるを得ません。
でも、「最近、夫婦の間がうまくいっていないんです」という相談であれば、まだ何とかなります。
私の経験でも、離婚の相談で来られたものの、相手に対する考え方・接し方についてアドバイスをし、結果的には離婚の危機を脱したというご夫婦もあります。
トラブルを多く見ているからこそ、どこでつまずいているのかもよく分かります。
相手に感謝を伝えていますか?
一つ、アドバイスの例を挙げるならば、夫婦の間で「ありがとう」と感謝の言葉は伝えているでしょうか。
相手のしてくれることを、当たり前だと思っていませんか。
ご飯を作ってくれて当たり前。
掃除をしてくれて当たり前。
働いて給料を稼いできてくれて当たり前。
子育てをしてくれるのは当たり前。
買い物に行くとき、運転してくれるのは当たり前。
この当たり前に思っていることを、「当たり前ではない」と思い直すところから感謝ができるようになります。
感謝の言葉を伝えるだけで、ずいぶん変わります。
職場や家庭の外では、人が何かしてくれた時、「ありがとうございます」と言いますよね。
でも、同じことを配偶者がしてくれても「ありがとう」が言えない。当たり前だと思う。ありがとうと言うのは恥ずかしい。
その心と向き合っていくことで、夫婦の関係がよい方向に変わります。
食事を作ってくれたとき、
「とてもおいしかった。いつも作ってくれて本当にありがとう」
と言えるか、
給料を持ってきてくれた時、
「いつも一生懸命働いてくれてありがとう。本当に助かっているわ」
の一言がいえるか(最近は振り込みが多いかもしれませんが)、
感謝しようと思った瞬間、感謝のしどころは無数にあることに気づきます。
職場の人間関係も、“感謝”で劇的に改善する
実は、このことは職場も同じです。
「この仕事はこの人の仕事。当たり前のこと。やってくれて当然」
こう思っていれば、感謝もできません。
社長さんの立場からすれば、「給料を渡しているのだから、やってくれて当たり前」。
従業員の立場では、「これだけ働いているのだから、給料をもらって当たり前」。
お互いが当たり前と思っていては、感謝ができません。
そうではなくて、
「働いてくれてありがとう」
「給料を下さってありがとう」
このように感謝することで、関係は劇的に改善します。
よく、ほめることが大事といわれます。
確かにほめられるとうれしいですし、喜んでもらえれば、ほめた側もうれしいです。
ただ、ほめたとしても、相手が恥ずかしがり屋さんだったりしますと、「いえいえ…」となってしまうことも。一方、感謝の言葉であれば、より素直に受け取りやすいものです。
そしてもう一つ。感謝の言葉を言うようになると、いかに自分が周りの人に支えられていたかが分かります。
やってみると、違う世界が開けますよ。お勧めです。