「忘れたらスマートフォンで検索すればいい」
そんな時代でも、どの試験も暗記を避けて通ることはできません。
試験によっては暗記のみで合格点をとれるものもあります。暗記だけでは合格点がとれない試験でも、基本的なことは暗記した上で応用問題を解くことになります。
試験に合格しなければ次のステップに進めないのならば、覚えることに意味があるかどうかの問題ではなく、合格するために覚えなければなりません。
効率よく暗記する方法があれば知りたい…!
そんな切実な思いに、勉強法・仕事術のアドバイザー 麻田喜照さんに答えていただきました。
勉強のコツは、学んだことを復習することにありますが、暗記のコツも「忘れる前に反復する」ことにあります。
その暗記のコツを方法化したのが「とにかく回転法」と「皿回し暗記法」です。
「とにかく回転法」「皿回し暗記法」と聞いて、イメージがわく人は、あまりいないかもしれません。
この暗記法の内容は、実は、どの資格の専門学校でも、当たり前のようにいわれていることです。
私も通っていた専門学校の先生から、同じようなことを聞きました。
今回は、1つめの「とにかく回転法」についてご紹介します。
いつの間にか暗記している!そこまで繰り返し読む
「とにかく回転法」の「回転」とは、授業で習った範囲があるとすると、その範囲を1度、声に出して読めば、それで1回転したといいます。
その範囲を2度、声に出して読めば、2回転したといいます。
「とにかく回転」ですから、その範囲を、1回や2回どころではなく、とにかく何回も読むことをいいます。
ポイント① 声に出す
「とにかく回転法」は、読む時に、「声を出す」のがポイントです。
声に出して本を読んだり単純計算をしたりすると、脳が活性化されることは、テレビなどでよく紹介されるようになりました。
しかし、ただ回転させればよいのではありません。
時がたつほど忘れてしまいますので、速く回転させるのです。そうすることで、忘れる前に反復することができます。
この繰り返しによって、定着度が増していきます。
ポイント② 速く回転させる
では、どうすれば、速く回転させることができるでしょうか。
これは「ただ、何も考えず、繰り返し、声に出して読む」に尽きます。
これなら、頭も使わず、才能も関係ない。誰でもできます。
だから「とにかく」「回転」なのです。
繰り返し声に出して読めば、口が慣れて、1回目よりも2回目、2回目よりも3回目と、速く読めるようになります。
速く読めるようになれば、1回転させる時間が短くなりますので、たくさん読むことができるようになります。
相乗効果ですね。
これにより、速く、とにかく回転させることができるようになります。
ポイント③ スラスラ言えるまで回転させる
1回、2回読んだぐらいでは、ほとんど頭に入りませんが、繰り返し読み続けると、ある時、口でスラスラ言えるようになります。
意識しなくても、口が先に動いて言っているような感覚を覚えます。
覚えたい個所の8割ぐらいが頭に入っていることに気づきます。
このように、定着度が増している感じがするまで回転させることがポイントです。
まずここまで、頑張ってとにかく回転させましょう。
ここまで来れば、ゴールは近いです。
さらに繰り返して読み続けると、100%に近づいていきます。
まとめ:「とにかく回転法」の5ステップ
- とにかく声に出して読み始める
- 速く読めるようになる
- 短い時間でたくさん読めるようになる
- ある時、一気に定着度が増している感じがする。ラストスパート!
- いつの間にか暗記している
大事なことは「続けて」「同じ」です。
学習の過程は「前進」と「停滞」の繰り返し
勉強したら、すぐに理解できる、すぐに成績が上がる。
もしそうだったら、どれほど勉強がはかどるかわかりません。
しかし、実際は、なかなかそうはいきませんよね。
教科書を読んでも頭に入らない、日本語なのに読んでもわからない、1時間勉強したが振り返ってみると何も分かっていない、などなど、すぐに結果が現れてこないことも多いと思います。
ところが、そこを我慢して勉強を続けていくと、ある時、突然視界が開けたように分かってきます。
「おっ~」
「やっとわかった」
「さとった!」
「ひらめいた」
「つながってきた!」
そんな経験ができます。
しかし、またしばらくすると閉塞状態になります。
それにもめげず、続けていれば、また新しい理解へとつながっていくのです。
このように、階段のように「停滞」と「前進」が繰り返されていきます。
これが学習成果の過程なのです。
暗記が得意な人って、どんな人?
このような学習成果の過程を知らないと、ちょっと勉強しただけでは分からないですから、「私は勉強が苦手」と決めつけてしまいがちです。
また「私は苦手」と決めつけたほうが、努力しませんから、楽です。
暗記も勉強と同じです。
1回、2回、何回か読んで暗記できないと、「私は暗記は苦手」とすぐに決めつけてしまいます。
1回読んで暗記できる人は、よっぽどの天才です。
「そんな天才になりましょう!」といわれたら困りますが、暗記も、学習成果の過程と同じように、繰り返して、努力して、はじめて成果が出てきます。
「暗記が得意」と言っている人は、1回読んで覚えられる人ではなく、人が見ていないところで、繰り返し、努力している人なのです。
「努力すれば必ず覚えられる」と自信を持っている人が、暗記が得意な人です。
すぐに結果が現れてこないからと、あきらめてしまっては、永久に「暗記が苦手な人」です。
成果が出るまで続けることが大事なのです。
小さな成功体験が自信になる!
その点、とにかく声に出して読む「とにかく回転法」は非常に続けやすいです。
能力にも関係なく、いつでもどこでもできます。細切れ時間も、活かすことができます。そして、しばらく続けていれば、必ず視界が開けた状態になります。
また、学習成果の過程を知っているだけでも違います。
知らないよりは続けようという気持ちが強くなります。
さらに、知っているだけでなく、それを強く信じましょう。
強く信じられるようになるには、小さな成功体験が自信になりますので、小さな成功体験を実際に体験するために、「とにかく回転法」をやってみましょう。
まず、ほんのわずかな範囲で「とにかく回転法」をやってみてください。
以前よりも、暗記しやすくなっているのに気づくはずです。
そして「一気に定着度が増している感じがする」体験をしてください。
その小さな成功体験がエンジンとなって、自分を動かしてくれます。
必ず、1→2→3→4→5になります。
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- とにかく声に出して読み始める
- 速く読めるようになる
- 短い時間でたくさん読めるようになる
- ある時、一気に定着度が増している感じがする。ラストスパート!
- いつの間にか暗記している
次回は、「とにかく回転法は、本当に読んでいるだけでいいのでしょうか?書く必要はないのでしょうか?」という質問にお答えしたいと思います。