「忘れたらスマートフォンで検索すればよい」
そんな時代でも、どの試験も、暗記を避けて通ることはできません。
効率よく暗記する方法があれば知りたい…!
そんな切実な思いに、勉強法・仕事術のアドバイザーの麻田喜照さんに教えていただいています。
暗記のコツを方法化したのが、「とにかく回転法」と「皿回し暗記法」です。
今回は、「とにかく回転法」について、よくある質問に答えていただきます。
【とにかく回転法】①はこちら
「とにかく回転法」は、覚えたいところを声に出して、忘れる前に何度も回転する(反復する)のがポイントだと、前回お話ししました。
そのようにお話すると、
「本当に読んでいるだけでいいのでしょうか?」
「書く必要はないのですか?」
という質問をよく受けます。
書いたほうが暗記できるのでは?「黙読」「音読」「筆記」の違い
「私は書いて覚えるタイプなんです」という方もあると思います。
そこで、「黙読」「音読」「筆記」の3つを比較してみたいと思います。
「黙読」と「音読」の比較
「黙読」は、目からの情報だけです(「1」の情報)。
「音読」は、目と口と耳からの情報があります(1+1+1=「3」の情報)。
音読すると、目からの情報だけでなく、口でも言いますし、自分の声が耳にも入ってきます。
単純に考えると、音読は、黙読の3倍の情報が入ってきます。
もっと考えてみますと、黙読は、ザーッと読んでしまうことはないでしょうか。
もしかすると「1」の情報もなく「0.5」くらいかもしれません。
音読の場合、声に出して読みますので、しっかり文字を見なければなりません。ですから、目からの情報も「1」となります。
そう考えると、音読は、黙読の3倍以上の情報が入ってくることになります。
同じ情報を、短期間に繰り返すのが暗記のキモですから、黙読よりも、音読のほうが、圧倒的に効果が高いことが分かりますね。
「音読」と「筆記」の比較
そのように話をすると、「だから、私は書いているんです」と言う方があります。
「読みながら書いたら、なおいいんじゃないですか? 声に出さなくても、口で言うよりも、書くほうが大変だから、よりインパクトを与えるんじゃないでしょうか。やっぱり書いて覚えるほうがいいでしょう」
確かにそうかもしれません。
ほとんどの試験は、口頭試験ではなく筆記試験なので、当然、書く必要はあります。
どれだけ口で言えても、正しく書けなければ合格できません。
最近は、パソコンやスマートフォンで入力することに慣れて、正しい漢字を書けない人も増えているので、なおさら書く練習が必要だと思います。
そうかといって、最初から覚える段階で、書いて覚えようとすると、書くのに時間がかかるため、回転させるスピードが遅くなります。
また、ずっと書いていると手が疲れます。指にペンダコができます。
手が疲れないような特別なペンを買っても、やっぱり疲れます。
回転の効果を出すためには、最初は書いて覚えるのではなく、「とにかく回転法」で覚えたほうがよいのです。
「筆記」は、机の上でなければできませんが、「音読」はいつでもどこでも可能です。
電車やバスの中で、立ってもできます。歩きながらでもできます。自転車をこぎながらでもできます(笑)。
信号待ちの時に覚えたいものを口ずさみ、信号が青になったら、そのまま口ずさんで自転車をこぎます。
「音読」は細切れの時間でもできますから、時間を有効に利用することもできますね。
私は覚えたい言葉は、手帳にはさんでおいたり、スマホに入れておいたりして、細切れ時間ができたら口ずさんでいます。
なかなか暗記できないところは「見える化」で克服する
では、「書く」練習は、いつすればいいでしょうか。
最終的には、筆記試験ですので、書いて、覚えているかどうか、正しく書けるかどうかを確認する必要があります。
「とにかく回転法」で覚え始めると、「なかなか覚えられないところ」が出てきます。
また、「特に重要なところ」もあります。
そのような箇所は、書いて覚えるようにするといいでしょう。
口で言っているだけだと、曖昧なところがありますので、書くことによって曖昧さを取り除き、「見える化」するのです。
- 細切れの時間を利用して「とにかく回転法」で忘れないようにする
- 時間がある時は書いて、正確に書けるかどうか、確認する
- 間違えたところはチェックして、試験が近づけば、間違えたところを再チェックする
このように「音読」と「筆記」を使い分けることで、学習効果を高めることができます。
成果が実感できると暗記も楽しくなります
現代は、昔に比べて、学ぶ習慣を身につけるのが難しい時代かもしれません。
ニンテンドー3DSやPlayStation Vitaなどのゲームにはまっている人は多いでしょう。
スマートフォンでも、無料という言葉に魅かれてゲームをインストールして、ひとたび遊び始めると、思わず課金している、そんな人もあるでしょう。
音楽も、iPodやスマートフォンで、ちょっと暇ができたらイヤホンをつけて、音楽を聴いている人をたくさん見かけます。
ゲームや音楽は、簡単に、短時間で、快楽を得ることができます。
簡単に快楽を得ることに慣れてしまうと、成果を得るのに時間がかかる学習に、取り組むことが難しくなります。
また私たちは、スマートフォンで、興味のおもむくままにウェブサイトを次々にクリックして読むことに慣れてしまいました。
1冊の本を集中して読むのではなく、ウェブサイトの各ページを10~20秒で流し読みをしていると、飽きっぽく、注意散漫になりがちです。
学習は、成果を実感するまで時間がかかります。しかし、成果が出ると、学ぶのが楽しくなります。
そうなると、習慣化へつながっていきます。
まずは、細切れ時間でできる「とにかく回転法」で、学習の習慣をつけていただきたいと思います。
まとめ
- 「とにかく回転法」の5ステップ
- とにかく声に出して読み始める
- 速く読めるようになる
- 短い時間でたくさん読めるようになる
- ある時、一気に定着度が増している感じがする。ラストスパート!
- いつの間にか暗記している
- 最初は「とにかく回転法」で始める
- ある程度覚えられたら、書いてみる
- 細切れの時間を利用して「とにかく回転法」で忘れないようにする
時間がある時は書いて、正確に書けるかどうか、確認する
間違えたところはチェックして、試験が近づけば、間違えたところを再チェックする
では、具体的に、どのように「とにかく回転法」を使って覚えればいいのでしょうか。
そのための方法が、「皿回し暗記法」です。
「皿回し暗記法」についてはまた次の機会に説明したいと思います。