ステロイド以来の革命的新薬
「かゆい、かゆい~。ぬっているのによくならない!」
そんなアトピー性皮膚炎でお悩みの方に朗報があります。
待望の新薬が2018年4月に出ました。
その名もデュピクセント(一般名:デュピルマブ)。
2週間に1回の注射の治療です。
約60年前、ステロイドのぬり薬が世に出て革命が起きました。
その切れ味の鋭さに、医者も患者もびっくり。以来、アトピー性皮膚炎の治療の中心にステロイド外用剤が君臨するようになりました。
デュピクセントは60年ぶりの革命的な治療薬と期待されています。
デュピクセントとは? 6つの疑問にお答えします
①どんな人が受ける治療なの?
15歳以上のひどいアトピー性皮膚炎の人が対象です。
15歳未満の子どもはデュピクセントの治療は受けられません。
②なぜ効くの?
アトピー性皮膚炎の皮膚ではアレルギー反応が起こっています。
アレルギーとは過剰な免疫反応のことです。免疫とは外敵から身を守るシステムですが、それが種々の理由で暴走しているのです。
デュピクセントは、免疫細胞の一つであるTh2細胞から放出されるIL-4とIL-13というサイトカインだけをブロックするのです。
なんのことやらチンプンカンプンでしょうが、要するに悪いところだけをピンポイントに抑えるのです。
それ以外の免疫には影響を与えないので、副作用が少なく安全といえます。
③どれくらい続ければいいの?
治療を開始して1カ月で効果が実感できるようになります。
まず、かゆみがおさまり、その後、赤みやブツブツがよくなってきます。
皮膚炎がよくなっても半年は治療を続けましょう。
この注射はアトピー性皮膚炎を完治させるものではありません。注射をやめると、かゆみや赤みがじわじわ出てきます。
とはいえ、アトピーがリセットできるのが魅力的です。
④今の治療はどうするの?
原則、今おこなっている治療は続けなからデュピクセントの治療をします。
注射の効果が出てくると、ぬり薬の強さを弱くしていけますし、ぬる量も減らしていけます。
皮膚炎がおさまっても、乾燥肌の体質は変わりませんので、保湿剤はぬり続けたほうがいいです。
⑤副作用は?
結膜炎(眼が赤くなりかゆくなる)などが報告されています。
まだ、出たばかりの薬であり、副作用は大丈夫とは言い切れませんが、ステロイドは免疫全体を抑制するのに対して、デュピクセントはピンポイントに免疫の一部を抑えるため、副作用は少ないと思われます。
また、喘息をお持ちの方は喘息治療との連携が必要ですので、医師にその旨をお伝えください。
⑥治療費は?
効果もビックリですが価格もビックリです。
1本約8万円と高額ですが、安心してください。保険がききます。
といっても、1本約2万5千円です。
初回は2本使用しますが、それ以降は2週間ごとに1本打ちます。1カ月で約5万円です。
お子さんの場合「子ども医療費助成制度」が利用できます。
都道府県によって差がありますが、15歳の年度末まで医療費無料という自治体もあります。
この注射は15歳にならないと治療が受けられません。つまり、中学3年生で15歳の誕生日を迎えてから、卒業するまでの数カ月は無料!ということになります。
デュピクセントはアトピーがリセットできる“切り札”
「何をやってもよくならない」
「ステロイドの副作用が心配」
「何を食べたら、何をぬったらいいの?」
アトピーの人の抱える苦しみ悩みは大変なものと推察いたします。
しかしアトピーは「先の見えないトンネル」ではありません。デュピクセントという「切り札」があります。
いつでもアトピーをリセットできるという保険があるだけでも安心です。デュピクセントのほかに、新薬の開発が次々と進められております。
アトピーでお悩みの皆さま。アトピー治療の未来は、希望に満ちています。
注:すべての皮膚科でデュピクセントの治療が受けられるわけではありません。電話での確認をお勧めします。