悩み①親なら子どもを平等に愛せるのが当然では?
親も人間。なかなか愛情を注げないこともあります
「上の子をかわいく思えない」という質問や悩みは、本当に多いです。
特に、上の子が長女で下の子が男の子、という時に、よくあるような気がします。
子どもにはそれぞれタイプがありますし、親も一つの性格を持っているわけですから、相性というものがあって、合う合わないということは、どうしてもあるんですよね。
親であれば、母親であれば、子どもに平等に愛情かけて当然と思われていますけれども、親も人間ですから、合わない子もあるし、なかなか愛情を注げないこともあるのです。
そういう場合に、私は次のようにアドバイスしています。
合う合わないはあるけれども、ちゃんとご飯作ったり洗濯したり、寝床を用意したりされているわけです。
おそらく、このお母さんも、上の子をかわいいと思えなくても、ちゃんとご飯作ったり、必要な世話はされていると思うのですよね。
それが、愛情というものです。
愛情というのはいろいろな形があって、このように「世話をする」というのも愛情の一つなんですよね。
悩み②上の子に愛情を持てないことが苦しいです
苦しいのは、それだけ上の子に心を懸けているからです
何で苦しいと思うかと言うと、「これじゃいけない」と思うからです。
「愛情を注がなきゃ」と思っているからこそ、なかなかそうできなくて苦しむわけで、それだけ、上の子に心を懸けているということです。
これも、愛情以外の何ものでもないのです。
実は、ちゃんと愛情を注いでおられると、私は思います。
ですから、子どもの世話をやっていく、つまり衣食住の提供をしていくことが、まず大事なことかなと思います。
悩み③上の子の甘えを受け入れられない
お母さん自身も甘えを我慢して生きてきたからかもしれません
上の子が「抱っこ」と言ってきたり、甘えてきたりすると、ちょっと受け入れられない、というのは、もしかしたら親御さん自身も、長女として、親に甘えることができないで、背伸びをして、甘えたい気持ちを我慢して育ってきた、ということがあるのかもしれません。
甘えを我慢して生きていると、甘えている人を見ると腹が立ってくるのです。
そこにあるのは嫉妬です。
「自分はこれだけ我慢して生きてきたのに、あんたは何で平気で人に甘えることができるの?」
「もっと我慢しなさいよ」
そういう気持ちが無意識にあると、甘えられるとイラッとしてしまうことがあるのですね。
特に長女というのは同性ですから、親子というより、女同士のバトルのような、まともにやりあってしまうことがあるのです。
また上の子は口が達者で、よく「お母さんだってこうじゃないか」と、かわいくないことを言うわけです。
そうすると余計カチンときてしまう。
だけど、子どもは本当は甘えたいのです。
「自分は甘えを我慢してきた。だからあんたも我慢しなさい」
ではなくて、
「あんたも甘えたいんだね。お母さんも甘えたかった。だけど、なかなか許してもらえなかった」
そういうふうに思えたらいいなと思うのですよね。
そのためには、お母さん自身が、甘えられる相手を見つけるのがいいと思います。
それが夫であればいちばんいいのですが、夫に限って、そんなにあてにならないことはよくあって(笑)、かといって実家の親にも甘えられない。
そういう時に、保育園の園長先生とか、子育て支援センターの相談員とか、ファミリーサポートの人とか、自分のことを受け入れてくれる人、ほめてくれる人、甘えられる人を見つけて、甘えてみる、頼ってみる。
受け入れてくれる人は、絶対いると思います。
そうすると、親御さんも余裕が出て、子どもの甘えも受け入れられるようになるかもしれません。
これは結構根が深いことがありますので、ぜひ身近な相談機関などに相談されるといいと思います。
悩み④私なんかが育てるより、他の人にお願いしたほうがいいと思ってしまう
どんなに怒鳴っても、怒っても、子どもは親が大好きなのです
里親もありますが、そういう子どもたちを見ていて思うのは、やっぱり子どもは、実の親のことが大好きなんですよ。
どんなに怒鳴っても、怒っても、子どもは親が大好きなんです。
だから、決して他の人にお願いしたほうがいい、なんてことはないですし、悩みながらでも、子どものことを愛しているからこそ、このように相談をしてこられるわけです。
そういう親御さんの子育ては、決して間違っていないし、私は、できる範囲で、世話をしてもらえたらと思います。
そうするうちに、子どもがもう少し大きくなると、長男も今はかわいいですけど、中学くらいになると、「うざい」とか、「消えろばばあ」とか言ってきたりするわけです。
そういう時に、お姉ちゃんが家事を手伝ってくれたり、お母さんがちょっと夜遅くなった時にご飯を作ってくれたりすると、「ああ、この子を生んでおいてよかった」と思う時が来ます。
そういう時が、必ず来るのです。
そのように子どもも変わっていきますし、状況も変わってきますから、今はとりあえず、必要な世話をしていかれたらいいのではないかと思います。
【先輩ママの体験記】きっとまた上の子を愛せる日がきますよ!
現在、8歳の小学3年生の息子と、6歳の小学1年生の娘がいます。
娘が生まれるまで、息子のことを彼氏のように思うほど、可愛くて仕方がありませんでした。
しかし、息子が1歳11カ月の時に娘が誕生してから一変。
素直に表現すると、徐々に息子を生理的に受け入れられなくなりました。
娘の授乳中は特に、見られるだけで拒絶反応が。必要以上に怒鳴ったり手足を出してしまったり…本当にひどいものです。
あんなに可愛くて仕方のなかった息子を生理的に拒絶する母親って最低だなって…。
息子は小さいながら妹をあやしたり、おむつ替えを手伝ってくれたり、本当に優しい子なのに。
頭ではそう分かっているのに、心が伴わない。
頑張ってハグをしても、娘を抱きしめた時の愛おしさが出てこない。
虐待紙一重な行動をとってしまったりと、ただただ息子には本当に申し訳なくて…でもどうにも気持ちが伴わなくて、そして主人にも申し訳なくて…毎日のようにつらくて苦しい日々でした。
この頃、わが家に明橋先生の本が増えていきました。
ちょっと心に余裕がある時、思い出したかのように読んで、癒やされて。メールでご相談しようかと本気で悩んだこともあります。
またあの頃は、たびたび泣きながら育児相談に電話をしたり、福祉センターへ行って相談したり、専門の人を紹介してもらってカウンセリングを受けたりしました。
「ママが真面目すぎるんですよ。もっと手を抜いたらどうですか」とか、「下の子の授乳が終われば治るんじゃない?」とかいろいろ言われましたけど、それでもどうにもならなくて。。。
そんなある日、児童館のママ友から、「下の子だけかわいい症候群って言うらしいよ。雑誌に書いてあったよ」って教えてもらいました。
そして息子が幼稚園に入園し、ある時、幼稚園で知り合った先輩ママにポロッと嘆いたら、
「私もそうだったよ。
「でもね~、何でか分からないけど、小学校に入って2年か3年ぐらいで、そう思わなくなったから大丈夫だよ!」って。
初めて直接理解してもらえる人に出会えて、心が少し楽になりました。
こんな感じで私の悩ましい日々は実に約4年間続きました。
そして、その先輩ママが言っていたとおり、何でか分からないのですが、気がついたら私も生理的に無理だなんて思わなくなって、むしろ、小学校に入ってからは上の子のほうが可愛く思える日のほうが多いと思います。
そして3年生になった今では、「やっぱり可愛いなぁ~」「あ、私、ちゃんと心からこの子を可愛い、愛おしいって思えてる!」って、客観的に思えることが嬉しくなる日が増えました。
だからあの頃、心から抱きしめてやれなかったり、笑ってあげられなかった分、懺悔の気持ちも込めて、3年生の男の子ではありますが、甘えたい気持ちがみえるので、なるべく抱きしめたりスキンシップをとったり、笑顔でいるようにしています。
幼い頃の冷たいお母さんという記憶が息子に残っているかは分かりませんが、8歳の記憶に、今のお母さんの記憶が上書き保存されたらなって思います。
今回の相談者さんたちも、きっと時間が解決してくれるのだと思います。
私も結局は解決につながるアドバイスは言えないのですが、またちゃんと愛せる日がきますよ!って言ってあげたいです。
4年間は本当につらかったはずなのですが、子育てって、先人たちがいうように過ぎてしまえばあっという間で(笑)
愛せている今が幸せです。