若い女性にも増えてきた口腔がん・咽頭がん
国立がん研究センターの統計によると、舌がんを含む口腔がん・咽頭がんの死亡者数は年々増加傾向にあります。
しかも、口腔がん・咽頭がんの5年生存率は60%程度であり、乳がんや子宮頸がんなどよりも生存率が低いといわれています。
口腔がん・咽頭がんは、これまではたばこをたくさん吸って、アルコールをたくさん飲む中高年の男性に多いといわれてきました。
ところが、最近は口腔がん・咽頭がんにかかる人の男女比は変化してきていて、男女比が3:2と女性の比率が高まっています。
また、若くして発症する人も少なくありません。
なるほど!放置されてしまう原因とは
アルコールやたばこはもちろん口腔がん・咽頭がんの原因になりますが、酒もタバコもやらない人でもなることがあります。
その原因としてよくいわれているのが、歯などによる粘膜への刺激です。
放置した虫歯のとがった部分や、歯並びの悪い歯、合わない入れ歯などによって、舌やほっぺたの裏側が傷つく状態が続くと、そこに口内炎のようなものができ始めます。
これが前癌病変(がんのなりかけ)や初期のがんです。
一見すると口内炎のようにも見えて、痛みも少ないことが多いため、放置してしまうことが多いのです。
口内炎だと思って放っておいたら、進行してしこりになり、食事や発声に違和感が出て、初めて受診して、がんだと分かることがあります。
また、口腔がん・咽頭がんの一部は、子宮頸がんの原因とも言われているHPV(ヒトパピローマウイルス)が原因になっているものもあります。
どうすればいい?口腔がん・咽頭がんの予防と早期発見
では、口腔がん・咽頭がんを予防し、早期発見するにはどうしたらいいでしょうか。
次の3つのことに心がけましょう。
1.虫歯や入れ歯の不具合を放置しない
虫歯や入れ歯の不具合を放置せず、歯科で治療を行いましょう。
粘膜への刺激を少なくして、がんの予防をしましょう。
2.口の中のセルフチェックをしましょう
口腔がん・咽頭がんは、胃がんや肺がんなど身体の中にあるがんとは違って、自分の目や手で確認できます。
歯磨きのついでに自分の口の中を時々観察したり、触ったりしてみてください。
3.異常があればすぐに耳鼻咽喉科を受診
粘膜が赤色や白色に変化してきた、
しこりをふれる、
口内炎が治らない
など、異常があれば、すぐに耳鼻咽喉科を受診してください。
(普通の口内炎であれば、1~2週間の間に治ることがほとんどです。それ以上続く口内炎は、がんや他の病気の可能性があります)
先ほども述べましたが、口腔がん・咽頭がんの5年生存率は約60%と低いですが、初期のうちに見つけて治療すれば、5年生存率は90%を上回るといわれています。
早期発見、早期治療が大事です。