HSPチェックリストの1つに、「ミスや忘れ物をしないよう、いつも気をつけている」という項目があります。
子どもの頃からそういうタイプだったというHSPもいれば、子ども心をくすぐる刺激が多すぎて、人一倍気をつけるようになったのは大人になってから、というHSPもいます。
時には過去にタイムスリップしながら、大切なことに気づかせてくれる、人気マンガ家・高野優さんのマンガエッセイvol.18です。
高野優のオフィシャルブログ:「釣りとJAZZと着物があれば」
いつだって忘れ物番長‥
まるごと受け止めてくれる先生がいたから
-
育児マンガ家の、高野優です。
目の前には、山積みに置かれた夏休みの宿題。
計画的に取り組まなくっちゃと、頭ではわかっている。
それなのに、なんて誘惑が多いことか。
天気がいいと、それだけで心が躍って、
自転車のチェーンにオイルを塗ったあと、
友達を誘って遊びに出かけてしまう。
新学期が始まってから、放課後に宿題と格闘する毎日。
「オチコボレ」とレッテルを貼られたわたしは、
居残りの常連だった。
先生は半分ため息をつき、もう半分は笑いながら、
こう話しかけてきた。
「宿題なんてやらなくても、
なんとかなると思ってるんだろう?」
そこにいた全員が恥ずかしそうにうなずくと、
「おまえたちみたいなのが、
案外、図太く楽しく笑って生きていくんだろうな」
と、大きな手で頭を撫でてくれたあと、
内緒だぞと言ってラムネのジュースをくれた。
玉押しで器用に瓶を開けて乾いた喉を潤していると、
「まいったな!
遊びのこととなると、なんでもできるんだから」
と、頭をかきながら笑った先生の姿が忘れられない。
オチコボレのわたしたちが、まるごと肯定されたようで、
その日の夜はうれしくて、なかなか寝付けなかった。
先生、わたしは大人になったというのに、
いまだに人と比べて、できないことが多すぎて、
ときどき、どうしていいかわからなくなる。
でも、
先生の予言通り、図太く楽しく笑って暮らしています。
いつか、そちらの世界へ行く日が来たら、
今度はラムネをご馳走させてくださいね。
誰よりも早く蓋を開けられるので。
HSPと「発達障がいの五感の敏感さ」との違いは?
ぜひ読んでいただきたい本