1. 人生
  2. 暮らし

新元号「令和」は万葉集から!由来の万葉集の原文と解説

平成31年4月1日午前、新しい元号が発表されました。
「令和」と書き、「れいわ」と読みます。
由来は万葉集だそうです。
日本人なら誰もが知る万葉集ですが、万葉集とはどんな古典なのか、また「令和」とはどんな意味なのでしょうか?ご紹介したいと思います。

「平成」から「令和」へ

平成31年4月1日午前、菅義偉官房長官から発表がありました。
「令和」と掲げられた瞬間に、シャッター音の嵐がしばらく鳴り続き、その後、新しい元号の典拠(文献の確かな根拠)の説明がなされました。
続いて安倍晋三首相からも、その趣旨について発表があり、その様子はネットでもライブ配信されました。

平成から新元号に切り替わるのは5月1日の午前0時です。
ついに馴染み深い平成も、残り1カ月となったのですね。

そもそも元号とは、特定の年代につけられる称号で、日本の最初の元号は、大化の改新で有名な「大化」です。
西暦645年に定められて以来、今日まで連綿と続き、「令和」は248番めの元号になります。

元号制度は、紀元前140年に中国の前漢で生まれました。しかし、現在も元号を採用している国は、もはや日本だけ、というのですから驚きですね。

新元号が注目される理由

これまでの元号はすべて、中国の古典が由来でした。
明治と大正は『易経』から、そして昭和は『五経』の一つである『書経』から、平成は『史記』から選ばれています。

ところが、今回「令和」がこれほどまでに注目されている理由の一つが、初めて日本の古典から選ばれた、ということです。
出典は『万葉集』です。

これまでと大きく違う、というところに、新たな風が吹きそうな予感と期待を感じているのかもしません。

万葉集は日本最古の和歌集

『万葉集』は、8世紀に成立したといわれる日本最古の和歌集です。
古代から奈良時代まで、300年以上の間に作られた約4500首が集められ、編者は大伴家持とされています。
詠み人は、天皇や貴族だけでなく、農民、防人(さきもり)など、幅広いことでも知られています。
その中でも有名な歌人は、柿本人麻呂、山上憶良、山部赤人、大伴家持などです。

万葉とは、「葉」を「世」と読んで、万(よろず)の世まで伝わるようにという解釈が有力だそうです。

「令和」の根拠はどこに?

安倍首相は談話の中で、「この『令和』には、人々が、美しく、心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ、という意味がこめられている」「厳しい寒さの後に、春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように、一人一人が明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる、そうした日本でありたいとの願いを込め、決定した」と語っています。

引用元は、『万葉集』の巻五、梅花(うめのはな)の歌三十二首の序文。和歌そのものではなく、歌会での前置きの一部ということです。

于時初春令月 氣淑風和 梅披鏡前之粉 蘭薫珮後之香

あれ?と思われた方もあると思います。
実は、万葉集は、すべて漢字で書かれているのです。

書き下すと、次のようになります。

初春の令月(れいげつ)にして気(き)淑(よ)く風和(やわら)ぎ、梅は鏡前(きょうぜん)の粉(こ)を披(ひら)き、蘭は珮後(はいご)の香を薫(かお)らす

典拠の原文の意味

原文の意味は

初春のよき月で、空気は心地よく、風は爽やかである。
梅は鏡の前の美女が粧う白粉のように開き、蘭は身を飾る香のように薫っている。

ということです。
「令」には、「よい」という意味があります。
空気もよく、風も爽やか。
そして梅が美しく咲き、ランは香のような薫りを漂わせている…。

心地よいこと極まりないですね。

「平成」の30年間は、振り返れば未曾有の大災害の連続でした。
新しい時代は、「令和」の由来のごとく、春の花の頃のような穏やかな時代であってほしいと願うばかりです。