医者に失望したり、怒りを覚えてしまう原因は?
私は「線維筋痛症」という慢性疼痛疾患と共に生き、医療者として社会復帰を果たしました。
日本の慢性疼痛治療は非常に遅れています。
特に地方では、原因の分からない痛みを診てくれる医師は、非常に少ないのが現状です。
あっても大学病院や大きな病院であることが多く、通院先が遠方であったり、待ち時間が長かったりなど、受診することが大変な患者さんも多くあります。
海外では当たり前のことかもしれませんが、医療アクセスが抜群な日本では、非常に不便に感じることが多いでしょう。
多くの患者さんと交流する中で、医療者との関係について相談を受けることがあります。
訴えはさまざまですが、結局突き詰めると「理解してもらえない」ということに尽きるように思います。
線維筋痛症など、現状で、一般的に行われる検査に異常が現れない疾患では、診断がなかなかつかず、結果的に病院をたらい回しにされることも少なくありません。
そのため、「特に異常はありません」と言った医師に対して失望したり、怒りを覚えることもあると思います。
私も症状が強くなってからかかった病院で、「筋肉痛じゃないですか?」と言われてキレかけたことがありますから(笑)。
ただ、医療者という立場になって思うのは、一度の診察で全部を見極めるのは難しいということです。
しかし、患者として感じるのは、同じように言われたとしても、信頼関係があれば、受け取り方も変わってくる、ということです。
お互いの信頼関係を築くには
信頼関係というのは一方的に築けるものではありません。
患者側にも努力が必要です。
「ただでさえ病気でつらい患者に努力を求めるの?」と言われるかもしれませんが、これは闘病において、とても大切なことです。
医療者との信頼関係を築き、共によい方向へと向かっていくことは、直接的な治療と同じくらい大切なことだと思います。
医療者としては、患者への理解を示し、必要で求められる医療を提供することでじゅうぶんだと思います。
患者としては、医療者の提案をきちんと実行することが、信頼関係を築く第一歩だと思います。
- 生活習慣を見直すこと
- きちんと休養を取ること
- 医師の指導に従うこと
これは、患者として医療を受ける側の義務だと思います。
「一緒に治療をする」という姿勢が大切
自分は何も変わらないで、医療者側にだけ求めるというのは何か違うように思います。
医者というのは、主治医であっても、受診の時にしか患者を診ることができません。
普段、セルフケアをするのは患者自身です。
ですから「一緒に治療をする」という姿勢こそが、医療者との信頼関係を築くことにつながるのです。
仕事を休むことができず、どうしても指導を守れないこともあるかもしれません。
完全に守ることはできなくても、守ろうとする姿勢が大切だと思います。
医師の言いなりになるとか、そういうことではありません。
共に闘う仲間であるならば、当たり前のことではないでしょうか。
それは、どんな人間関係でも同じですよね。
約束を守ってくれない人を、信じたり、助けたりしたいと思えないと思います。
良好な関係が築けていればこそ「理解される」ということにつながります。
分かってもらうには、患者側も努力が必要です
これは線維筋痛症に限った話ではなく、どんな病気でも同じことがいえると思います。
理解されるために努力しなければなりません。
それは、対医療者だけでなく、家族に対しても同じです。
家族には甘えたり弱いところを見せたりすることは、もちろん問題ありません。
そこにはもともと信頼関係が成り立っているからです。
でも、いつもイライラしたり愚痴ばかりこぼしていれば、家族も疲れてきてしまいますよね。
それはあなたを嫌いになったわけではなく、家族も疲れているのです。
患者家族の苦悩についても、後でお話ししたいと思います。
つらい時こそ笑顔を心がける。
大変な時こそできる種まきで、お互い笑顔になれたらいいですね。
今日も、共に顔晴り(がんばり)ましょう!
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