こんにちは。国語教師の常田です。
しあわせ、は「仕合わせ」と書くこともあります。地位や財産、教養、美貌、人々からの敬愛、それらがそろったら幸せ!と昔から考えられていたのでしょう。でも本当にそうといえるでしょうか。
紫式部は、女性の心や人生を見つめていきます。
「澪標の巻」のあらすじを解説します。
瓜二つ
光源氏が明石から京に戻り、世の中は明るくなったようでした。
源
彼が最も愛する紫の上
朱雀帝は心の重荷が取れてホッとしたのか、患っていた目が快復し
現在の東宮は、藤壺(源氏の継母)が生んだ男の子です。
11歳と
光源氏と瓜二つで、玉のように美
世の人々は、この二人を並べて称賛しました。
それもそのはず。実はこの東宮、源氏との密通の果てに生まれた子
二人がまばゆいまでに輝き合っているのを、人々が素晴らしいと絶
しかし今さらどうにもなりません。
藤壺は、罪悪感と、“誰かに悟られてしまうのでは…”という不安で、押しつぶされそうでした。
しかもそれは生涯続くので
何も知らない東宮は、光源氏を後見として、新しい帝となりました
罪深き所
さて、ここで再び、光源氏のかつての愛人・六条御息所の登場です
彼女は、伊勢神宮の女官に任命された娘と伊勢へ移り住んでいま
旧邸を修理し、以前と同じように優雅な生活を始めたものの、急に
彼女の脳裏には、これまでの人生が鮮やかによみがえりました。
夫
そして語り手が語ります。
「もののいと心細く思(おぼ)されければ、罪深き所に年経つるも
、いみじう思して、尼になりたまいぬ」
(行く末が心細くなり、伊勢神宮という、仏法から最も遠い罪深い所で幾年と過ごしたことも恐ろしく思われて、 出家してしまいました)
六条御息所の突然の出家に驚いた源氏は、慌てて見舞いに駆けつけます
彼女の衰弱ぶりはひどく、死の近いことを予感した源氏は、優し
変わらぬ好意を訴える源氏に、
この見舞いからわずか数日で、六条御息所はあっけなく息を引き取
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※澪標(みおつくし)は、くいを並べて立てて、船が往来するときの目印にしたものです。和歌を詠むときは、「身を尽くし」とかけて用いられます。
作中では、光源氏と明石の君が「みをつくし恋ふるしるしにここまでもめぐり逢ひけるえには深しな」「数ならでなにはのこともかひなきになどみをつくし思ひそめけむ」のように歌を交わしています。
源氏物語全体のあらすじはこちら
源氏物語の全体像が知りたいという方は、こちらの記事をお読みください。
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