カフェで楽しむ源氏物語-Genji Monogatari #12

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【源氏物語】澪標の巻あらすじ解説!玉のように美しい二人

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こんにちは。国語教師の常田です。
しあわせ、は「仕合わせ」と書くこともあります。地位や財産、教養、美貌、人々からの敬愛、それらがそろったら幸せ!と昔から考えられていたのでしょう。でも本当にそうといえるでしょうか。
紫式部は、女性の心や人生を見つめていきます。
「澪標の巻」のあらすじを解説します。

瓜二つ

光源氏が明石から京に戻り、世の中は明るくなったようでした。
氏も周囲の人々も、次々と昇進していきます。
彼が最も愛する紫の上は、さらに美しく、内面も磨かれた女性になっていました。

朱雀帝は心の重荷が取れてホッとしたのか、患っていた目が快復してきました。そして、このあたりで東宮に位を譲ろう、と決めます。

現在の東宮は、藤壺(源氏の継母)が生んだ男の子です。
11歳となり元服(成人)を迎えました。
光源氏と瓜二つで、玉のように美しく輝いています。
世の人々は、この二人を並べて称賛しました。

それもそのはず。実はこの東宮、源氏との密通の果てに生まれた子供であったのです。

二人がまばゆいまでに輝き合っているのを、人々が素晴らしいと絶賛するほど、藤壺は苦しめられました。
しかし今さらどうにもなりません。

藤壺は、罪悪感と、“誰かに悟られてしまうのでは…”という不安で、押しつぶされそうでした。
しかもそれは生涯続くのです。

何も知らない東宮は、光源氏を後見として、新しい帝となりました

罪深き所

さて、ここで再び、光源氏のかつての愛人・六条御息所の登場です

彼女は、伊勢神宮の女官に任命された娘と伊勢へ移り住んでいましたが、女官の交代で数年ぶりに帰京しました。
旧邸を修理し、以前と同じように優雅な生活を始めたものの、急に重い病にかかってしまいます。

彼女の脳裏には、これまでの人生が鮮やかによみがえりました。

との死別後は一人娘の成長を支えに生きてきたこと、光源氏と逢瀬を遂げ恋い焦がれたこと、源氏の正妻への嫉妬に狂い鬼となり蛇となってのたうち回ったこと、これ以上自尊心が傷つけられるのがつらくて都を去ったこと。

そして語り手が語ります。

もののいと心細く思(おぼ)されければ、罪深き所に年経つるも、いみじう思して、尼になりたまいぬ
(行く末が心細くなり、伊勢神宮という、仏法から最も遠い罪深い所で幾年と過ごしたことも恐ろしく思われて、出家してしまいました)

六条御息所の突然の出家に驚いた源氏は、慌てて見舞いに駆けつけます
彼女の衰弱ぶりはひどく、死の近いことを予感した源氏は、優しく元気づける言葉をかけました。

変わらぬ好意を訴える源氏に、六条御息所はしみじみ心を打たれ、一人娘の後見を懇ろに頼みました。
愛人にすることのない後見を、と念を押して…。

この見舞いからわずか数日で、六条御息所はあっけなく息を引き取ったのです。

******

※澪標(みおつくし)は、くいを並べて立てて、船が往来するときの目印にしたものです。和歌を詠むときは、「身を尽くし」とかけて用いられます。
作中では、光源氏と明石の君が「みをつくし恋ふるしるしにここまでもめぐり逢ひけるえには深しな」「数ならでなにはのこともかひなきになどみをつくし思ひそめけむ」のように歌を交わしています。

源氏物語全体のあらすじはこちら

源氏物語の全体像が知りたいという方は、こちらの記事をお読みください。

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