強い痛みがあるのに…原因が分かるまで2カ月
レディー・ガガが罹患していることを発表した線維筋痛症は、痛みを中心として、さまざまな症状を呈する病気です。
線維筋痛症に限らず、病気と共に生活するということは、とても大変です。
私は自分が病気だと気づいたのは大学5年生の時で、本格的な闘病生活はここから始まりました。
医学的に、いわゆる「急性増悪」といわれるものです。
もともと患っていた線維筋痛症の症状が急激に悪くなり、進行を止めることなくどんどん悪くなっていきました。
具体的には、突然太ももが痛くなり、日に日に痛む場所が広がって、痛みも強くなっていき、筋力も落ちていきました。
幸い、症状が増悪してから2カ月程度で線維筋痛症であることが分かり、治療が始まりました。
しかし当時は、いろいろな医師に相談しましたが、分からないことだらけで不安でした。
診断がつかない日々、いろいろな検査結果がさまざまな病気を否定していきました。
この病気でもない、あの病気でもない…
「本当に病気なのだろうか」
「私の症状はとても強いけど、気のせいなの? 精神的なもの?」
誰かに直接否定されたわけではないけれど、さまざまな検査結果は、私を否定するにはじゅうぶんな材料でした。
ですが、いちばん近くにいた母は、私の訴えを疑うことなく支えてくれました。
今日は、闘病を支える家族について、お話ししたいと思います。
つらいのは患者だけではない
患者の立場はそれぞれ違うと思います。今回はわが家のケースとして読んでください。
私はひとりっ子で両親に大切に育てられました。
症状が悪くなった頃、私は母と暮らしており、母は献身的に支えてくれました。
車の運転が得意ではないのに、隣県への通院のため、高速道路を運転して毎週連れていってくれました。
仕事をしながら家のことも全部してくれて、大学への送り迎えなどもしてくれました。
内服のために眠気が強く、母が迎えに来てくれているのに教室で1時間以上眠ってしまったこともあります。
とにかく嫌な顔ひとつせずフルサポートをしてくれました。
私はとても幸せな環境であったと思いますし、母は本当にすごいと思います。
当時の私は、娘である自分がこのようになってしまい、申し訳ない思いでいっぱいでした。
ここまで何不自由なく育ててもらって、これから恩返しをしようという矢先、その一歩手前だったからです。
病気になってしまったことが申し訳なかったし、悲しかった。
でももし、私の娘が同じようになったら同じようにするでしょう。
母となった今なら、あの時の母の気持ちが少し分かる気がします。
大事な娘が病気になってしまったのに何もしてやれない、という無力感や、自分のせいだったのではないかと責める気持ち。
代われるものなら代わってやりたいという、やりきれない思い。
家族ならではの思いだと思います。
当時の写真を振り返ると、母は痩せてしまっていました。
私の場合、完全に寝たきりになることはありませんでしたが、起き上がりや移動など、手を借りなければできないこともありました。
介護という側面の負担もあったと思います。物理的に負担が大きかったこともあると思いますが、精神的な負担も、とても大きかったと思います。
ですから、患者本人もつらいのは当然ですが、側で支える家族も、とてもつらく苦しい思いをされているということです。
家族の心の葛藤を知っていますか?
わが家の場合は病気を受け入れて一緒に闘病してくれたケースですが、そのようなケースは半数くらいだと思います。
半分くらいは家族に病気の理解が得られず、家庭内の空気が悪くなってしまったりしていると聞きます。
家族の協力が得られない場合、家族は苦しんでいないのでしょうか?
違うと思います。
家族はなかなか病気であるという事実を受け入れられないのです。
それは、いろいろな理由があると思います。
認めることが怖いとか、自分に都合が悪いとか、人それぞれでしょう。分かってはいるけど理解したくないのかもしれません。
患者のことを思ってか、自分のことを優先してかは事情によって異なるとは思いますが、どちらにしても葛藤を抱えているということだと思います。
葛藤を抱えているということは、苦悩しているということです。
つらさの種類は患者本人とは違うと思いますが、苦しんでいるという点からいえば同じといえます。
ご家族との関係がうまくいっていない場合は、ご家族の苦労も、少し考えてもいいのかなと思います。
そのうえで、何かしらの形で支えてもらっていることを感謝して、伝えるというのは大切なことではないでしょうか。
いちばん身近な人には、やはり理解してほしいと思うと思います。
理解を得られている家族でも、葛藤はあると思います。
その葛藤を抱えていることも知り、ともに歩んでいくことができれば幸せだと思います。
今日よりも明日、一歩でもよくなるように。
家族を思い、少し顔晴って(がんばって)みませんか?
連載を読む