HSPに向いている職業について明橋先生に答えていただきました!
HSPの基本的な内容は下記でまとめていますのでご覧ください。
質 問
私はHSPで、小さい頃から人の気持ちがよく分かるため、つらい状況の人を助ける仕事がしたいと思い、現在リハビリ系の学科に通っています。
ですが、勉強を進めるにつれて、他人の気持ちが分かってしまうために、将来患者さんに同情しすぎて、自分自身が苦しくなってしまうのではないか、と考えるようになりました。
このような悩みを抱えたままで、医療職についても大丈夫でしょうか。
またHSPに向いている職業なども教えていただけると、うれしいです。
答 え
私は、ぜひそういう道に進んでいただきたいと思いますね。
HSPの人は、相手の気持ち、人のつらさが自分のことのように分かりますし、相手のつらい状況、人の困ってることによく気付きます。
人が困ってることに気づかないと、援助職はできないですから。
こういう人こそ、援助職に向いているのではないかなと思います。
ただ、勉強を進めるにつれて、「将来患者さんに同情しすぎて、自分自身が苦しくなってしまうんじゃないか」という悩みも持っておられるということですね。
たしかに、あまりにも共感力が強すぎるために、自分までつらくなってしまう、ということがあります。それは、やはり援助職を選ぶうえでは、注意しないといけないことだと思います。
それには適切に境界線を引くとか、相手のことに巻き込まれないとか、相手だけなく自分のことも大事にするとか、こういったことが大切になってきます。
実は、これも援助をしていく時の技術の一つなのです。
そういう援助の技術は、実際その職業に関わるうちに学んでいけることですし、少しずつ身につけていけばいいことだと思います。
私も、そんなに敏感なタイプではないのですけれども、精神科医になりたての頃は、患者さんに同一化しすぎてしまうことがありました。
ですから、おそらくHSPであれば、患者さんに巻き込まれて、共感し過ぎてしんどくなる、ということもあると思います。
そういう時には、ぜひ上の先生とか、相談できる人、先輩とかに相談しながら、適切な距離の取り方とかを学んでいってほしいと思います。
そうしていくと、境界線を引く、ということがだんだんできるようになります。
これは、子育てでも同じで、HSC(ひといちばい敏感な子)を育てる時に、親が敏感な人の場合は、子どもの気持ちが分かりすぎてしまって、子ども以上に大人が悩んでしまう、ということがあります。
大人のほうが、食欲もなくなって夜も眠れなくなって、薬が必要になることもあるわけです。
以前、飛行機の酸素マスクの話をしましたが、まず自分が倒れないために、自分の酸素の確保をして、そのうえで子どものケアをする。
それは、援助職も同じことで、自分が倒れてしまったら相手を援助することもできません。
自分のケアをすることに対して、決して罪悪感を持つ必要はないですし、自分のケアも援助の一つなんですよね。
だからやはりオンとオフ、仕事としてやっている時とプライベートとは、しっかり分けないといけません。
例えば、患者さんには個人の携帯番号は教えない、ということも援助のために必要なことです。
境界線を引いてこそ、初めて援助ができるのです。
そういった援助の技術は、後からいくらでも学ぶことはできますが、「共感力」というのは、なかなか学ぶことはできません。
そういうのをちゃんと持っておられるわけだから、非常に素晴らしいと思います。
他に、HSPに向いている職業といわれているのは、カウンセラーとか、看護師とか、あとは学校の先生とか、芸術家とかですね。
他にも発明家とか。細かいことや、変化に気づくことが大事な仕事が挙げられます。
あとは、リーダーシップを取る立場もそうです。後輩や社員の気持ちが分からないと、リーダーにはなれないですから。
トップに立つ人、というのは、もちろん行動力もあるけれども、繊細というか、世の中の変化とか、風向きをすごく敏感に察知しますよね。
そういう職業も向いているといわれています。
活躍のしどころがたくさんありますね。
ですから、自分の特性を大事にしながら、素敵な援助者になってもらいたいな、と思います。