韓国のことわざ・俗談(ソクダム)に学ぶ
ことわざシリーズの2回目は日本のお隣、韓国のことわざを紹介します!
韓国では、ことわざのことを俗談(ソクダム)と言われます。
お隣の国だからか、日本と韓国には共通することわざも多いようです。
日本では韓流ブームなどもあり、食べ物や文化が今も根強い人気を誇っていますね。
韓国発祥のキムチは日本のスーパーにいくつも並んでいますし、街中には韓国料理のお店がたくさん並んでいます。
韓流ドラマやKポップが好きだという人も多いのではないでしょうか。
そんな、日本にとてもなじみ深い文化のある韓国。
そのなかでも、今回は韓国ならではのことわざについて紹介していきます。
学歴で人生が変わる!?学歴社会・韓国
韓国のことわざの紹介の前に、韓国という国について見ていきます。
韓国が学歴社会であることは有名です。
名門校に入れば、すなわち将来が約束される。
それが韓国の人の共通の認識なのだとか。
勉強にかける熱意は日本の比ではなく、韓国の子どもたちは小学校から塾や習い事をし、高校生になれば夜10時まで学校で勉強するのが普通。
大学の進学率は驚異の80%越えとも言われます。
それもこれも、すべては良い企業に就職して、幸せな人生を送るためなのです。
歴史的に見ても、韓国は学問を修め、頭の切れる人が大きく出世する文化でした。
昔の韓国の朝廷では、腕の立つ武官よりも学問を修める文官のほうが地位が高かったのだとか。
武士が中心の時代が長く続いていた日本は、どちらかというと武を重視する文化だったでしょう。
そういう意味では、正反対の価値観だったと言えるのではないでしょうか。
その、学問を重視する文化が現代にも受け継がれ、韓国の学歴重視の価値観を形作っているのかもしれませんね。
韓国の勝ち組と負け組を分けるステータス
どこの大学を出ているのか。どんな服装をしているのか。
どんな容姿をしているのか。どんな車に乗っているのか。
人からうらやまれるようなステータスを持つことは、韓国の人にとって、とても重要です。
受験の失敗は人生の失敗とばかりに、小さいころからプレッシャーを浴び続けている韓国人。
どんな持ち物を持っているかで、人生の勝ち組か負け組かが決まってしまう。
そんな思いが共通してあるからか、韓国人は人からどう思われているかをとても気にする傾向にあるそうです。
その性格は、一人では決して外食しないというところにも表れています。
韓国では一人でレストランに入ると、「ごはんを一緒に食べる友達が一人もいない、可哀想な人」に見られてしまうのだとか。
日本では今やおひとりさまブームで、一人用の席が設けられている店舗も増えてきました。
今でこそ、一人で外食しても気にならない時代になりましたが、日本人の私たちもどこか覚えのある感覚かもしれません。
犬でも詩が詠めるかも?韓国のことわざ
そんな韓国には、どのようなことわざがあるのでしょうか。
韓国のことわざを紹介します。
小さいトウガラシのほうが辛い
- 韓国語
- 작은 구추가 더 맵다
- 意味
- 年齢が若くても、しっかり仕事をこなせる人や、身体は小さくても運動神経が優れている人、また外見は小さくても機能的に優れているものを表す。
- コメント
- 日本のことわざでは「山椒は小粒でもぴりりと辛い」と言いますね!
韓国の唐辛子は小さければ小さいほど辛いそうです。
- 日本のことわざでは「山椒は小粒でもぴりりと辛い」と言いますね!
キジを食べ、その卵も食べる
- 韓国語
- 한 가지 일을 하여 두 가지 이상의 이익을 보게 됨
- 意味
- 1つの仕事をして、2つ以上の利益を得ること。
- コメント
- 「一石二鳥」と同じ意味の韓国のことわざです。
キジは捕まえるのが難しい鳥とされていましたが、卵を温めているときだけは逃げないため、キジを捕まえるだけでなく、その卵も得ることができたそうです。
- 「一石二鳥」と同じ意味の韓国のことわざです。
金剛山も食後の景色
- 韓国語
- 금강산도 식후경
- 意味
- どんなに楽しいことでもお腹が空いていると楽しめない、ご飯を食べたからこそ楽しむことができるということ。
- コメント
- 金剛山は韓国の有名な観光地です。
美しい景色を楽しむのは、腹ごしらえがすんでから、ということなんですね。
日本のことわざでいえば「花より団子」でしょうか。
- 金剛山は韓国の有名な観光地です。
溝から龍が出る
- 韓国語
- 개천에서 용 난다
- 意味
- 貧しい家庭で生まれた人が、成功すること。
- コメント
- 日本のことわざでは「鳶が鷹を生む」と言われます。
韓国のことわざでは大成功した様子が更によく表れていますね。
- 日本のことわざでは「鳶が鷹を生む」と言われます。
行く言葉がきれいなら、来る言葉もきれいだ
- 韓国語
- 가는 말이 고와야 오는 말이 곱다
- 意味
- 他人に向けての言葉や行動を良いものにすれば、他人から受ける言葉や行動も良いものになるということ。
- コメント
- 日本では逆に「売り言葉に買い言葉」ということわざがあります。韓国のことわざは良い言動に目を向けているのですね。
ソダンの犬3年で風月を詠む
- 韓国語
- 서당 개 삼 년에 풍월을 읊는다
- 意味
- 知識と経験が全くない人でも、その分野に長く携わっていると、何らかの知識と経験を持つようになる。
- コメント
- 「門前の小僧習わぬ経を読む」と同じ意味です。
ソダンとは韓国の私塾のことで、日本でいえば寺子屋だそうです。
かつて、そこでは漢詩が学ばれていました。
「寺子屋で3年間暮らしながら毎日、詩を詠んでいる声を聞いていると、犬でも詩1編くらいはそらんじることができるようになる」ということが言われた韓国のことわざです。
- 「門前の小僧習わぬ経を読む」と同じ意味です。
韓国のことわざに学ぶ!人間関係で大事な心掛け
このような韓国のことわざもあるそうです。
カエルはオタマジャクシの頃のことを忘れてしまう
개구리 올챙이적 생각을 못한다
⇒かつては、地位もなく貧しかった人が、地位や財産などを得て暮らしぶりがよくなったとたん、かつての苦労を忘れてしまい、傲慢に振る舞うこと。
似たような意味で、日本には「初心忘れるべからず」ということわざがありますね。
「何事においても、始めた頃の謙虚で真剣な気持ちを持ち続けていかねばならない」という戒めの言葉です。
成功して恵まれたり、できないことができるようになったりするのは、その人の努力あってこそですから、大変素晴らしいことです。
しかし、いろいろなものを手に入れ、いろいろなことができるようになると、知らず知らずのうちに出てくるのが慢心です。
自分はもうできるんだとふんぞり返って、できない人を見下す心が出てきてしまうのです。
それが「こんなこともできないの?」という心無い言葉になって、周りの人との関係を崩してしまいます。
この韓国のことわざはそれを警告しているのでしょうね。
誰にでも、取り組み始めたとき、できなかったときがあったはず。
「自分にも頑張っていたころがあったな」と振り返ってみたら、できない人にも温かい気持ちで寄り添うことができるのではないでしょうか。
そのほかの国のことわざ
韓国には韓国ならではの文化が見えることわざがありました。
他の国ではどうでしょうか?
以下のリンクから他の国の記事をお読みいただけます。
・三人寄れば無責任!?中国のことわざ・格言から学ぶ人生哲学
・「猫を染めて売る」!?タイのことわざから学ぶ人生哲学
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まとめ
韓国のことわざは、表現が違っても日本と共通する意味があるものが多かったですね!
日本にもかつて学歴偏重の風潮がありました。
ステータスを重視し、人目を気にする気持ちも、日本人には共感できるところが多いのではないでしょうか。
韓国と日本。国は違っても、本質は共通しているのだということが、ことわざを通してよくわかりました。
韓国のことわざにもあるように、どんな人にもオタマジャクシのころがあるもの。
初心を忘れず、お互いに理解し合うことでよい関係を築いていきたいですね。
参考文献
『暮らしの韓国語単語8800: 何から何まで言ってみる』(今井久美雄)
『ボクが韓国離れできないわけ』(黒田勝弘)
『不思議がいっぱい韓国』(中野葉子)
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