質問:片付けられない子どもが片付けができるようになるには、どうしたらいい?
子どもが床におもちゃを広げるだけ広げて、いっこうに片付けようとしません。
「片付けなさい!」と怒ったり、「大切にしないなら、捨てちゃうよ」と言ったりしても、まったく効果なしです。
どうすれば自分で片付けができるようになるでしょうか。
答 え
しつけの中でも、片付けをどうやって習慣づけるかは、どんな親御さんも悩んでいることだと思います。
なかなか難しいことですし、時間のかかることなのですが、その片付けについて、基本的なことを書いてみたいと思います。
「片付けると気持ちいい」という感覚を育てる
まず、小学校低学年までの子どもは、片付けの必要性も分からないし、片付いて気持ちがいい、という気持ちも育っていません。
ですから、そういう子どもに、ただ「片付けなさい!」とどなっていても、あまり効果はないのです。
片付けると気持ちいい、という感覚を育てながら、少しずつ習慣づけていくことが大切です。
そのための第一歩は、環境を整えることです。
①いつも使うおもちゃを減らす
まず、おもちゃを減らすことから始めます。
今の家は、往々にしておもちゃが多すぎます。
でも、子どもは、おもちゃ箱をいちいち全部ひっくり返して出さないと気が済みません。
ですから、子どもと相談して、よく使うおもちゃをおもちゃ箱に入れて、あまり使わないおもちゃは、段ボールなどに入れて、押し入れの奥にしまいます。
まずは、おもちゃの数を減らすことが大切です。
(と言っても、遊びにはある程度の豊かさも必要なので、片付けを意識するあまり、制限しすぎるのも考えものですが)
②子どもが片付けられる箱を用意
次に、子どもが片付けやすいおもちゃ箱や戸棚を用意します。
あまり細かいと難しくなるので、大まかに分別できる程度でかまいません。
③おもちゃを広げる範囲を決める
「子どもは散らかすもの」とわかってはいても、どうしてもイライラする場合は、おもちゃを広げてもいい場所を決めます。
自分の部屋なら部屋。それ以外には広げないように約束します。
④お片付けの時間を設定
しっかり片付けるのは、1日1回が限度でしょうから、夕御飯前に片付ける、という約束でもいいと思います。
⑤一緒にやる
まずは親が、ぬいぐるみはここ、絵本はここ、ゲームは、ここ、というふうに、要領を示しながらやっていきます。
そのうち、子どもも関心を示してきたら、子どもにも役割を与えて、「じゃあ、○○ちゃんは、ぬいぐるみを片付けてね」と伝える。
そして、やってくれたら、「ありがとう」と言います。
そして、片付いたら、一緒に部屋を眺めて、「きれいになったね」「きれいだと気持ちがいいね」
と一緒に気持ちよさを味わいましょう。
そういうことを繰り返しながら、少しずつ子どもの役割を増やしていくことが大切です。
ポイントは、当分は親が一緒にやるということと、子どもに役割を与えて、やったら「ありがとう」とほめて、やる気を育てていくことです。
つい私たちは、子どもに、「片付けなさい!」と言葉で指示するだけで、どのように片付けていくかを教えていないことが多いです。
片付けなかったら、今度はどなりながら、お母さんだけで片付ける(それを子どもはびくびくしながら見ている)ことも、よくあります。
親がまったく一緒にしないか、全部やってしまうかの両極端になっているように思います。
とはいっても、一緒にやろうと誘っても、なかなか片付けようとはせず、イライラすることがほとんどかもしれません。
キレてしまいそうなときは、「片付けしなくても、とりあえず、死ぬことはないわ」と開き直って、明日に回しましょう。
小さな子どものいる家で、きちんと整理されているところは、まずありません。
子どもも毎日それなりに成長しています。今できないことでも、来年はできるようになるかもしれません。
少し肩の力を抜きながら、ぼちぼちやっていきましょう。
Dr.明橋の子育て相談室Q&A