質 問
子どもがキレたり、暴れたり、心配な行動をとるようになる原因は何でしょうか。
答 え
子どもにいろんな症状が起きてくる原因は、一つです。
それは、簡単にいうと「パイプ詰まり」ということです。
子どもと周囲の間の心のパイプ、これを、一般には、コミュニケーションともいいますが、それが詰まっている状態です。
人と人との間には、相互に、気持ちの交流や、理解、というものが、行ったり来たりしています。親子の間でもそうですし、先生と生徒、大人同士の間もそうです。ところがこのパイプが、時として詰まってしまうことがあります。
詰まった時にいろんな問題が出てきます。
心のパイプが詰まっている状態とは、「言いたいことが言えない」状態です。
そうすると、子どもの自己肯定感が低くなってしまいます。
自己肯定感とは、自分は生きている価値がある、自分は大切な存在だ、自分は生きていていいんだ、という気持ちです。
それは、子どもの場合、まず周囲(大抵は親ですが)に確認することから育っていきます。
親に甘えて、それを受け止めてもらう。そこで、自分は大切にされる価値があるんだと確認します。
親にかんしゃくをぶつけて、それをよしよしと受け止めてもらい、「つらかったんだね」と気持ちを分かってもらうことで、こんな自分も大切にしてもらえるんだ、怒っても泣いても、それでも自分は嫌われたり、見捨てられたりすることはないんだ、自分のありのままの姿を周囲は受け入れてくれるんだ、と確認します。
そういう確認をしながら、自分のことも、自分の感情(甘えたり、怒ったり泣いたりすること)も、子ども自身が認められるようになっていくのです。
ところが、自分の気持ちを周囲に伝えることができなかったり、一生懸命伝えても、ちっともキャッチしてもらえなかったりすると、自分のありのままの姿を認めてもらう確認ができません。
そういうことが続くと、次第に自分のありのままの姿を否定したり、自分の感情を否定したりしていくことになります。
「こういう自分は、出してはいけないんだ」と思っていきます。
そうなると、自分の気持ちを全く出さなくなるか、あるいは、別の形(いわゆる問題行動)で出すようになってきます。
そうすると、周囲は子どもの気持ちが分からなくて、間違った対応をしたり、放置したり、叱ったりします。
そうすると、よけい子どもは自分を否定して、本当の気持ちを閉じ込めるようになります。
それが自己肯定感の低さにつながっていくのです。
私はいつも、「10歳までは、しっかり甘えさせる。そうすることで、心の安定した、いい子に育つ」と、いろんなところで書いたり、お話ししたりしています。
甘えこそ、パイプ詰まりを打開する、カギなのです。