質 問
1歳半の子どもがいます。明橋先生の本を読ませていただいて、あまり叱らずに、できるだけほめて育てたいなと思っていたのですが、イヤイヤ期になってきて、ご飯を投げたりするようになり、注意することが増えてきました。
ほめることと、注意することとの兼ね合いを、どうしたものかと悩んでいます。
答 え
今、1歳半ということですが、基本的に2歳までの子どもはルールを言っても理解できないし、そのとおりやることもできないのです。
2歳以下の子どもを叱っても、どうして叱られたのか理解できないし、「親が怖いな」ということしか分かりません。
もちろん、いけないことはいけない、と言わなければなりませんが、そこで注意してやめさせられるかというと、無理なのです。
ですから2歳以下の場合は、ご飯を投げても困らないように、シートを敷いておくなどして、大人が環境を整えることが必要です。
2歳を過ぎると、少しずつルールが理解できるようになるといわれていますが、「理解できること」と、「そのとおりできること」はまた別です。
3歳を過ぎると、少しずつ、簡単な指示を守れるようになっていって、4歳、5歳となるうちに、徐々にルールを守れるようになっていきます。
では、2歳、3歳になった時に、どういうふうに注意したり叱ったりすればいいのか、ということですが、まず、何のために叱るかといったら、子どもが、自分も相手も大事にできるように教えるためです。
「叱る」とは、「教える」ということなのです。
子どもを止めて、目を見て伝える
だから、別に大声を出す必要もないし、ヒステリックに叫ぶ必要もない。逆にそういうふうに大声で叫んだら、それだけで子どもは頭が真っ白になって、伝えたいことが伝わっていない、ということがあるわけですよね。
遠い所で走り回っている時に、わーっと叫んでも聞いていませんから、とりあえず子どもを止めて、目を見て、「これはよくないよ」と簡潔にキッパリと伝えるのです。
「~しちゃだめ」よりも「~してね」
それから、「~しちゃだめ」よりも「~してね」と、してほしいことを言葉にして伝えるのが大事です。
「~しちゃだめでしょ」と言うと、じゃあどうすればいいのか、結局伝わっていないということがあります。
「あんた」を主語にしない
また、「あんたはダメ」だとか、「あんたはおかしい」とか、「あんた」を主語にすると、ついつい全面否定になってしまうので、親の気持ちを言葉にして、「お母さんは心配したよ」とか「お父さんは悲しかったよ」とか、そういうふうな親の気持ちを主語にして伝えると有効だといわれています。
繰り返し伝える
ただ、そのように注意をしても、子どもは同じ失敗をします。ですから、注意は同じことの繰り返しです。
何度も同じことを注意しなければならないですが、そのうちに、子どもも少しずつできるようになっていく、ということですね。
HSCの子には配慮を
子どもがHSC(ひといちばい敏感な子)の場合は、ちょっとした注意を全面否定と取ったり、大きな声を出すとショックを受けたりするので、そういうことに配慮しながら伝えていくといいと思います。
叱り方は、親も学んでいったらいいと思いますが、とりあえず1歳半でしたら、注意は今ぐらいでじゅうぶんだと思います。