質 問
子どもを叱る時に、「早くご飯を食べないとデザートはなしだよ」とか、デパートで暴れていると「もう知らない!ここに置いてっちゃうよ!」というような言い方をしてしまいます。これはよくないでしょうか。
答 え
子どもを目の前にすると、ついそう言ってしまいますから、なかなか難しいことなんですけれども、私たちは「叱り方」というのを、もっと学ばないといけないと思っています。
「叱る」というのは、子どもが自分も相手も大事にできるように教える、ということなのです。
別に大きな声で怒鳴る必要もなければ、ヒステリックに叫ぶ必要もない。
むしろ、怒鳴ったり叫んだりすることによって、子どもは余計に頭が真っ白になって、何を叱られたのか、入っていないということがあるのですよね。
ですから、叱るというのは「教える」ことなのです。
目を合わせて簡潔にキッパリと
そのためにはどうするかというと、まず一つは、教える時には、遠くからギャーと怒っても、子どもは全然聞いていませんから、近くに行って、目を見て、目を合わせて、「これはよくないよ」と簡潔にキッパリと伝えるということですね。
「~してはダメ」ではなく「~しようね」
それからもう一つは、「~してはダメ」ではなくて、「~しようね」と言う。
ダメって言われると、特にHSC(ひといちばい敏感な子)は自分は全部ダメだと思ってしまいます。だから、してほしいことを伝えるのです。
例えば「廊下を走っちゃダメでしょ」ではなくて、「廊下を歩こうね」と伝える。
子どもは、「~しちゃダメでしょ」と叱られても、どうしたらいいのか、意外と分かっていないことがあります。
ですから叱る時には「こうしようね」と、してほしいことを伝えると、分かりやすいのです。
それは否定の言葉ではないので、HSCの子にとってもダメージが少ないですね。
「あなた」メッセージではなく「私」メッセージで
もう一つは、「あなた」メッセージじゃなくて「私」メッセージで。
「あんたはダメでしょ」とか「あんたはこうでしょ」というように、「あんたは」と言うと、ついつい全面否定になってしまいます。
そうではなくて、「お父さんは悲しい」とか、「お母さんは心配したよ」とか、親の気持ちを言葉にして伝えるのです。
そうすると、子どもはそんなに傷つかないし、また親から「悲しい」「寂しい」「心配した」とか言われると、「いやー、申し訳なかったな」と思うわけです。
根気よく伝える
ただ、注意は「根気強い繰り返し」といわれます。
やはり同じことを何度も何度も言わないといけないものなんですよね。
たまに親御さんから、「子どもを一発で言うことを聞かせる叱り方教えてください」と言われることがあります。
それは、子どもにものすごい恐怖感を与えて怒ったら、一発で聞くかもしれません。
しかし、車道に飛び出すとか、火遊びするとか、本当に危ないことなら別ですが、日常の着替えが遅いとか、歯磨きしてないとか、そういうことで、死ぬようなショックを味わわせて叱っていたらどうなるのか、ということですね。
それこそ、心の土台の自己肯定感が下がってしまいます。
ですから、同じことを根気よく繰り返して伝えるということです。
Dr.明橋の子育て相談室Q&A