信長・秀吉・家康がたどり着く人生の結論とは?
こんにちは、歴史から学ぶ人生ナビゲーターの木口です。
忙しい毎日の中で「自分はこのままでいいのか?」と、ふと思う瞬間が、誰にでもあるのではないでしょうか。
幼い頃は、大人がずいぶん大きく見え、何でも知っているかのように思えたものです。
しかしやがて気づきます。
完璧になって大人になるのではなく、迷いながら”人生の歩み”を続けているのだと。
そんな私たちへの、三武将の人生アドバイスをこれまで紹介してきました。
お酒に甘口、辛口いろいろあるように、3人のアドバイスもそれぞれですね。
人生について語ってきた3人ですが、どのような結論にたどり着くのでしょうか?
「信長・秀吉・家康の人生居酒屋」も、いよいよ最終回です。
お酒を傾けると人生が見える?
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こら、サルもっと飲まんか!吉乃、ついでやれ。
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ほほほ、では。
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これはこれは、吉乃さまのお酌とあっては断れませぬ…ヒック。
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もう真っ赤になって。本当にお猿さんみたいですよ。
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はっはっは、こうして皆で飲むのは楽しいものですな~。
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酒とくれば歌じゃ。誰ぞ一句詠んでみぬか。
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おっほん!それでは私が。えー、
「四十九年 一睡の夢 一期の栄華 一盃の酒」
……どうじゃ。 -
わ、なんだか格調高い!
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それ、上杉謙信公の辞世の句ではないですか?
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バレたか。酒と聞いて思い出しまして。
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まあ。うちの人にしては出来すぎだと思った。
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「人生とは、一時の夢を見ているようなもの。
栄耀栄華も、酒を飲んでいる間の戯れのようなもの」…ですか。
謙信公の心が伝わってくるかのようです。
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人生を酒になぞらえるとは…ふんっ、なかなか粋ではないか。
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一生は夢や幻のようなものって、あなたの好きな舞に似てますね。
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そうよの。さすがは信玄と渡り合った名将じゃ。極めれば同じ境地にたどり着くのかもしれんな。
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夢幻のような人生、何のために生きるのか、と問いかけられている気がします。
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うむ、そうだな。
秀吉たち、人生の宝探しへ
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それがし、信長様の舞から学びました。
儚い命と知ればこそ、なぜ生きるかを真面目に考えるようになる、と。 -
さすが家康、理解が早いの。
俺は秀吉の一生から気づいたぞ。
その生きる目的とは、金や物を追求するのとはまた別だとな。
それだと命がいくつあっても足りんわ。
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いや~、ごもっとも!
さらに生きる目的とは、生まれてきてよかったと満足できる本当のゴール。
名声を得たのも通過点で、本当の安心ではない。
家康どのから学びました。 -
まことそのとおり。
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おおーっ!
われら3人の力で、何やらすごいことを発見したのではないですか? -
人はなぜ生きるのか…向かう方角が見えたような気がしますな。
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あとはそれを見つけるだけか…。
よし、俺はそれを探すぞ!
戦国の世だけでなく、今度は自分の人生に平安をもたらしてくれよう!
久しぶりに熱くなってきたわ! -
私も茶室だけでなく、自分の心も黄金輝くものにしてみせまする!
どうです、この際みんなで人生の宝探しに出かけませんか?
戦国ビッグスリーがそろえば、怖いものなしです!
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われらもお供いたします♪
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ほっほ、おね、おまえがおらんと調子が出んからの。よろしくたのむ!
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吉乃はついてこんでもよい!
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とか言っちゃって、本当はついてきてほしいのではないですか?
戦に出るのではないですし、旅は道連れでしょう?
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はっはっは、役者は揃った!では参ろう!
探しものが見つかったら、女将の店で今度は祝酒じゃ!とびきりうまい酒での! -
調子のいいこと、気分はまるで水戸の黄門さまみたい。
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女将、世話になった!探しものが見つかったらまた寄せてもらうぞ!
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こちらこそ、楽しみにしています♪
皆さんのいろいろのお話、本当に大変おもしろかったです!
道中、どうぞお気をつけて。
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それならば、われらもぜひ!
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ご一緒させてください!
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お供いたします!
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おー、旅は多いほうが面白いわ!秀長、勘定はたのんだ!
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ったく、兄者はこういうときだけオレを使うんだから。
こうして始まった、戦国ビッグスリーの人生宝探し。
はてさて、秀吉たちは無事、宝を見つけられるのでしょうか?
楽しみですね♪
人生は一杯の酒?儚い人生を感じた信長と謙信
武田信玄と名勝負をくり広げた上杉謙信は、49年の生涯の終わりに次のような言葉を残したと伝わります。
「四十九年 一睡の夢 一期の栄華 一盃の酒」
(自分の人生をふり返ってみれば、一時の夢を見ているようなものであった。栄耀栄華を極めたといっても、酒を飲んでいる間の戯れのようなもの。)
謙信もいける口だったのでしょうか。
自分の人生とお酒を重ねています。
「一生」と聞くと、ずいぶん長い時間があるように思いますが、過ぎてみればあっという間だなと、ふと感じることはないでしょうか。
「この間まで自分は少年だと思っていたのに、もう娘が結婚して孫ができた…いや~月日の経つのは早いなぁ…」
そんな方もあるでしょう。
「そんなこともあったなぁ」と、しみじみ述懐することもあれば、「そんなことあったかな」と、首をかしげることもあるかもしれません。
昨日見た夢のほうが、よほど鮮明に覚えている、ということさえあります。
謙信は、人間五十年を「夢幻の如くなり」と詠んだ信長と同じ世界を見たのかもしれません。
その儚い人生は何のためにあるのか?
生きる目的は何なのか?
戦国をかけぬけた武将たちは、そう問いかけているのではないでしょうか。
人生の根本的な問い
私たちは、なぜ生きるのでしょう。
生きることは大変です。
大学入試の試験方式変更に、教える側も教わる側も右往左往しています。
働き方改革が叫ばれて久しくなりますが、夏休みでのんびりする子どもたちを見て、「いいな~お父さんにも夏休みがほしいよ」と漏らしたことのある人もいるでしょう。
お盆や年末年始でほっとしたのもつかの間で、あっという間に忙しい日常に逆戻りです。
老後になればやれやれと落ち着くかと思ったら、二千万円の貯蓄が必要と聞いてにわかに不安になったり、介護の問題にぶち当たります。
子や孫たちとはめったに会うこともできず、伴侶にも先立たれ、一人ぽつねんとするとき、言いようのない淋しさが心のうちに湧いてきます。
生まれるかどうかを選択した覚えもなく、気がつけば人生の歩みを始めていました。
それらの苦難を乗り越えて、人はなぜ生きるのでしょう。
生きる目的がはっきりすれば、全ての苦労は報われる
私たちは、たとえ嫌なことでも「何のためにするのか?」が分かれば、頑張れるものです。
たとえば仕事なら、上司に叱られたり、厳しい納期に追われたりして、自由な時間が持てず大変です。
時として、なぜこうまでして仕事しているのか分からなくなります。
それでも、「パパおかえり~!今日、幼稚園でこんなことがあってね~」と、かわいいわが子の満面の笑みに接したらどうでしょうか。
「ああ、この子のためにも頑張ろう!」と力が湧いてきます。
栄養ドリンクを何本飲むよりも元気になるでしょう。
厳しい食事制限でも、「このままだと糖尿病になるから」と医師に言われたら、毎日つらくても続けられます。
尊敬する人や好きな人に頼られての仕事なら、むしろ喜んで手伝うかもしれません。
世界的ベストセラー『夜と霧』で著名なヴィクトール・フランクルは、「人間は、相当の苦悩にも耐えられる力をもっている。しかし、意味の喪失には耐えられない」と言いました。
私たちは、苦しみそのものではなく、苦しくてもやる理由が分からないのが苦しいのです。
目的がいかに大事か知らされます。
人生もまた同じです。
「生きてよかった」と心から喜べるゴールを
『なぜ生きる』(著:明橋大二・伊藤健太郎、監修:高森顕徹)には、このように書かれています。
生きる目的がはっきりすれば、勉強も仕事も健康管理もこのためだ、と全ての行為が意味を持ち、心から充実した人生になるでしょう。
病気がつらくても、人間関係に落ち込んでも、競争に敗れても「大目的を果たすため、乗り越えなければ!」と「生きる力」が湧いてくるのです。
(中略)
方向さえ正しければ、速く走るほど早く目的地に着きますから、損をする苦労は一つもありません。
人生の目的成就のためならば、時間、体力、お金をどれだけ使っても、百パーセントそれらは生かされます。
『なぜ生きる』(著:明橋大二・伊藤健太郎、監修:高森顕徹)p.35
生きる目的を知った人の苦労は、必ず報われる苦労です。
「この幸せになるための苦労だったな」とはっきりした時、それまでの悩み、苦労も全てが報われ、「生まれてきてよかった」と心の底から喜ばずにいられなくなります。
信長・秀吉・家康たちと一緒に、人生の宝探しに出かけてみるのはいかがでしょうか。
あとがき
「信長・秀吉・家康の人生居酒屋」 いかがだったでしょうか。
彼らがお酒を酌み交わし、陽気に語らう姿を想像するのが、私はとても楽しかったです。
上司や部下の関係、夫婦の関係、仕事の悩みなど、現代の私たちと同じように、戦国武将たちも悩み考え、頑張っていたのだと知ると、なんだかとても身近な人のように思えてくるのです。
彼らの残してくれたアドバイスが、きっとみなさんの人生をより豊かにしてくれることでしょう。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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