信長・秀吉・家康の人生居酒屋〜武将アドバイスで、人生を再発見〜 #11

  1. 人生

人生を一杯の酒にたとえた上杉謙信に学ぶ!秀吉たち、人生の宝探しへ

信長・秀吉・家康がたどり着く人生の結論とは?

こんにちは、歴史から学ぶ人生ナビゲーターの木口です。

忙しい毎日の中で「自分はこのままでいいのか?」と、ふと思う瞬間が、誰にでもあるのではないでしょうか。
幼い頃は、大人がずいぶん大きく見え、何でも知っているかのように思えたものです。
しかしやがて気づきます。
完璧になって大人になるのではなく、迷いながら”人生の歩み”を続けているのだと。

そんな私たちへの、三武将の人生アドバイスをこれまで紹介してきました。
お酒に甘口、辛口いろいろあるように、3人のアドバイスもそれぞれですね。

人生について語ってきた3人ですが、どのような結論にたどり着くのでしょうか?

「信長・秀吉・家康の人生居酒屋」も、いよいよ最終回です。

お酒を傾けると人生が見える?

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    こら、サルもっと飲まんか!吉乃、ついでやれ。

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    ほほほ、では。

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    これはこれは、吉乃さまのお酌とあっては断れませぬ…ヒック。

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    もう真っ赤になって。本当にお猿さんみたいですよ。

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    はっはっは、こうして皆で飲むのは楽しいものですな~。

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    酒とくれば歌じゃ。誰ぞ一句詠んでみぬか。

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    おっほん!それでは私が。えー、
    四十九年 一睡の夢 一期の栄華 一盃の酒
    ……どうじゃ。

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    わ、なんだか格調高い!

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    それ、上杉謙信公の辞世の句ではないですか?

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    バレたか。酒と聞いて思い出しまして。

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    まあ。うちの人にしては出来すぎだと思った。

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    人生とは、一時の夢を見ているようなもの。
    栄耀栄華も、酒を飲んでいる間の戯れのようなもの
    」…ですか。
    謙信公の心が伝わってくるかのようです。

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    人生を酒になぞらえるとは…ふんっ、なかなか粋ではないか。

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    一生は夢や幻のようなものって、あなたの好きな舞に似てますね。

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    そうよの。さすがは信玄と渡り合った名将じゃ。極めれば同じ境地にたどり着くのかもしれんな。

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    夢幻のような人生、何のために生きるのか、と問いかけられている気がします。

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    うむ、そうだな。

秀吉たち、人生の宝探しへ

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    それがし、信長様の舞から学びました。
    儚い命と知ればこそ、なぜ生きるかを真面目に考えるようになる、と。

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    さすが家康、理解が早いの。
    俺は秀吉の一生から気づいたぞ。
    その生きる目的とは、金や物を追求するのとはまた別だとな。
    それだと命がいくつあっても足りんわ。

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    いや~、ごもっとも!
    さらに生きる目的とは、生まれてきてよかったと満足できる本当のゴール。
    名声を得たのも通過点で、本当の安心ではない。
    家康どのから学びました。

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    まことそのとおり。

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    おおーっ!
    われら3人の力で、何やらすごいことを発見したのではないですか?

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    人はなぜ生きるのか…向かう方角が見えたような気がしますな。

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    あとはそれを見つけるだけか…。
    よし、俺はそれを探すぞ!
    戦国の世だけでなく、今度は自分の人生に平安をもたらしてくれよう!
    久しぶりに熱くなってきたわ!

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    私も茶室だけでなく、自分の心も黄金輝くものにしてみせまする!
    どうです、この際みんなで人生の宝探しに出かけませんか?
    戦国ビッグスリーがそろえば、怖いものなしです!

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    われらもお供いたします♪

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    ほっほ、おね、おまえがおらんと調子が出んからの。よろしくたのむ!

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    吉乃はついてこんでもよい!

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    とか言っちゃって、本当はついてきてほしいのではないですか?
    戦に出るのではないですし、旅は道連れでしょう?

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    はっはっは、役者は揃った!では参ろう!
    探しものが見つかったら、女将の店で今度は祝酒じゃ!とびきりうまい酒での!

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    調子のいいこと、気分はまるで水戸の黄門さまみたい。

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    女将、世話になった!探しものが見つかったらまた寄せてもらうぞ!

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    こちらこそ、楽しみにしています♪
    皆さんのいろいろのお話、本当に大変おもしろかったです!
    道中、どうぞお気をつけて。

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    それならば、われらもぜひ!

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    ご一緒させてください!

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    お供いたします!

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    おー、旅は多いほうが面白いわ!秀長、勘定はたのんだ!

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    ったく、兄者はこういうときだけオレを使うんだから。

こうして始まった、戦国ビッグスリーの人生宝探し。
はてさて、秀吉たちは無事、宝を見つけられるのでしょうか?
楽しみですね♪

人生は一杯の酒?儚い人生を感じた信長と謙信

武田信玄と名勝負をくり広げた上杉謙信は、49年の生涯の終わりに次のような言葉を残したと伝わります。

四十九年 一睡の夢 一期の栄華 一盃の酒
(自分の人生をふり返ってみれば、一時の夢を見ているようなものであった。栄耀栄華を極めたといっても、酒を飲んでいる間の戯れのようなもの。)

謙信もいける口だったのでしょうか。
自分の人生とお酒を重ねています。

「一生」と聞くと、ずいぶん長い時間があるように思いますが、過ぎてみればあっという間だなと、ふと感じることはないでしょうか。
「この間まで自分は少年だと思っていたのに、もう娘が結婚して孫ができた…いや~月日の経つのは早いなぁ…」
そんな方もあるでしょう。

「そんなこともあったなぁ」と、しみじみ述懐することもあれば、「そんなことあったかな」と、首をかしげることもあるかもしれません。
昨日見た夢のほうが、よほど鮮明に覚えている、ということさえあります。

謙信は、人間五十年を「夢幻の如くなり」と詠んだ信長と同じ世界を見たのかもしれません。
その儚い人生は何のためにあるのか?
生きる目的は何なのか?

戦国をかけぬけた武将たちは、そう問いかけているのではないでしょうか。

人生の根本的な問い

私たちは、なぜ生きるのでしょう。
生きることは大変です。
大学入試の試験方式変更に、教える側も教わる側も右往左往しています。

働き方改革が叫ばれて久しくなりますが、夏休みでのんびりする子どもたちを見て、「いいな~お父さんにも夏休みがほしいよ」と漏らしたことのある人もいるでしょう。
お盆や年末年始でほっとしたのもつかの間で、あっという間に忙しい日常に逆戻りです。

老後になればやれやれと落ち着くかと思ったら、二千万円の貯蓄が必要と聞いてにわかに不安になったり、介護の問題にぶち当たります。
子や孫たちとはめったに会うこともできず、伴侶にも先立たれ、一人ぽつねんとするとき、言いようのない淋しさが心のうちに湧いてきます。

生まれるかどうかを選択した覚えもなく、気がつけば人生の歩みを始めていました。
それらの苦難を乗り越えて、人はなぜ生きるのでしょう。

生きる目的がはっきりすれば、全ての苦労は報われる

私たちは、たとえ嫌なことでも「何のためにするのか?」が分かれば、頑張れるものです。
たとえば仕事なら、上司に叱られたり、厳しい納期に追われたりして、自由な時間が持てず大変です。
時として、なぜこうまでして仕事しているのか分からなくなります。

それでも、「パパおかえり~!今日、幼稚園でこんなことがあってね~」と、かわいいわが子の満面の笑みに接したらどうでしょうか。
「ああ、この子のためにも頑張ろう!」と力が湧いてきます。
栄養ドリンクを何本飲むよりも元気になるでしょう。

厳しい食事制限でも、「このままだと糖尿病になるから」と医師に言われたら、毎日つらくても続けられます。
尊敬する人や好きな人に頼られての仕事なら、むしろ喜んで手伝うかもしれません。

世界的ベストセラー『夜と霧』で著名なヴィクトール・フランクルは、「人間は、相当の苦悩にも耐えられる力をもっている。しかし、意味の喪失には耐えられない」と言いました。
私たちは、苦しみそのものではなく、苦しくてもやる理由が分からないのが苦しいのです。

目的がいかに大事か知らされます。
人生もまた同じです。

「生きてよかった」と心から喜べるゴールを

『なぜ生きる』(著:明橋大二・伊藤健太郎、監修:高森顕徹)には、このように書かれています。

生きる目的がはっきりすれば、勉強も仕事も健康管理もこのためだ、と全ての行為が意味を持ち、心から充実した人生になるでしょう。
病気がつらくても、人間関係に落ち込んでも、競争に敗れても「大目的を果たすため、乗り越えなければ!」と「生きる力」が湧いてくるのです。
(中略)
方向さえ正しければ、速く走るほど早く目的地に着きますから、損をする苦労は一つもありません。
人生の目的成就のためならば、時間、体力、お金をどれだけ使っても、百パーセントそれらは生かされます。

『なぜ生きる』(著:明橋大二・伊藤健太郎、監修:高森顕徹)p.35

生きる目的を知った人の苦労は、必ず報われる苦労です。
「この幸せになるための苦労だったな」とはっきりした時、それまでの悩み、苦労も全てが報われ、「生まれてきてよかった」と心の底から喜ばずにいられなくなります。
信長・秀吉・家康たちと一緒に、人生の宝探しに出かけてみるのはいかがでしょうか。

あとがき

「信長・秀吉・家康の人生居酒屋」 いかがだったでしょうか。
彼らがお酒を酌み交わし、陽気に語らう姿を想像するのが、私はとても楽しかったです。

上司や部下の関係、夫婦の関係、仕事の悩みなど、現代の私たちと同じように、戦国武将たちも悩み考え、頑張っていたのだと知ると、なんだかとても身近な人のように思えてくるのです。
彼らの残してくれたアドバイスが、きっとみなさんの人生をより豊かにしてくれることでしょう。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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