心根育(ここねいく) #1

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子どものありのままを認めながら、意欲を高めるには?日常での関わり方3つのポイント

“子どもの「ありのまま」を認めることが大事” だとは思っていても、

「うちの子は、家でいつもゲームばかりしてる…」
「夏休みも終わりなのに、まったく宿題をしない…」

そんな姿を見て、いったいどうしたらいいの?と心配になったり、
ついガミガミ言ってしまって逆効果、ということはないでしょうか?

悩めるママ・パパの悩みに答えた、田宮由美先生の新刊『比べない子育て』が、10月中旬に発刊されることになりました!

子どものありのままを認めながら、意欲を高めるには?日常での関わり方3つのポイントの画像1田宮由美 著『比べない子育て』 イラスト・松井 美那枝 より

「子どものありのままを認めることと、行動を放置することとは違います」

『比べない子育て』には、子どものありのままを認めながら、行動が変わっていく具体的な言葉かけや、親のサポート法が満載!

勉強、時間管理、習い事や塾など、場面別での対応がマンガでわかりやすく紹介された1冊です。

今回はその一部を、田宮先生のWEB連載「心根育(ここねいく)」からお届けします。

(1万年堂ライフ編集部)

「子どもに意欲を持たせましょう」
「子どもの意欲を高めましょう」

子育て中の親御さんなら、1度は耳にしたことがあると思います。そして、この言葉に疑問を持つ方は、ほぼおられないでしょう。

ですが、具体的にどのように子どもに関われば意欲が高まっていくのか、つかみかねている親御さんが多いように思います。

言葉で「もっと意欲を持って取り組みなさい!」と言ったところで、持てるものではありません。むしろ逆効果になり、子どものやる気や意欲はしぼんでしまうでしょう。

子どものありのままを認めながら、「意欲」を高める関わり方のポイントの中から、まずは3つお伝えします。

【ポイント1】子どもからの質問は、好奇心を湧き立たせるチャンス

子どものありのままを認めながら、意欲を高めるには?日常での関わり方3つのポイントの画像2

本来、子どもは、見るもの、聞くもの、触れるもの、味わうもの、香るものすべてに興味津々です。

成長とともに、行動範囲も広がり、新しく出逢う世界は、子どもの好奇心を湧き立たせることでしょう。

子どもからの「何?」「なぜ?」と次々くる質問に、閉口してしまった経験のある親御さんもいらっしゃると思います。

ですが、そうした好奇心一杯の質問に、できるだけ答えていくことが、子どもの興味をさらに深めます。ここがまず1つ目のポイントです。

そして、「もっと知りたい」という気持ちが湧いて、その事柄に興味を持ち、やがて自分から意欲的に調べたり、学びを深めたりしていくようになるでしょう。

もちろん親は、普段の生活の中では、家事から手を離せない時や、忙しい時もあると思います。

そのような時は、
「今、手が離せないから後でね」
と声をかけたり、
「○○ちゃんは、なぜだと思う?」
と反対に聞き返すのもよいでしょう。

たとえば、昆虫の名前を尋ねられたら、
「この昆虫の赤ちゃんは、どんな形かな?」
空を指さして、雲のことを聞かれたら、
「季節によって雲の形って違うよね」「雲って何でできているかしら?」
と話しかけてみましょう。
そこから楽しい会話が弾み、昆虫や気象に興味を持つかもしれません。

そして親のほうからも、どんどん話題をふくらませていきましょう。

夜空の星を指さし、
「あの星はどうして光っているのかしら?」
「夜空の向こうは何があるのかしらね?」

子どもが転んですりむいたら、手当てをしながら、
「大丈夫?痛かったね。でもどうして血が出るのかしら?」
「傷口にかさぶたができて治ってきたね。不思議ね」
などと声をかけましょう。そこから宇宙や医学に興味を持つかもしれません。

子どもは、どのような事象、何の分野に興味を持つかわかりません。

ですから、幅広い分野に目を向けられるように、幼児や小学生の頃から、できるだけ視野を広く持たせておくといいと思います。

そして、子どものさまざまな「何?」「なぜ?」をうまく育み、好奇心をふくらませていきましょう。

【ポイント2】達成後の喜びを想像できる言葉がけをする

子どものありのままを認めながら、意欲を高めるには?日常での関わり方3つのポイントの画像3

子どもは、先のことを予想するのが大人と比べると未熟です。今、取り組んでいることを達成すれば、大きな喜びや楽しみが待っていることを伝えましょう

たとえば、ハイキングをしている時、
「山の頂上まで行けば、素晴らしい景色が広がっているよ!」

習い事でスイミングに通っている場合、
「お魚みたいに泳げるようになれば、海水浴に行くのが楽しみだね」

漢字の練習をしている時、
「今度、おばあちゃんにお手紙を書く時、漢字をたくさん使って書いたら、ビックリするかも。きっと喜ぶと思うわ」

毎日、お花に水やりをしながら、
「もうすぐキレイな花を咲かせるわよ。何色かしら?楽しみね」
など、何でもよいのです。

日常生活の中で、子どもが何かに取り組んでいる様子が見られたら、そのことをやり遂げた後に、どんな喜びや楽しみが予想できるかを言葉にしてかけていくと、励みになり、意欲も高まるでしょう。

【ポイント3】他の子と比べて、一喜一憂しない

子どものありのままを認めながら、意欲を高めるには?日常での関わり方3つのポイントの画像4

親は、どうしても周りの子どもとわが子を比べてしまいがちです。

比べるつもりはなくても、運動会のかけっこで「1等になった!」「ビリだった…」ということで、一喜一憂します。

「お隣のお子さんはピアノがスラスラ弾けるのに、うちの子は一向に上達しない…」と思うことはないでしょうか。

親のその気持ちは、何気ない言葉から、子どもには伝わるものです。

親が他の子と比べてばかりいると、子どもは友達の成功を喜べない子になることもあります。すると、友達関係もうまくいかないでしょう。

また、周囲と比べられ、自分が優れていることから得た自信や意欲は、もろく崩れやすいものです。

なぜなら、成長して社会がどんどん広がっていけば、自分よりも優れている人に必ず出会うからです。その時、そういった自信は簡単に崩れてしまいます。

他の子と比べていると、うまくいっている時は意欲も高まり、自信も持てるでしょう。ですが、うまくいかなくなると、その意欲も自信も非常にもろく崩れ去り、無気力に陥る恐れがあります。

運動会で何位でも、
「よくがんばったね。お母さんの中では、あなたが1番よ」と伝える。

ピアノを弾いていたら、
「わ~!前より上手に弾けるようになったね」と、以前のその子と比べて、上達を一緒に喜ぶ。

大切なのは、「どのような結果でも、あなたを愛してる」という気持ちが伝わるような言葉がけです。

そういった言葉をたくさんかけられた子どもは、「私は大切な存在なんだ」という心の根っこがしっかり育まれ、少しずつ意欲が高まっていくでしょう。