特別公開!「Dr.明橋のココロがほっとするラジオ」のお悩み相談
連日、新型コロナウイルスに関するニュースばかり…。
見るたびに不安になり、体調をくずしてしまったという声を多く聞かれるようになりました。皆さんは大丈夫でしょうか?
このたび「Dr.明橋のココロがほっとするラジオ」のお悩み相談で、明橋先生に「コロナウイルスの報道で不安になっている子どもにどう対応したらいいですか?」という質問に答えていただきました。
「Dr.明橋のココロがほっとするラジオ」は、ラジオ風に収録した音声データを、「ココロほっとLINE」で定期的に読者の皆さんにお届けしています。
ココロほっとLINEへの登録はこちらこの中で、4月10日に配信した「コロナウイルスの報道で不安になっている、お子さんへの対応」について、ぜひ明橋先生のアドバイスをシェアしたいという声がたくさん届きました。
そこで、今回は特別に、この回のお悩み相談の文章と音声を公開いたします!
(1万年堂ライフ編集部より)
病気やウイルスを極度に嫌う娘、コロナが不安で泣いて訴えてきます
悩み相談
はじめまして。明橋先生に相談させていただきたいことがあります。
HSC(ひといちばい敏感な子)の中学2年生の娘がおります。
以前からウイルスや病気を極度に嫌がっており、最近のコロナウイルスの報道で、さらに心配の度合いが増え、自分では抑えきれず、毎日泣いて訴えてきます。
こちらが大丈夫だよと落ち着かせても、すぐに気持ちがまた心配なほうへいってしまうらしく、どう対応していいか困っています。
何かアドバイスを頂けないでしょうか?
Dr.明橋
新型コロナウイルス関連のことは、大人自身もすごく不安だし、以前、「先が見えなくて、いっぱいいっぱいで生きている」というご相談もありました。
子どもも同じことで、ここで言われているように、「子どもがすごく不安になって、親に泣いて訴えてくる」というような相談も、何件も私のところには寄せられています。
「テレビで有名なタレントが亡くなったというニュースを聞いたとたん、ワーッと泣き出した」
「お年寄りが亡くなりやすいと聞いて、うちのおじいちゃんにうつって死んじゃったらどうしよう?と言って泣く」
「”コロナ”という言葉を聞いただけで ビクッとなる」
というお子さんもいるわけです。
コロナって、湯沸し器の会社でもあったような気がするし、車の名前でも、昔、コロナってあったんですよね。いろんなところでコロナという名前が出てきます。それを聞いただけで、ビクっとしてしまう、そういうお子さんもいるということです。
あまり気にしない子どももいますけど、大人でさえ不安なんだから、子どもが不安にならないはずがありません。
大人はまだ、不安を言葉にして愚痴ったり、情報交換したりできますが、子どもはうまく言葉にならない分、大人が気づかないところでためこんでしまうこともあります。
特に、このラジオでいつもお話ししているHSC、いわゆる”ひといちばい敏感な子”は、ただでさえ不安になりやすいですよね。
以前からウイルスや病気を極度に嫌がっていたということですが、そういう子にとって、コロナウイルスは天敵みたいなものです。
さらに、「自分で心配を抑えきれず毎日泣いています」「こちらが大丈夫だよと言っても、また別の心配を作って訴えてくる。どうしたらいいのでしょうか」という質問ですね。
特に、敏感なお子さんを持つ親御さんの中には、このように困っている方がいると思います。
コロナ騒ぎが終息して、治療薬が見つかって、本当に安心ということになれば一番いいですが、まだすぐには、ちょっと難しい。
もちろん、心配はしないといけないですが、心配しすぎても生活していけなくなるので、お子さんには、「大丈夫、大丈夫」と言わざるをえないと思うんですよね。
ただ私は、こういうふうに親御さんに訴えられるというのは、やはりいいことじゃないかなと思います。訴えて、お母さんから「大丈夫」と言ってもらって、その時は、少しはほっとすると思うんです。
いろんな悩みや不安を次々見つけても、とりあえず「大丈夫」と言ってもらって安心しているんだから、その繰り返しがすごく意味があるし、子どもにとっては、すごく支えられているんじゃないかと思います。
むしろ、そういう不安を抱えながら全然言えない。あるいは、言っても「そんなにいちいち気にするな、めんどくさい」と否定されてしまうと、言えなくなりますよね。
だけど、この親御さんはちゃんと聞いて、「大丈夫、大丈夫」言っておられるわけです。本当に適切な対応だし、間違っていないと思うんです。こういう関わりをずっと続けていくことが、ちゃんとお子さんの心のケアになっている。
もちろん、いつまでやるんだと思うかもしれませんが、やはりある程度は、つき合っていく必要があると思います。
この方のように、コロナウイルス関連で、お子さんがが不安になっている、それをどうケアしたらよいか、という質問が結構寄せられています。
そこで、これについては、WHOからも子どものメンタルヘルスについての文章が出ていますので、私のほうで7項目にまとめた内容を紹介させてもらいたいと思います。
1.悪いのは、人ではなく、ウイルスです
このウイルスは、すべての国の、あらゆる人が感染する可能性があります。
どんな状況にいたとしても、感染する可能性は0ではありません。
ですから、このウイルスを持った人を非難したり、攻撃したりするのではなく、共感と思いやりを持って接しましょう。悪いのは、その人ではなく、ウイルスです。
2.信頼できる情報に一日に一度か二度、接するだけでいい
テレビやネットなどで繰り返し、ネガティブなニュースを見たり聞いたりすると、必要以上に不安になったり、怖くなったりすることがあります。
そういう場合には、そのような情報に接する機会を最小限にしてください。
一日一度か二度で十分です。信頼できる情報源から情報を得るようにしてください。
(例えば、以下の厚生労働省のサイトは常時更新されています。)
・新型コロナウイルス感染症について
・新型コロナウイルス感染症に関するQ&A
子どもが怖がる時には、そのようなニュースはなるべく見せないようにしてください。
噂でなく、事実や、科学的に正確な情報に従って行動しましょう。それは不安を和らげます。
3.子どもが不安を表現できる方法を見つける
子どもが、不安や恐怖を表現する方法を見つける手助けをしましょう。
遊びやお絵描きなどの創造的な活動が役立つこともあります。
安心できる環境で、自分の気持ちを表現したり、人に聞いてもらったりすることで、子どもは安心します。
4.子どもを極力ひとりにしない
できるだけ子どもを親や家族の元に置き、世話をする人から離さないようにしてください。
どうしても離さなければならない時には、代わりに適切なケアをしてくれる人をそばに置いてください。またその場合、電話やテレビ電話で1日2回は、家族と連絡を取るようにしてください。
5.子どものための新しい日課をつくる
家庭での日常的な日課はできるだけ続け、特に子どもが家でずっと過ごさなければならない時には、新しい日課を作りましょう。
学習のための時間を含む、楽しめる活動を与えましょう。
なるべく人と接する時間を持つようにしましょう。(外出制限のため、それが家族だけであったとしても)
6.子どもが甘えてきたら、可能な範囲で受け入れる
ストレスや不安のある時、子どもは、親に甘えたり、赤ちゃん返りをしたり、逆にわがままを言ったり、いらいらしたり、攻撃的になることがあります。
子どもが甘えてきたら、可能な範囲でそれを受け入れましょう。
不安があるようなら、心配事について率直に話し合うことで、子どもは落ち着くことがあります。
7.親自身のケアも大切にする
親も、不安になっています。
親自身も、自分のケアを大切にしましょう。
不安について大人同士で話し合ったり、自分の趣味に打ち込んで気分転換をしたり、リラックスできる時間を持つことは大切です。
みんなが我慢しているし、不安になっています。
それを人を攻撃したり八つ当たりすることで発散したくなることもあるでしょう。しかしネガティブな感情は循環してまた自分に返ってきます。
事実は事実として、お互いなるべく希望の持てる話題を共有しましょう。
参考文献
Mental health and psychosocial considerations during the COVID-19 outbreak(WHO)
明橋先生の悩み相談が、生の声で聴けるラジオ
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