「周りの目を気にしすぎて、毎日が疲れる…」
「他の人以上に気を遣いすぎる自分って変なのかな…?」
「些細なことで傷ついてしまう、自分って弱い人間なのかな…」
もしかして自分は他の人と違うのではと、違和感を覚えたことはありませんか?
実はその違和感、HSPの性質から、来ているかもしれません。
「アルバイト先で、なぜかいつもビクビク・オドオドしてしまう」「空気を読みすぎて、友達との旅行でグッタリしてしまう」「就職活動で、自己分析が自己嫌悪になってしまう」という悩みは、HSPと大きな関係があるのかもしれません。
HSPの基本的な内容は下記でまとめていますのでご覧ください。
前回までの記事はこちら
大学生こそ知っておくべきHSPの4つの特徴
「ハイリー・センシティブ・パーソン(HSP)」という言葉は、1996年にエレイン・N・アーロン博士が提唱したものです。
エレイン・アーロン博士は、HSPの根底には、4つの面「DOES」があり、4つ全てが当てはまる人は、おそらくHSPであると言われています。
それは次の4つです。
①「D」・・・Depth of processing(深く処理する)
②「O」・・・being easily Overstimulated(過剰に刺激を受けやすい)
③「E」・・・being both Emotionary reactive generally and having high Empathy in particular(全体的に感情の反応が強く、特に共感力が高い)
④「S」・・・being aware of Subtle Stimuli(ささいな刺激を察知する)
これら4つの特性すべてが存在していたら、おそらくHSPの可能性が高いと思われます。
※ただし、人によって具体的な表れ方は異なります。必ずしも、紹介したものが当てはまるわけではありません。ご了承ください。
特徴① 徹底して、深く考える
一つ目は、深く処理するという性質です。
常に最悪を想定して行動し、何かを決める時も他に選択肢はないのか、ひと通り考えないと気がすまない、という形で表れたりします。
例えば、大学生でよくありそうな例で考えてみると、友達と旅行をする際に、あまりにも予定を細かく決めすぎて疲れてしまったことは、深く考えすぎてしまうからかもしれません。
また就職活動中も、一般的な就活のマナーが気になって、マナーと言われるものの全てを実行しないと不安で仕方がないという人もあります。
そして就職活動が終わっても「本当にこの会社に就職していいの…?この会社でずっと働くのかな」と、ずっと先のことまで深く考えることもあるでしょう。
深く考えるがゆえに、行動できなくなってしまう場合もあるかもしれません。しかし、深く考えることは、必ずしも悪いことではありません。
これは慎重さの裏返しであり、思慮深さという長所でもあります。深く考えられるからこそ、他の人が気づかないこと、見落としてしまうようなポイントにも考えが及ぶなど、いい意味で発揮することもあります。
特徴② 過剰に刺激を受けやすい
二つ目は、過剰に刺激を受けやすい性質です。
深く考えるからこそ、刺激をうけやすい、とも言えます。
『生きづらいHSPのための自己肯定感を育てるレッスン』では、10のことを100と受け取ったり、キャパオーバーになりやすい、感動しやすく、涙もろいなどの例が紹介されています。
あるHSPの大学生は、アルバイト先で先輩から「忙しくて、全部は見きれないよ。自分で考えて動いて」と言われ、その時の先輩の声のトーンやイラッとした表情など普段と違う様子に大きな衝撃を受け、一つ一つの刺激や感情をどう処理したらいいのか分からなくなり、頭はパニック状態となって、涙を流してしまったことがあるといいます。
些細な言葉からも、色々なことが連想されたり、先読みしたりと考えが広がり、「もしかしたら迷惑をかけてしまったかもしれない」という申し訳ない気持ちもでてきて、涙が溢れたのかもしれません。
相手のちょっとした仕草や雰囲気にも刺激を受けやすいことは、このような生きづらさにもつながりやすいですが、それは感受性が豊かということでもあります。
マイナスの感情だけでなく、誰かの喜びを一緒に喜べる、ささいな幸せにも気づけるということもあるでしょう。
ほかにも、自然の癒しパワーをたくさん感受したり、芸術など新しいものを創り出すことに向いてる人もいると思います。
特徴③ 人の感情に反応し、共感力が高い
三つ目の特徴は、人の感情に反応し、共感力が高い性質です。
人が怒られていることを自分のことのように感じたり、相手の痛みやつらさ、喜びや感動をわがごとのように受け止めたりすることをいいます。
あるHSPの大学生は、友達が怒られていると、自分は怒られていないのに、隣にいると自分も怒られているように感じていたといいます。
また、アルバイト先に辞めたいと言い出したくても、自分が辞めた後に他のスタッフがどれだけ大変になるかを想像したり、「迷惑がかかるのではないか?」と心配になって、なかなか言い出せなかったという人もいました。
一方、相手の気持ちや体調の変化にも、よく気がつくことができるので、仲良くなった人とは深い付き合いができる、そんな強みもあります。
特徴④ 些細な刺激を、敏感に察知できる
四つ目の特徴は、些細な刺激を、敏感に察知する性質です。
時計のカチカチという音が気になったり、かすかな明かりが気になって、なかなか眠れないという悩みを抱えている人は結構いるようです。
換気扇や空調、ペンをカチカチする音などが気になって作業に集中できず、勉強が進まないことがあるという大学生もいました。
一方これらは、自分の心と体を守るための敏感さとも解釈できます。
痛み始めた食材を敏感に察知したり、添加物が多い食べ物は受け付けなかったりと、強い刺激から身を守るための感受性と、前向きに受け止められたらいいですね。
以上、HSPには4つの特徴があると言われます。
皆さんはいかがだったでしょうか。
HSPの特性を知ることで、過ごしやすい生き方に変われます
自分はHSPかもしれないと思ったあなた。不安になったかもしれませんが、安心ください。
自分にはHSPの性質がある、と知ることで、何か変わることがあるのでしょうか?
『HSPのための自己肯定感を高めるレッスン』の著者、高木英昌医師に聞きました。
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HSPは、疲れやすかったり、みなと同じように活動できない、という悩みを抱えている方は少なくないと思います。敏感ということは、周囲から入ってくる情報をたくさんキャッチできる、キャッチしてしまうということです。多くの情報が入ってくると、それだけ処理する情報が多いので、心の中で人一倍忙しく、頑張ることになります。
疲れやすいということは、それだけ頑張っているということですよね。
それでも他の人が気にならないことを、自分だけ気にしていると、私が気にし過ぎているだけなのかなと思うこともあります。その点について高木医師は
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「神経質だね」とか「気にしすぎじゃない?」といわれると、自分の感じ方を否定されたように感じやすく、自分だけおかしいのかな、と人知れず悩んでいる方もいるかもしれませんが、決してそうではありません。
少数派のつらいところですが、「自分の感じていることは、決して気にしすぎではないし、弱いわけでもないんだよね」と自分で自分を認められるようになることが、HSPを知ることの最も大切な意義だと思います。
HSPについて知ることで、何か良い面はあるのでしょうかもお聞きしました。
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敏感さは、感受性が豊かということでもありますし、繊細さは細やかな配慮につながります。環境の影響は受けやすいかもしれませんが、自分が活かせる場所を見つけられれば、きっと敏感さゆえの幸せもたくさんあるはずです。
ぜひHSPについて知ることで、もっと自分にやさしく、もっと自分を大切にできるようになっていただきたいと思います。
HSPの敏感さは、生まれ持った性質であり、それ自体がいいとか悪いというものではありません。また、病気のように「治す」ものでもありません。
むしろ、生まれ持った「才能」として活かせるといいですよね。
HSPである自分を受け入れて、うまく付き合っていくためには、「私が感じていたことは、決して気にしすぎじゃなかったんだ」「自分の感じていることを信じていいんだ」と、自分自身を認めてあげることが大切です。
HSPのことを詳しく知り、よりよい大学生活を送れるようになって頂けたらと思います。