お待たせしました! 映画「歎異抄をひらく」ブルーレイ&DVD発売!
『歎異抄(たんにしょう)』は、歴史小説家の司馬遼太郎さんが、「無人島に1冊持ってゆくなら、『歎異抄』だ」と言われたことでも有名な古典です。
日本人なら一度は読みたい名著『歎異抄』は、昨年、初めてアニメ映画化され、全国の映画館で上映されました。中には、8か月連続上映の記録的ロングランを打ち立てる劇場も現れました。まさに、『歎異抄』ブーム到来! すごいですね。
その後……
「観たかったけど、近くに映画館がなくて行けなかった」「観に行こうと思っていたら、上映が終わっていた。再上映はないの?」などの声が続々と寄せられています。
(ジャジャーン♪)
お待たせしました!
映画「歎異抄をひらく」ブルーレイ&DVD、ついに発売です。
新型コロナウイルス感染拡大により、外出が自粛される今、ご自宅でゆっくりごらんになってはいかがでしょうか。
魅力いっぱい! 豪華声優陣
親鸞聖人(しんらんしょうにん)の声を演じるのは、俳優・石坂浩二さん。穏やかな中にも、知的さが溢れる魅力的な声は、柔和な親鸞聖人を彷彿とさせます。
そして、常に自身と向き合い、ひたむきに生きる青年・唯円(ゆいねん)役は、増田俊樹さん。じっくり考える唯円とは対照的に、「まずは行動しようぜ」と快活な唯円の親友・壮賢を演じるのは、細谷佳正さん。幼い頃からの唯円の友達、アサ役・本泉莉奈さん、権八役・市来光弘さん。ともに親鸞聖人の教えを学ぶ、慧信房役・三木眞一郎さん、燈念役・白井悠介さん、明法房役・伊藤健太郎さんらが、声優として出演されています。
10代に人気の声優陣の演技も、魅力いっぱいです。ご家族で一緒にお楽しみいただけますね。
公開当初はキャラクターポスターが主要駅に掲示され、声優ファンの若者から古典ファンまで、幅広い層の注目を集めました。
俳優・石坂浩二、『歎異抄』を語る
映画「歎異抄をひらく」は、古典『歎異抄』の世界をアニメ映画化した作品です。
「そもそも『歎異抄』とは、どんな古典なのですか?」と、石坂浩二さんにお尋ねすると、こんな答えが返ってきました。
「こんなにコンパクトで、重みのある本は、めったにない。読んでみたら、絶対、おもしろいと思う」
へえー、そんなにおもしろいんですね。しかも、奥が深そう……。いったい、どんな魅力があるのでしょうか。
石坂さんに『歎異抄』の魅力から、アニメ映画「歎異抄をひらく」を演じられた思いまで、とことんお聞きしました。
(「月刊なぜ生きる」令和元年7月号に掲載した内容です)
「人は、なぜ生きるのか?」まるで、クイズの問題集みたい
石坂:
『歎異抄』は、まるでクイズの問題集みたいな本です。人はなぜ生きるのか? 人間とは? そんな問いかけや、謎の言葉が、たくさんある。そこを、小説を読むように通り過ぎると、「読んだ」という記憶しか残らない。そうではなく、今の自分に引きあてて、考えてみるんです。
すると、心が非常に豊かになります。「豊か」といっても、いろんなものが入るという意味ではなく、入れ物が大きくなるのです。そんなきっかけになる言葉が、『歎異抄』には、たくさんあります。
押しつけではなく、「考えろ、考えろ」
──『歎異抄』は、親鸞聖人の言葉を、弟子の唯円が記したものです。「日本人ならば、一度は読みたい古典」といわれていますね。
石坂:
古典というと、長くて、やっかいなもの、と思うかもしれません。だけど『歎異抄』は、やっかいでも、何でもない。途中まで読めばいいと思っています。全体で18章あるうち10章まででいい。そこまで読むと、大きな矛盾が、たくさん出てきます。「えっ!」と思う。その矛盾が、我々に対する問いかけなんですね。
『歎異抄』は、「こうしなさい」と押しつけるのではなく、「考えろ、考えろ」と、絶えず言っている。そこが、いちばんの魅力だと思うんですよ。だから、『歎異抄』を読むと、「自分というものを、探ってみよう!」という探検家になるのです。
「悪人こそ救われる」と聞くと、「えっ!」と思う
──たとえば、どんな言葉が有名ですか。
石坂:
『歎異抄』の中で、最も有名なのは、「善人なおもって往生を遂ぐ、いわんや悪人をや」ですね。「悪人こそ救われる」と聞くと、「えっ!」と思う。矛盾を感じます。
「悪いやつほど救われるのか。じゃ、どんどん悪いことをしよう」と思う人もいるかもしれない。しかし、そんなはずはありません。みんな、気がつくはずです。
単に、善人、悪人という問題ではなく、これを通して、自分とは何かを見つめる言葉だと思うのです。
善人とは何か? それは難しい問題です。善人なんて、いないでしょう。
では、悪人とは何か。『歎異抄』には、人間は煩悩のかたまりだと書かれている。煩悩とは欲望のことです。煩悩があるから、人間は悪をつくってしまう。それなのに、煩悩のかたまりである自分を、なかなか認めることができないんですよ。
『歎異抄』を読んで、答えがひらめいた司馬遼太郎さん
──『歎異抄』の魅力を語る文学者、哲学者が多いと思います。なかでも、司馬遼太郎さんが、無人島へ一冊持っていくならば『歎異抄』だ、と語った言葉は有名ですね。
石坂:
司馬さんは、どれだけ『歎異抄』を繰り返し読まれたのだろうか、と感じますね。一回や二回では言えない言葉です。
先ほど言ったように、『歎異抄』は、ふっと読むとクイズの問題集のような本です。
司馬さんは、兵隊として戦争へ行く時、必ず死ぬと思ったのでしょう。そして『歎異抄』を読んで、何らかの答えがひらめいたんですね。
「死」を意識するとは、「生きる」意味を考えるということです。戦争がなくても、人は死にます。年を取っているか、若いかは関係ありません。死が切迫してからではなく、普段から、もっともっと「なぜ生きるのか」を考えておいたほうがいい。
僕は、高校生の時に、『歎異抄』を読んで、親鸞聖人を知りました。日本にも、こんな人がいたのか、と思いました。彼の歩んだ道、書いた本は、「なぜ生きる」の問いかけで貫かれています。だから僕は、親鸞聖人は、日本で最初の哲学者ではないかと思っています。
親鸞聖人を正しく描いた映画。自分自身を見つめ直すきっかけに
──今回、アニメ映画「歎異抄をひらく」で、親鸞聖人の声を演じられましたが、改めて気づかれたことはありますか。
石坂:
「なるほど!」と思ったのは、親鸞聖人が、とても自然に描かれていることです。いわゆる聖人君子ではない。相手が子供であっても、誰であっても、区別せずに、自然体で教えを説いている。ここが、すごいと思います。
「善人なおもって往生を遂ぐ、いわんや悪人をや」のセリフが出てきますが、親鸞聖人は、事細かに説明せずに、子供たちに投げかけて終わっているのです。それが、すごくリアルだな、と思いました。
普通の映画のように、一つ納得して終わるのではなく、大きな謎を残したまま終わる映画なのです。まさに、親鸞聖人を正しく描いた映画だと、しみじみ思いましたね。
──映画の中で、唯円が、「どんな悪人でも救われるのなら、善い行いをするのは無駄なことなのでしょうか」と、親鸞聖人に尋ねる場面があります。
石坂:
この問いかけが、この映画のメインテーマだと思います。
映画を見た人の心に疑問が残ります。そんな人のために、『歎異抄』という本があります。本があっても、まだダメで、そこから自分で考えていく、ということが大切なのです。自分自身を見つめ直す、きっかけにするのです。
何百年たっても変わらない「人は、なぜ生きるのか」
──唯円が、仲間とともに、生き方に迷いながら成長していく物語でもあります。そこに自分を重ねて、共感しながら、この映画を見てもらいたいと思います。
石坂:
そのとおりですね。『歎異抄』を書いたのは、親鸞聖人だと思っている人が多いので、その誤解も解かないといけないですね。
唯円は、煩悩のかたまりの人間の悩みは、何百年たっても変わらないと分かっていたのです。だから、「人は、なぜ生きるのか」を教えられた親鸞聖人の言葉を、正確に書き残そうと思ったのでしょうね。
『歎異抄』は、決して、宗教書ではなく、日本で最初に綴られた哲学書だと思っています。人生で、繰り返し読みたい本です。読むたびに、ひっかかるところが変わっていきます。おもしろいだけでなく、ものすごい驚きのある本です。
漂流する時に、そばに、『歎異抄』がポンと置いてあっても、決して邪魔にならないですからね。
そんな本を書いた唯円は、すごい人です。
そして今回の映画をきっかけに、唯円を、そこまで成長させた師・親鸞聖人に興味を持ってもらえば、もっとおもしろいことが分かってくると思います。(聞き手 山崎豊)
ブルーレイ&DVDは、特典映像付き!
特典映像には、石坂浩二さんによる初日舞台挨拶(東京都・シネマート新宿)と、『人は、なぜ、歎異抄に魅了されるのか』の著者・伊藤健太郎さんによるトークイベント(富山県・TOHOシネマズ高岡)の映像を収録しています。こちらも、お見逃しなく!
電話: 0120-975-732(通話無料)、
または、思いやりブックス(本の通販)に
お問い合わせください。
↓ブルーレイ&DVDのお求めはこちらをクリック