質問
5歳の長男と、2歳の次男の母です。
夫も私も、働きに出ていることもあり、平日は子どもたちと一緒に過ごす時間がほとんどとれません。
次男は、寂しいのか、私が家に帰ると、よく甘えたり、わがままを言ってきたりします。一方、長男は、全く手がかかりません。
それでつい、次男の世話に、かかりきりになってしまうのですが、長男は年ごろにしては「いい子」すぎるようにも思え、かえって心配になることもあります。
答え
子どもが小さい時、親が一緒にいてくれないと、子どもは不安になり、寂しくなります。その時、子どもがとる行動に、2つのタイプがあります。
1つのタイプは、普段関わりが少ない分、親が帰ってきたら、ここぞとばかり甘えたり、だだをこねたり、ぎゃあぎゃあ言ったりして、関わりを求めてくるタイプです。そういう子は、親も相手をせざるをえないので、結果的に、子どもも満足し、寂しさを埋め合わせることができます。
親は結構大変なのですが、こういうケースは、実はそんなに心配ありません。
ところが、もう1つのタイプは、不安になった時、寂しくなった時、いい子になって、親からほめられることで、不安を解消しようとする子です。
そういう子は、親の顔色をうかがって、自分の要求は我慢し、親にとって都合のよい行動をとります。
いい子というのは、親にとっては、手のかからない子なのです。
そういう時に、弟、妹などが前者のタイプだと、ぎゃあぎゃあ言うので、相手をせざるをえない、でも、お兄ちゃん、お姉ちゃんは、自分でちゃんとできるから大丈夫、となります。
そうすると、結果として、もっとかまってほしくて、いい子になったのに、逆にかまってもらえない、という結果になってしまいます。
その結果、もっと不安になり、もっと寂しくなります。
そこで、もっといい子になろうとします。
そうすると、もっと手のかからない子になって、手をかけられなくなる、そうすると、よけい寂しくなる、という悪循環になる、こういうタイプの子があるのです。
そういう我慢や背伸びをし続けた結果、思春期に何らかの心のトラブルを生じてくる場合もあります。
ですから、こういうタイプの子は、いい子にしているからといって、あまり大丈夫と思わずに、下の子と同じようにかまってやる必要があるのだと思います。
ところが、こういうタイプの子は、いったんいい子になってしまうと、なかなかそういう枠組みから外れることができません。
こちらから、もっと甘えていいよ、そんなに気を遣わなくてもいいよ、と言っても、どうしたらいいのか分からないので、結局、やっぱりいい子になってしまいます。
かといって、ほめても、よけい、いい子に拍車がかかってしまうので、うまくいきません。
では、そういう子はどうしたらいいか。そこで、私がよく勧めるのが、「失敗を褒める」ということです。
たまに失敗した時、ドジした時、いい子じゃなかった時。
そういう時に、
「あんたもこういうところがあるんだねー。でも、そういうところも、とっても人間らしくていいよ。頑張ってる○○もいいけど、こういうドジする○○もいいなー」
と言うのです。
そうすると、今までいい子にならなきゃ、失敗してはいけない、と思って、気を張りつめていたのが、ほっとした表情に変わります。
そして、いつもいい子ばかりでなくてもいいんだ、と思えるようになると、だんだん自己主張が出てくるようになります。
あまりに子どもがいい子になっている、いわゆる過剰適応が心配される場合は、こういう対応のしかたもある、ということです。