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精神科医が教える「コロナうつ」を予防するイライラ・不安の吐き出し方(後篇)

前回は、大変な状況ではつらくなって当たり前、つらいときは我慢しすぎずに、適度にガス抜きをしましょうとお話ししました。

前回の記事はこちら

今回は、具体的にどんなガス抜きの方法があるのかをご紹介します。

コロナによるイライラ、不満、つらい気持ちは「丁寧に」吐き出す

ガス抜きをする際にも、いくつかポイントがあります。

まず、不安や不満があるからと言って、思いのたけを何の遠慮もなしにぶちまければいいというわけではありません。

自分のつらい気持ちは「丁寧に吐き出す」と、落ち着きやすいといわれます。

余裕がないからと言って、思いのままに、言葉を選ばず、相手も場所も選ばずに吐き出すと、周囲に迷惑をかけたりして、結局また後悔することになります。

そうすると「自分の気持ちを吐き出さないようにしよう」とフタをしがちです。

問題は、気持ちの吐き出し方です。
「丁寧に吐き出す」とは、言葉を選ぶことであり、相手や、場所、タイミングを選ぶことです。
「選ぶ」ということは、自分をコントロールするということであり、一呼吸おくことでもあります。

例えば、主語を「相手」ではなく「私」にすることは、言葉を選ぶということです。
「あなたのそういうところが嫌い!」と相手を責めるより、「そういうことされると、私は悲しいんだよ」と自分の気持ちを伝える。

その方が、言われた方もメッセージを受け止めやすいですし、自分も気持ちを素直に吐き出せて、心のコリがほぐれるのではないでしょうか。

あるいは、イライラして、子どもを怒りたくなった時は、「丁寧語」あるいは「敬語」で怒るようにすると、言う本人も言われた方も、だいぶ印象が変わります。

「いい加減にしろ!」と怒鳴りたくなったときは、「いい加減に、、、してください!」と一呼吸おいて、あえて丁寧な言葉を選ぶ。

名前も、呼び捨てにするよりも、普段言わないような「○○さん」「○○殿」などちょっと丁寧に、あるいは変わった呼び方にしてみるといいかもしれません。

「丁寧に吐き出す」心がけが、自分も周りも守ることに

所かまわず、言葉も選ばず、ぶちまけることは、そこら中にゴミをポイ捨てして、街を汚してしまうようなものです。

丁寧に吐き出すとは、分別して、捨てるべきゴミ箱に捨てることです。

ゴミ箱は「護美箱」ですから、しかるべき方法で捨てることは、自分や周りの美しさを護ることになります。

不安な気持ちを聞いてもらうのも、ちゃんと聞いてくれる人、下手に励まそうとしない人を選んで、お互いの気持ちを吐き出せて、お互いにラクになれるといいですよね。

そういうつながりが、とても大切だと思います。

そして「丁寧にできた」ということ自体が、自己肯定感を守ることにもなります。

コロナうつ予防のコツは、適度に休むこと

「不安な時だからこそ、前向きな言葉を使おう」という考え方もあります。

そうやって自分を鼓舞することも大切です。

しかし、「常に」前向きでい続けるのは、かなりしんどいものがあります。

長期戦には、長期戦なりの戦い方があります。
やはり、適度に息抜きして、かっこよく言えば「戦略的に休む」ことが必要です。

こんな状況では不安になって当然、おかしなことではありません。
誰も経験したことのない、目に見えないウィルスという敵と戦っているのです。

どんなに対策をしても、怖いものは怖いですよね。

恐怖を感じることは弱さではないし、弱音を吐くのは情けないことではありません。
そんな中で必死に耐えて頑張っているからこその不安です。

お互い、一つ一つ丁寧に、できることをやっていきましょう。

生きづらいHSPのための、自己肯定感を育てるレッスン

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高木のぞみ、高木英昌(著)