第二の人生に向けて家計を見直してみませんか?
コロナ禍で世の中の働き方も大きく変わり、何かと先行きがわからず不安に思われる人も多いでしょう。
しかし、たとえコロナのことがなかったとしても、誰もがいつまでも現役で働き続けることはできません。
退職すれば収入は減りこそすれ、増えることはそうそうないと考えられます。
必ず訪れる未来に備えて、今からできることをやっていきましょう。
豊かな第二の人生を送るため、この機会に生活スタイルやお金の使い方を見直してみるのはいかがでしょうか?
この記事では、手間をかけずに節約するポイントをいくつかご紹介します。
お金の使い方を考えるには現状を知るところから
では、生活スタイル(お金の使い方)を見直すには何から始めたらいいのでしょうか。
最初にすべきなのは、現状を知ることでしょう。
昔の人は「敵を知り己を知れば百戦して危からず」と言っています。
勝つためには敵のことをよく知るのももちろん大事です。
しかし自分の強みは何か、弱点が何なのかがわかっていなければ、戦いようがありません。
それと同じで、お金の節約法をいくら学んでも、自分の現状がわかっていなければ実行しようがないのです。
ですから、まずは自分の現状を知ることが家計を見直す第一歩ではないでしょうか。
そこで、細かい収支の内訳がわかればいいのですが、把握していないという人もあると思います。
最低限確認したいのは、以下の点です。
・収入がいくらなのか
・毎月の支出合計額はいくらか
・支出のうち、固定費はいくらかなのか
固定費というのは、毎月必ず払わねばならないお金のこと。
たとえば、家賃とか電気・ガス・水道代・通信費・保険代・ローン・何かの会員費・駐車場代などなどです。
これらは毎月必ず支出しますし、金額もだいたい決まっているものが多いでしょう。
節約は長期戦!続けるために目標設定が必須
次に考えていただきたいのは、何のために家計の見直しをするのか、という点です。
生活スタイル(お金の使い方)を見直すというのは、1日2日で改善されるものではありませんから、長期戦になります。
それはちょうどダイエットに似ているかもしれません。
ダイエットは、1日2日くらい食事を抜くなどのムリをしてなんとかなるものではないでしょう。
ちょっとやってやめれば、すぐ元に戻ってしまいますから長期戦となります。
その時に大事なのはムリなダイエットはしないことです。
ムリをすれば途中で挫折したり、リバウンドしてしまうでしょう。
家計の見直しも、短距離走ではなくマラソンのように長く続けることが大事です。
そのときには、ただ何となく節約したほうがいいだろうなとか、みんなもやってるからなどのあいまいな理由だと続かなくなってしまいます。
目標額を設定したり、「貯めたお金で老後に旅行へ行きたい」など、常に目的意識を持って達成する喜びを得ることが続けていくコツです。
ストイックな節約は長続きしない可能性が高いので、あまりしないほうがいいかと思います。
楽して支出を減らすには固定費の見直しから
現状を知り、目標額や貯めたお金の使い道を考えた後は、目標を達成するための方法を考えましょう。
使えるお金を増やすには、収入を増やすか支出を減らすかのどちらかしかありません。
両方できればいいのですが、収入を増やすのはなかなか大変ではないでしょうか。
そこでまず考えたいのは支出を減らす方法です。
その中でも、ムリなく支出を減らすには固定費の見直しをするのがいいでしょう。
毎月支払うお金なのですから、それを減らすことができれば後は何もしなくてもお金を節約していくことができます。
具体的には家賃・電気・ガス・水道代・通信費・保険料などを見直してみるのがおススメです。
ここでは、電気代、通信費、保険料の見直しのポイントについてご紹介します。
(1)電気代
電気代は一般的に次のように計算されています。
【一般的な電気代】
電気代=基本料金+使用量×値段(円/1KWh)
ですので電気代を減らすには、基本料金と使用量を下げることができればいいのです。
私の家では、もろもろの取り組みをする前とした後で使用量が平均35KWh減り、金額では月平均900円くらい電気代が安くなりました。
基本料金を見直す方法の一つとして、電力会社を変えることが挙げられます。
今は電力自由化になり、会社を自由に選択できる時代です。
中には基本料金がない会社もありますので、そういう会社だと使用量がそのまま金額に反映されます。
私の家では、会社を変えたことで電気代が安くなりました。
電力会社のホームページでは、電気代がどのくらいになるか試算することができます。
今の電気料金と比べて、差がどのくらいあるのか調べられるのでおすすめです。
「会社を変更するのにややこしい手続きがあってめんどくさいのでは?」と思われるかもしれませんが、会社の変更は簡単にできます。
新しく契約したい会社に連絡すれば、前の会社の解約手続きは新しく契約する会社がしてくれるからです。
契約の際には「お客様番号」(電気代のお知らせの紙に書いてあります)が必要になりますので、事前に準備しておくとすぐ終わります。
【会社を変更する場合の行動順番】
1.現在の電気使用量を確認
2.電力会社を調べてみる(料金、会社の変更が契約後も自由にできるか、サービスや困ったときの対応はどうかなどをチェックするといいでしょう)
→その会社のホームページでどれくらい安くなるか試算できたりします
3.申し込みをする
あとは、日々の電気使用料を抑えることができれば、電気料金はぐっと安くなります。
使用電気量を減らす方法の一つとして、もしLEDの照明でないご家庭はLEDに切り替える方法が考えられるでしょう。
初期費用は多少かかりますが、使用ワット数が蛍光灯の3分の1くらいになる上、寿命は蛍光灯の4倍くらいあったりします。
長期的にみれば十分もとはとれますし、電気代の3割を占めるのが照明関係と言われるため、LEDに変えるだけで照明の使用料を3割くらい減らせるのです。
(2)通信費
一度契約してしまうと、他にもっと安いプランがあってもそのままにしがちなのが通信費ではないでしょうか。
一度見直してみることで、利用状況によっては安くできることもあります。
そのためにも以下の3点を考えてみましょう。
1.現状を知る(どれくらいの容量を使っているのか)
2.自分の使い方を考える(容量はどれくらい必要か、速度はどれくらいのものがいいのか)
3.サービスを検討する
➀スマホなどの携帯端末について
現状、大手でしたら20ギガくらいのプランで契約料は月7,000円ほど。
本体費をあわせると9,000円くらいになるでしょう。
今ある選択肢としておおまかに以下のようなカテゴリー分けができます。
大手3社(docomo,ソフトバンク,au)、準キャリア(Yモバイル,UQモバイルなど)、格安SIMの3つです。
それぞれ、特徴を見ていきましょう。
- 大手
- 困ったら店舗で対応してもらえるし、手軽に契約できる
- 20ギガなどの大容量の契約もでき、速度も速い
- コストは高い(もろもろ込みで月8,000~9,000円くらいと考えましょう)
- 準キャリア
- 大手の子会社という場合が多いですが、大手の値段に対して安い傾向にある
- 大手に比べて少ないが、店舗はある
- 端末は少し古めだが、十分使える
- 速度は大手と同じ
- 容量は少なめなので、動画を見たい人には向かない(メールやLINEなどのやり取りのみなら問題なし)
- 値段は月5,000円前後くらい
- 格安SIM
- 自分の使いたいように設定できる
- 速度は大手に比べれば遅いものもある
- 大容量にした場合は速度が遅いので、せいぜい10ギガまで
- 店舗がないので、トラブルがおきたときの対処は自分でしないといけない
- 価格は通話込みでも、月1,000~2,500円くらい
- 自分で設定しないといけないのが手間(慣れている人なら2時間くらいあれば設定できるので、身近に詳しい人がいれば可能)
➁固定回線
続いて、関係の深い固定回線についてもあわせて考えるといいでしょう。
大きく分けて、光回線とケーブルテレビ回線の2つがあります。
- 光回線
- 速度が早く安定している
- 価格は月5,000~6,000円くらい
- アマゾンプライムなどで動画をよく見る人や高画質(4K)を希望する人にはおすすめ
- ケーブルテレビ回線
- 地域によっては、ないところもある
- 速度は光の10~5分の1くらいで、光回線に比べると遅い
- 高画質(4K)でストレスなく見たい人には向かないが、普通の動画ならまったく問題なく見れる
- 価格は月3,500~4,000円くらい
一人暮らしの場合は、固定回線の代わりにポケットWi-Fi(ワイファイ)を使えば家でも外でも対応可能です。
Wi-Fi(ワイファイ)については、『老いてこそデジタルを』(著:若宮正子)の中でも解説されていました。
Wi-Fi(ワイファイ)とは、パソコン、スマホ、タブレット、ゲーム機などのインターネットを使う機器を、ケーブル(紐)を使わないで無線で接続する技術をいいます。
電波が届く場所なら、ケーブルでつながなくてもインターネットに接続できるようになります。
(『老いてこそデジタルを』(著:若宮正子))
ポケットWi-Fiとは、持ち歩ける自分専用のWi-Fiのことで、価格は月2,500~3,500円くらいです。
速度は固定回線の10分の1くらいなので、高画質なものを見るのには不適切ですが、通常の動画でしたらまったく問題はありません。
③結論
大手キャリアのスマホ、固定回線を使っている人は月15,000円くらいかかっているかと思います。
もし一人暮らしなのであれば、固定回線からポケットWi-Fiに移行すれば、月々の価格を抑えることが可能です。
更にスマホを格安SIMに変えたり、通話のみの設定にすることで、トータルで月5,500~7,000円の支出で済みます。
家族4人暮らしの場合は、大手キャリアのスマホ、固定回線を使っていると家族割りを含めてだいたい月35,000円くらいになるでしょう。
もし、スマホを格安SIMに変えれば、固定回線と合わせても高くて月14,000円くらいです。
スマホを準キャリアにしたとしても、固定回線と合わせて月22,000円くらいですから大きく支出を減らすことができます。
ただし、初めてスマホを持つときに格安SIMを選ばれる場合は、本体代を別途負担しなければなりません。
大手キャリアや準キャリアは本体代も含めた価格です。
最終的には一人一人の使い方、ライフプランによって変わってきますが、一例となればと思います。
(3)保険
家に次いで、人生で2番目に大きな買いものは保険だと言われます。
それぐらいトータルで支払う金額が大きいのが保険です。
ですから保険は必要な分を必要な時期に入るように心掛けると大変な節約になります。
保険には社会保険(公的な保険)と私的保険(民間保険)の2つがあります。
基本的に、社会人であれば国民年金、国民健康保険、介護保険などの社会保険にはすでに入っているはずです。
もちろん保障もありますから、社会保険では足りない分を民間の保険で補うと考えるのが支出を抑えることにつながるでしょう。
以下、民間保険の種類ごとに必要な場合を考えてみたいと思います。
➀生命保険
お子さんが小さい家庭の場合、夫が亡くなると遺族年金がもらえます。
遺族年金と妻の収入だけでは学費を準備するのが厳しい場合に、生命保険はとても役に立つでしょう。
しかし逆を言うと、妻もしっかり働いていて、夫の遺族年金をあわせればそこまで困らない家庭もあるのではないでしょうか。
またお子さんが自立していて学費も必要なくなった家庭は、万が一のときにもらえるお金が増えるだけです。
それが本当に必要なことかを考えてみていただきたいのです。
月々支払っている保険料がなくなれば、その分を貯蓄に回すことができます。
よって、最終的には保険に入らなくていい状態を目指すのが理想といえるでしょう。
➁損害保険
日本の社会保険の制度は人に関するものはかなり手厚くなっています。
ところが物(災害や事故による車の損害への保障)に関しては、それほど手厚いとはいえないのです。
ですから火災保険をはじめとした損害保険の場合は、何かあったときに公的な保障はあまり期待できません。
また預貯金で対応するのが難しいものが多いので、これは民間保険に頼るのがいいといえるでしょう。
③その他の保険(医療保険や介護保険)
日本では医療保険は大変人気があります。
しかし自分にとって必要なものか、よく考える必要はあるでしょう。
たとえば保障の代表的なものとして、1日入院すると1万円が出ますとか、通院費いくらまで支給されますといったことが挙げられます。
魅力的に感じますが、日本では平均入院日数は減ってきているのが現状です。
そうなると必要な経費というのもどんどん減っていくでしょう。
また仕事上でのケガや病気であれば労災で治療費も保障してくれますし、業務上のケガや病気であれば休業補償もあります。
仮に高額な治療費がかかったとしても、高額療養費制度というものが使えます。
月の医療費の自己負担額がある一定を超えた場合は、請求すれば返金されるという制度です。
そのため、月にかかった治療費が100万円であっても、一般的なサラリーマンなら実質自己負担額は10万円を超えないことがほとんど。
つまりしっかり貯蓄があれば、十分対応できることのほうが多いのです。
➃結論
民間保険で対応したほうがいいもの、悪いものをまとめると、以下のようになります。
・損害保険は貯蓄で対応するのは難しいケースが多い
・医療保険は貯蓄が十分あれば対応できる
・生命保険は子供がいる家庭で、必要に応じて子供が成長するまでのつなぎで入るのを検討してみてもいいでしょう
また、現在はネットで保険に入ることもできます。
インターネット上で展開している保険は店舗がない分価格が安いです。
保障内容など理解していて、同じタイプの保険ならネット保険に入れば節約にもなるでしょう。
もし何かあった時の保障について考えるなら、優先順位は以下の通りです。
1.公的保険
2.預貯金
3.民間保険
公的な保障はあるのか、どの程度保障してくれるのか、次に預貯金では対応できないのか。
公的保険でも預貯金でも難しい場合に民間の保険を検討する。
必要のない保険を見直すことで、月々の支出を大きく減らせるでしょう。
キャッシュレス決済を取り入れる利点
またお金の支払い方もキャッシュレス決済にすることで、現金で購入するよりもポイントや特典があったりと節約につながることが多くあります。
キャッシュレス決済とは何か、『老いてこそデジタルを』(著:若宮正子)の中に詳しく紹介されていました。
スーパーやコンビニエンスストアなどで買い物をするとき、現金ではなく、スマホで支払う「スマホ決済」の時代が確実に来ています。
PayPay(ペイペイ)などがその一つです。2018年から普及し始め、ニュース番組や雑誌、テレビなどでその名前を知った方もいらっしゃるのでは。アプリを立ち上げて、レジにかざしたり、専用の機械で読み取ったりして決済します。
登録、支払い手数料ともに無料です。残高も画面に表示され、面倒な小銭の計算からも解放されます。
(『老いてこそデジタルを』(著:若宮正子))
家計を考えることは人生を考えること
固定費を中心に、家計の見直しのポイントについてご紹介しました。
節約とは、とにかくお金を使わないようにすることだと考える方もありますが、大事なのはムダなお金を省くことです。
自分にとって大事なものを削ってしまうと、人生そのものが楽しめなくなってしまいます。
固定費を削減して、増えたお金で必要なことに使えばいいわけですし、不必要でしたら貯蓄に回せばいいのです。
節約するのも楽しみながら、それでいてムダを省いていくことを考えましょう。
そのためにも、自分の人生における大事なもの、何を目指しているのかをこの機会に見つめなおしてみてもらいたいなと思います。
目的がハッキリすれば、何がムダなのか、何を削ってはいけないのかも自ずと見えてくるはずです。
たとえば車がとても好きな人にとっては、車にかけるお金はムダにならないでしょう。
ですが、私は移動手段として使えればいいくらいの思いなので、家族で出かけるときにレンタカーを借りて使うくらいで十分です。
このように何が大事なことかは人によって違いますので、なんでもかんでも節約すればいいわけではありません。
ぜひ、この先の人生どのように生きていきたいか、自分にとって何が必要なのかを考えてみてください。
まとめ
お金について考えるということは、自分の人生そのものを考えることにもつながります。
私達はお金を手に入れるために生きているわけではありません。
お金はあくまで「生きるため」に必要なものの一つであり、何かを手にするための手段なのです。
人生で手にしたい「その何か」をハッキリさせてこそ、真にお金を活かすことができるのではないでしょうか。
自分や自分の人生を考えるきっかけとなれば幸いです。