安定した自信が持てるようになる心理学 #1

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自信がないのはどうして?自信を失うサイクル、自信が持てるようになるメカニズム

あなたは普段、どれくらい自信を持って過ごされているでしょうか。

「自分のことが好きで、常に自信があふれている。前向きに行動し、言いたいこともしっかりと言えている」という方は少数で、

「自分のことがあまり好きになれず、自信なんて持てない」
「自信がなくて、なかなか思い切って行動ができない」
「言いたいことがあっても我慢してしまい、そんな自分に嫌気が差してしまう」

という思いを持っている方が多いのではないでしょうか。

自信を持てなければ、前向きに行動したり、積極的に自己主張したりすることもできません。そうなればますます自信を失い、生きづらさを感じてしまいますね。

そもそも自信とは何なのでしょうか。
どうすればその自信を育み、前向きに生きることができるのでしょうか。

数回に分けて「自信のメカニズム」と、自分で簡単にできる「自信を育てるトレーニング方法」をご紹介していきます。

自信がないことではまる、悪いサイクルとは?

自信が持てないと、どのようなことが起きるのでしょうか。

自信が持てなければ、自分のしたいと思っていることもできなくなります(=行動回避)、

また、相手にされて不快に思っていることや、相手にしてほしいと思っていることもなかなか口に出すこともできません(=自己主張回避)、

行動を回避し、自己主張も回避すれば、「自分はダメな人間だ」と自己評価が下がり、ますます自信を失い、挑戦する気が起きない…と、自信を失う悪いサイクルへと入ってしまうのです。

「自分に自信がない」という方も、仕事や人間関係がうまくいき、自信を取り戻すこともあると思います。

しかし慢性的に自信を失ってしまうと、不安・抑うつ・恐れなどのネガティブな感情を抱きやすくなって生きづらくなり、やがては以下のような精神疾患をも引き起こしかねません。

自信を失うと生じることがある、主な精神疾患

うつ病

「自分には能力がない」「自分は価値のない人間だ」と思うことで、気分が落ち込み、閉じこもってしまう状態です。

社交不安障害

人付き合いには誰しも何かしらの不安を抱いていますが、極端な形で人付き合いへの不安を抱えてしまう症状です。

自己評価が低いことで、他人が恐いという状態に陥ります。

各種依存症

自己評価が低く、自分に自信がないため、アルコールや薬物などに逃げ道を見つけ、拠り所とします。

 

このような症状にもつながりかねないため、自信がないことは、そのままにしておくべきではないのですね。

いったん失うと、さらに失いかねないのが自信ですが、悪いサイクルは断ち切ることが可能であり、さらにそこから自信がぐんぐんとついてくるサイクルに入ることもできるのです

そもそも自信とは?自信を構成する3つの要素と、その関係

では自信を失う悪いサイクルから抜け出し、自信を回復させ、さらに自信をつけるサイクルに入っていくにはどうすればいいのでしょうか。

それにはまず、そもそも自信とは何なのか、自信を構成しているものは何か、という<自信の要素>を知ることが大切です。

自信の要素にはどんなものがあるかを理解することで、悪循環を断ち切って自信を回復させる方法も見えてきます。

フランスの精神科医 フレデリック・ファンジェ氏は、自信を構成する要素とは、

  • 自己評価(自分に対しての評価が高い)
  • 行動(自信を持って行動する)
  • 自己主張(他人に対して言いたいことが言える)

の3つであると教えられています。これら3つ、自己評価と行動、自己評価が<自信の柱>になっているのです。

自信を構成するこの3つの要素の関係を表されているのが<自信のピラミッド>です。

自信がないのはどうして?自信を失うサイクル、自信が持てるようになるメカニズムの画像1

図にあるように、自己評価が自信の基礎にあたります。自己評価を高めれば、行動も容易になり、自己主張もしやすくなります。

では自己評価が高くなければ行動や自己主張はできないかというと、そうではありません。思い切って自己主張ができれば、自分に対する評価も高まり、行動もしやすくなります。

自己評価が基礎であるものの、3つの要素は互いに関連していることを表しているのが、この自信のピラミッドなのです

3つの要素とはどのようなものか、より詳しく見ていきたいと思います。

自信の3つの要素からわかる、自信が持てるようになるメカニズム

自信の要素 ①自己評価

自分のことをどう思っているのか、いい人間と思っているのか、あるいはダメな人間だと思っているのか。また、ほかの人からどのような人間と思われていると感じているのかが、自己評価です。

自分に対して、

「自分はかけがえのない人間である」
「自分には能力がある」
「自分はほかの人から愛され、必要とされる」

と信じている人は、自己評価の高い人であり、そのように自己評価が高ければ、自分を信じて行動を起こせます。またほかの人に対して自己主張することもできます。

この自己評価は、生まれ育った環境や親との関係などで、子どもの頃にできあがってしまう部分もある、とファンジェ氏は言われています。

愛情を多く与えてもらう家庭環境で育った方はそれだけ自己評価は高まりやすいでしょう。またその反対に、なかなか自分のことを大切な存在だとは思えない環境で育った方もいると思います。

仮に自己評価が育ちづらい環境に身を置いていて、

「自分には能力がない」
「自分は愛されるはずがない」

といった思い込みを持ったならば、それを正すのは簡単ではないともいわれています。

しかしだからいって、自己評価を高められないことは決してありません

ファンジェ氏と同じフランスの精神科医であるクリストフ・アンドレ氏は

(自己評価は)最初は低い状態にあっても、その後の実践によって、よい形に高めていくことができるものなのだ

三十年後、四十年後に<よい自己評価>を持つにいたったということも珍しくない。

と言われています。

時間はかかっても、これからの取り組み次第で高めることができるのが自己評価なのです。

自信の要素② 行動

行動は<自信の原動力>といわれています。

行動の結果、成功すれば、自信が持てるようになり、ますます積極的に行動できるようになります。

では失敗すると、自信を失ってしまうのでしょうか。一時的には自信を失うかもしれませんが、その失敗の受け止め方次第で自己成長し、むしろ自信をつけられます。

反対に失敗が恐く、不安だから行動しないという場合は、行動を回避した自分をダメだと思い、自信を失いかねないのです。

自信の要素③ 自己主張

上手に自己主張して、ほかの人とうまく付き合えなければ、幸福に生きていくことはできない、といわれています。

言いたいことがあっても、自分を押し殺しては自信を持つことができず、生きづらさも感じてしまいますね。

対して自分の要望を伝えて、聞いてもらえたならば、気持ちを理解してもらえたならば、「ほかの人から認められた」と感じられて自己評価も高まり、自信を持つことができるでしょう。

たとえ自分の考えや思いをすぐには理解されなかったとしても、気持ちを伝えたこと自体に、自信を感じることができますね。

自信の3つの要素の関係を表す<シャンパン・タワー>

先の<自信のピラミッド>でお話ししたように、これら3つの要素は互いに関連しており、どれか1つの要素が上向いたなら、ほかの2つの要素にもよい影響が与えられます

この3つの関係は、<シャンパン・タワー>にも例えられます。

シャンパン・タワーといえば、上のグラスが満たされると、シャンパンは自然と下のグラスへ流れていく、というものですね。

ちょうどのこのシャンパン・タワーのように、自己評価・行動・自己主張のどれか1つができるようになれば(グラスが満たされれば)、ほかの2つの要素にも好影響が及ぼされ、実行しやすくなる(下のグラスにも注がれていく)のです

自信がないのはどうして?自信を失うサイクル、自信が持てるようになるメカニズムの画像2

今後の記事で、自己評価を高める方法、不安を和らげて行動しやすくなる方法、思い込みを変換して自己主張しやすくなる方法をそれぞれご紹介していきます。

すべて試されるのが最も望ましいですが、まず1つ、「これは実行しやすそう。自分に合いそうだ」というものから取り組んでいただければと思います。

1つが実践できるようになれば、シャンパン・タワーの如く、ほかのことも実行しやすくなり、着実に自信をつけられるでしょう。

次回は、自己評価を高めるトレーニング法をお話ししていきます。

まとめ

  • 自信を構成する要素は、自己評価・行動・自己主張の3つであると教えられています。自信の要素を理解することで、自信を失う悪循環を断ち切り、自信を回復させる方法が見えてきます
  • 自信の基礎にあたるのが、自分で自分のことをどう思うか、という自己評価です。自己評価は生まれや環境の影響を受け、良くも悪くも子どもの頃にできあがってしまう部分もある、といわれています。しかしそれがすべてでなく、最初は低い状態でも、その後の実践で 高めていくことができるのです
  • 自信の3要素の関係を表されているのが<シャンパン・タワー>です。自己評価・行動・自己主張のどれか1つができるようになれば、ほかの2つの要素にも好影響が及ぼされ、実行しやすくなると教えられています

【参考文献】

『自信をもてない人のための心理学』(フレデリック・ファンジェ著 紀伊國屋書店)
『自己評価メソッド』(クリストフ・アンドレ著 紀伊國屋書店)

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