「コーチング」という言葉を聞いたことがある人は多いと思いますが、きちんと理解している人は多くありません。
そして、「子育てに効くの?」となると、もっと分からない方も多いのではないでしょうか。
私はたくさんの育児書、コーチングの本を読みましたが、うまく活かせている自信がありませんでした。
しかし興味が尽きず、もっと勉強したいと感じ、コーチングスクールに通い、今ではコーチとして活動しています。
これまでに知らされたこと、子育てに活かしているポイントをお伝えしたいと思います。
コーチングって、本当に子育てに効くの?
コーチングとは、一言でいうとどういうことでしょうか。
ここで、「国際コーチ連盟の定義」をご紹介したいと思います。
国際コーチ連盟(ICF)の定義
コーチングとは、思考を刺激し続ける創造的なプロセスを通して、クライアントが自身の可能性を公私において最大化させるように、コーチとクライアントのパートナー関係を築くことである。
(出典:国際コーチ連盟日本支部HP)
でも、もっと簡単にいうと、「人の可能性を伸ばすコミュニケーション方法」ということです。
「自分の才能を開花させてほしい」
「自主的に行動できる子になってほしい」
と思われている親御さんに、ぜひ取り入れていただきたいのがコーチング的な関わり方です。
コーチングで使われる「ピグマリオン効果」とは
「ピグマリオン効果」とは、1960年代にアメリカの教育心理学者・ローゼンタールにより提唱された説で、「教師期待効果」とも呼ばれます。
こんな実験がなされました。
あるサンフランシスコの小学校で、実験と称したテストが行われました。それは、“ハーバード式突発性学習能力予測テスト”と名づけられた、実は普通の知能テストだったのですが、学級担任には、今後数カ月の間に成績が伸びてくる児童を見つけ出すための検査だと説明しました。
そして検査後、このテスト結果とは全く関係なく、無作為に選んだ児童の名簿を学級担任に見せ、この子たちが、これから数カ月の間に成績が向上する子どもたちだと伝えました。
学級担任は、その児童の成績が上がるのを期待して見ていましたが、事実、確かに伸びていったのです。その原因としては、担任が名簿の児童には期待のこもった眼差しを向けていたこと。さらに、子どもたちも期待されていることを意識するため、成績が向上していったのだと報告されています。
(参考元:Rosenthal, R. & Jacobson, L.:”Pygmalion in the classroom”,Holt, Rinehart & Winston 1968)
親や教師、周囲の人が、「あなたは素晴らしいよ、成績が伸びるよ」と期待をもって接すると、実際に成果が出る現象を「ピグマリオン効果」というのです。
コーチングでは、コーチがクライアントに対してこの効果を使い、「クライアントに目標を達成できる能力は必ずある」として接します。
接し方一つで、子どもも大人も変わっていく
ところが、日々、子どもたちにはどんな思いで接しているでしょうか。
ついつい、「言うことを聞かない子」「片づけができない子」「忘れ物をよくする子」など、マイナスのレッテルを貼ってしまっていないでしょうか。
「今日も朝起こすの大変なんだろうなぁ」「今度の漢字テストも赤点かなぁ?」
今までの言動から、どうしてもそういう思いが頭をよぎりますよね。
コーチングを知る前の私も、よくなってほしいとは思いながらも、過去の経験から「どうせ今回も……」と心の中では思っていました。
「ピグマリオン効果」からいうと、逆説的ではありますが、もしかしたら親の思い込みが子どもの行動を決めてしまっているのかもしれません。
一度思い込みを捨てて、「うちの子はデキる子!」として接してみませんか。
親が在り方を変えることで、「自分はダメだ」と思っていた子どもにも、「自分は大切な存在なんだ」「生きている価値があるんだ」という自己肯定感が育まれていきます。
これまでの積み重ねがあり、一度や二度では変わらないかもしれませんが、その在り方の変化は必ず言動に出ますので、子どもも変わってくるはずです。
具体的な声のかけ方としては、例えばこんな言葉があります。
「やっぱりうちの子が一番だわ」「とにかく、あなたのことを信じているから」
自己肯定感が育まれてくると、「言うことを聞かない」「片づけができない」などの具体的に問題に思っていた行動が、知らず知らずのうちに解決していくものです。
こういった方法については、これからもっと詳しくお伝えしていきたいと思います。
そしてこの「ピグマリオン効果」、お母さんお父さん自身にも効くのです。
「私は育児が苦手」「子どもにどう接したらいいか分からない」「親として、してやるべきことが足りてないのでは?」そんな思いで自分自身を責めていませんか?
すくすく育っているお子さんが目の前にいる。それは毎日、あなたがちゃんとご飯を食べさせ世話をしてきた、頑張ってきた証拠です。
DR.あけはしの、ホッとする一言
けっこういい親やってるよ。
子どももちゃんと育っているよ。
毎日見てると、気づかないかもしれないけれど。
(出典 明橋大二『子育てハッピーアドバイス 大好き!が伝わるほめ方・叱り方』P149)
「生まれてから一日も欠かさず、毎日、親としてよくやってるわ、私」と、自分を肯定的に見て、毎日頑張っている親としての自分をねぎらってくださいね。
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