あなたはどれくらい自信を持って過ごしているでしょうか。
自分に自信がなく、人から言われた言葉で傷つきやすく、言いたいことがあってもなかなか言えずに、生きづらさを感じている方も多いと思います。
どうすれば自分に自信を持ち、人からの言葉もプラスに解釈し、前向きに生きていけるのでしょうか。
その自信を育み、安定した自己評価を持ち、しっかりと自己主張や行動をしていけるようになるトレーニング法をご紹介しています。
前回は、自信を構成する3つの要素の1つであり、自信の基礎にあたる「自己評価」の高めるトレーニング法をお話ししました。
前回の記事はこちら
今回は、自信の要素の2つ目である「行動」をするためのトレーニング法をご紹介していきます。
これで自信が持てる!行動するためのトレーニング法
フランスの精神科医 フレデリック・ファンジェ氏は、自信は「自己評価」「行動」「自己主張」の3つの要素から構成されている、といいました。
さらにこの3つの要素に互いに関連していて、自己評価が高まればそれだけ行動や自己主張もしやすくなるとも教えられています。
逆もまた然りで、思い切って行動したり自己主張したりすることで、自己評価も高まり、自信もつけることができます。
これからご紹介する行動するためのトレーニング法を実践することで、行動しやすくなるだけでなく、それを通して自己評価や自己主張への良い影響が与えられ、より自信を深めやすくなるのです。
トレーニング法① 自分の強みを知る
行動するためのトレーニング法の1つ目は、「自分の強み」を知ることです。
自信のない人は、自分の長所を認めず、過小評価する傾向にあります。
しかし自らの長所や強みを認めなければ、「私には能力がないから、きっとうまくいかない。どうせ失敗する」「うまくやれずに恥をかいてしまうだけだ。それならはじめからやらないほうがいい」と、行動する意欲を失ってしまいますね。
そのため行動するには、自分の長所や数々の優れた面を自覚し、行動したいという思いを強めることが大事、といわれています。
自らの強みを特定し、認識することは、本人のウェルビーイング(幸福感)が高めることもわかっているそうです。
その長所を自覚する方法として、短所と、その対となる長所とが直線で結ばれた紙を用意します(下図を参照)。
そして、それぞれの項目の直線上の、自分に最も近いと思う位置に印をつける、というやり方が勧められています。
また、得意分野を自覚する方法としては、日常の活動の横に直線が引かれている紙を用意します(下図を参照)。
それぞれの項目がどれくらい苦手か得意かを考え、自分の思う位置に印をつけていく、というものです。
この方法の最大のポイントは、項目ごとに印をつけた後に、真ん中に線を引き(紙を半分に折り)、半分より長所側に位置する特徴を「自分の長所」として認識すること、半分より得意に位置する活動を「自分の得意分野」として意識することです。
先でお話ししたように、自信のない人は、プラスとマイナスのどちらにでも解釈できそうなことは、マイナスに解釈する傾向にあります。
ちょっとした自信を持っていることでも、周りの人と比較して、「あの人に比べれば、私は全然大したことがない」と思ってしまい、せっかくの自信を失って、行動し、より向上させる機会をつぶしてしまいかねません。それはもったいないですね。
そこで、真ん中の半分より長所側に位置するものはすべて「自分の長所」「自分の得意分野」と認識することで、ちょっとだけ持っていた自信をさらに深めることができ、行動しようという気持ちを強くできるでしょう。
トレーニング法② うまくできたことをメモする
これまでを振り返ると、どんな人にも「うまくいったこと、よかったと思えたこと」もあれば、その反対の「うまくいかなかったこと、ダメだと思ったこと」もありますね。
思い切って挑戦して成功することもあれば、
思うような結果が得られずにもどかしく感じることもある、
人から認められ、優しい言葉をかけれることもあれば、辛辣な言葉を吐かれることもあるでしょう。
さまざま出来事がある中で、自分に自信が持てないでいると、自分のことや自分に起きた出来事を悪く見がちになってしまいます。
うまくいったことも多くあるにもかかわらず、うまくいかなかったことやダメだと思ったこと、ネガティブなことにばかり目を向けてしまうのです。
ネガティブなことばかりを見れば、ますます自信を喪失し、気持ちが落ち込んでいきますね。
いまどんな気分でいるかは、記憶にも影響をすることがわかっています。
心理学者のジェームズ・レアード氏を中心とするチームの一連の研究によって、
- 明るい気分で過去を振り返れば、うまくいったことを思い出しやすい
- 暗い気分で振り返れば、嫌な出来事にこだわりやすい
ことがわかりました。
これでは、自信を持てていないと、
自信がない → 悪い出来事ばかりを見てしまう → ネガティブな気持ちになる → 過去の嫌な出来事を思い出す → さらに自信を失う…
という悪循環に陥りかねませんね。
ポジティブな出来事への注目と、ネガティブな出来事への注目への釣り合いを戻し、自信を取り戻すにはどうすればいいのでしょうか。
そこで勧められているのが、日常生活でうまくいったこと、よかったことを意識し、うまくいったことをメモすることです。
メモをしようと意識的になることで、ポジティブな出来事、うまくいっていることに注目できるようになって、気持ちも前向きになり、ほかの良い出来事にも注目しやすくなったり、過去の嬉しかった体験を思い出しやすくなったりします。
そうなれば徐々に自信も取り戻すことができ、行動へのモチベーションも高まっていくでしょう。
つらい出来事やイライラさせる出来事に直面したときも、うまくいったことのメモを見直すことで、気持ちが明るくなり、困難を乗り越えるための力が湧いてきますね。
1週間に1度、その週に起きたよい出来事3つを思い出してメモするだけでも、幸福感が高まるだけでなく、仕事の生産性も上がることがわかっています。
まずは1週間に1度のペースで、うまくいったことのメモを実践してみてください。
うまくいったことを書き出す際に、それをどのようにやり遂げたのか、自分のどの強み(トレーニング法①で認識した長所ですね)を発揮したことで成し遂げられたかも思い出して付け加えると、物事に取り組む粘り強さも高めることもできます。
「〇〇さんからお礼の言葉を言ってもらえた」←「自分の長所である『思いやり』のある行動を取ることができた」
「ミスをしてしまったが、速やかに謝罪をしたところ、気遣ってもらえた」←「自分の長所の『正直さ』により、適切な行動ができた」など。
うまくいったことの注目+長所の再認識も、ぜひ試してみてください。
次回、行動するためのトレーニング法をもう2つ、ご紹介していきます。
まとめ
- 自信は「自己評価・行動・自己主張」の3要素から構成されています。行動するためのトレーニングを実践することで、行動しやすくなるだけでなく、自己評価や自己主張にもよい影響を与え、より自信を深めやすくなります
- 行動するためのトレーニング法として、今回は2つをご紹介しました
- 自分の強みを知る-
自信のない人は、自分の長所を過小評価する傾向にあり、その結果、行動する意欲を失ってしまいます。ゆえに行動しやすくするには、自分の長所や数々の優れた面を自覚することが大切です - うまくできたことをメモする-
自分に自信が持てないと、自分のことや起きた出来事を悪くみがちになり、そうなると自信を喪失して、落ち込みやすくなります。そこで、日常のよいこと、うまくいったことを意識し、メモすることが勧められています
- 自分の強みを知る-
【参考文献】
『自信をもてない人のための心理学』(フレデリック・ファンジェ著 紀伊國屋書店)
『運のいい人の法則』(リチャード・ワイズマン著 角川文庫)